クリエイティブな不動産再生で街を変える:リアルゲイトのビジョンと戦略

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2021年7月にサイバーエージェントグループに加わったリアルゲイトは、現在都市部を中心に100棟のビルを手掛けています。過去2年間での物件稼働率が最高記録を更新し、業績も堅調です。クリエイティブオフィスと不動産再生のリーディングカンパニーとして、古いビルに自由なアイデアと変化を加えることで新たな価値を創出するリアルゲイトの戦略や強みについて、黒川(執行役員)、井上(企画営業部部長)、吉住(広報)に伺いました。

古い建物に新たな価値を与え、街の雰囲気を変える

ー増収に加え、物件稼働率が「98.7%」と過去2年間の最高を記録するなど好調ですが、その要因は?

黒川:主な要因としては、当社物件の展開エリアでの戦略が挙げられます。現在、71件のプロジェクトが動いていますが、その内の約8割が渋谷・港・目黒区の3区(2024年6月末時点)です。狭いエリア内で物件を増やし、熟知しているエリアで効率的に物件運営を行う「ドミナント戦略」が奏功しています。
また、このエリアは感度の高い方が多く、デザインや空間の良さを理解してもらいやすいというのも特長としてあります。築古ビルの再生は新築開発と比べて建設コストや時間を大幅に抑えられますし、創業以来、単純なビル再生に留まらず、そこに新たな人達が集まることで、街自体がアップデートされるような不動産再生を得意としてきた当社の強みを活かすことができます。個性的な建築物を循環させ、より豊かな街づくりを目指しています。
 

手掛けた物件を具体的に教えてください 。

井上:目黒区エリアのドミナント戦略の中心物件である「ROOTS SQUARE IKEJIRI OHASHI」は、もともと築40 年以上経っていました。それを、古くから街に根付いた住宅や商店、隠れ家的な飲食店が点在し、抜け感のある このエリアの良さにあわせ、本来の建物の個性も活かしながら、ショップ、オフィスからなる複合施設へとリノベーション。この場所からステップアップを目指すスタートアップ企業やクリエイターを支える街の新しいシンボルとなりました。そして、1Fのカフェは建物と街をつなぐ入口となり、入居者のみならず近隣住民の憩いの場に。近隣住民からも「街の雰囲気が変わり、賑やかになった。」という有難い声をいただいています。
現在この周辺には10棟程  、当社の物件を展開しています。古いビルが街の中で価値を失っていくなか、アイデアと変化を加えることで、新たな価値を見出すことに大きな社会的意義も感じています。
 

井上 :南青山の「SHARE GREEN MINAMI AOYAMA」も当社が手掛けました。もともと物流倉庫などが建つ 広大な敷地に、カフェ、イベントスペース、ショップ、オフィス、そしてガーデンで構成される新しい複合施設をリノベーションして つくりました。観光客や、犬を連れた地域の方々、広場でゆったりしながら働く方など、南青山エリアにいる多くの人々が集まり自然を共有することで、コミュニケーションや新しい価値が生まれ、このエリアをより賑わいのある街へと変えることができたと自負しています。
こちらは、オープン後すぐに主要オフィスが満室になったほどの人気物件です。働き方改革やコロナを経た今でこそ、働き方に自由が求められるようになりましたが、こちらはそれ以前から敷地内にオフィス専有部以外のスペースを多く設けており、「仕事に集中した後は、隣の公園やカフェでリラックスできる。1つの場所で様々なシチュエーションで仕事ができるので、オフィスがライフスタイルの軸になっているのが嬉しい。」という声を数多くいただいています。

井上:2024年7月に千駄ヶ谷にオープンした施設「AMBRE」は、環境配慮をテーマにしています。100%再生可能エネルギーの利用に加え、炭化コルク・リサイクルボード・エッグペイントなどのサステナブル建材の使用や原状回復コストを抑えるための床のタイル張りなど、様々な工夫を取り入れています。また、千駄ヶ谷・原宿周辺には代々木公園や新宿御苑、明治神宮などの大型公園・緑地があり、そこを往来する生物の休憩場所としての役割を担えるように、屋上にミニビオトープを設置し、地域の生物多様性向上への貢献を目指しています。1階にはグリーンショップが入っており、施設内や屋上の植栽に加え、今後は地域周辺のビルに入っている植物も一緒にメンテナンスを行う予定です。
入居者が施設の中で過ごすことで、自然と環境問題への関心、意識の向上に繋がる仕組みを作り、それが近隣地域へ派生することで、エリア一帯の環境配慮に貢献できる施設を目指します。

画像左:外観 画像右上:炭化コルクを使用した外壁 画像右下:ミニビオトープ
画像左:外観 画像右上:炭化コルクを使用した外壁 画像右下:ミニビオトープ

建物を入居者と共に進化させていく

ーリアルゲイトの不動産再生は、コミュニケーションや新しい価値を生むことがわかりました。建物の空間づくりで大事にしていることは何でしょうか?

黒川:メリハリを大事にすること です。空間づくりにおいて、多くの方の目に入る共有部とオフィス専有部のバランスを重要視しており、専有部は、入居者の個性を活かした空間にできるようにあえて作り込みすぎないようにしています。 
また、施設は作って終わりではなく進化し続けるものだと思います。使う人により施設の色や雰囲気が変わり、空間の価値も変わります。入居している方々と一緒に施設をより良い空間に進化させていくという方針で空間づくりを行っています。 

吉住:当社の強みは、耐震補強や設計などの技術力、時代のニーズにマッチする企画力、実績に基づく運営力だとよくお話しているのですが、なかでも運営には力を入れています。シェアオフィスを提供する会社では、分業制で運営などは他の会社へ委託するケースが多いですが、物件の企画・設計・施工・運営管理など社内で一気通貫で行っている当社だからこそなせる業。そしてそれは、黒川の言うように、当社だけではなく入居者の方々とともに空間を創って いくものだと考えています。
例えば、先日行った当社運営ビルの入居者向けの交流会では、クリエイターやアーティストなど約400人が一堂に会しました。ここから新たなビジネスやネットワークが生まれるといいなと思っています。
また、スタートアップ企業等の小規模な会社の場合、自社で 福利厚生を作っていくことが難しいという課題を抱えているため、「JOINTHUB」という福利厚生サービスを入居者に提供しています。入居者の充実したワーク&ライフをサポートしていきたいです。


ーこのような運営力や施設づくりが、物件稼働率の高さを維持できている理由だと感じました。

黒川:最前線で入居者と関わるからこそ、現場の意見を企画に反映することができます。数字管理に加え、面白い企画を探しながら運営にも携わるので、社員のモチベーションにも繋がっているように思います。
 

グループ入りで広がったチャレンジの幅

ー当社グループ入りしたことで、何か変化はありましたか。

黒川:変化として一番大きいのは、新たなチャレンジの幅が広がったことだと思います。与信力が向上したため、購入物件が増え、事業主として柔軟性を高めた企画ができるようになりました。

井上:グループ間の連携もあり、サイバーエージェントの新規プロジェクト「MANGA APARTMENT VUY」にも携わっています。開業場所となる不動産候補の選定サポートから、デザインコンセプト立案、インテリアデザイン、設計、コンストラクションマネジメント等、不動産・建築領域及び空間創りのトータルプロデュース業務を担当しており、 「マンガだけに集中できる学び舎」「リラックスするだけではなく切磋琢磨できて緊張感のある空間」というリクエストに応えられるような施設を絶賛企画中です。
また、本棚を並べた図書館のような吹き抜けラウンジや大浴場を設けるなど、新たなコミュニケーションが生まれる場所づくりには、当社のノウハウを活かしています。
 

ーここまで沢山のお話ありがとうございました。最後に、今後の展望を教えてください。

黒川:リアルゲイトが街に来たことで街の雰囲気が変わった、街に賑わいができたという声が聞こえてくるような不動産再生に今後も注力していきます。また、我々が手がけるクリエイティブな建物、オフィスからカルチャーが生まれ、街が新しい姿を見せてくれるというサイクルを実現する街づくりカンパニーを目指していきます。
 

Profile

  • 黒川 亮 (執行役員 / 企画営業部 統括部長)

  • 井上 陽平 (企画営業部 部長)

  • 吉住 洋斗(事業企画室 広報・PRリーダー)

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