日本の「推し活」を世界へ 高収益な「エンタメエコシステム」の実現に向けて

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有料オンラインライブ配信サービス「ABEMA PPV ONLINE LIVE(以下、PPV)」。
2020年6月の提供開始以来、出演アーティストは国内最大級の500人を越えたほか、格闘技大会「THE MATCH 2022」は、約50万発券と国内過去最高を記録するなど、配信プラットフォームとして大きく伸張しています。
コロナを機にデジタル化が進んだエンターテインメント産業ですが、本事業の戦略や、見据えるグローバル展開等を、執行役員でABEMAエンタメDX本部長の藤井に聞きました。

「エンタメエコシステム」で高収益事業へ

─ 新型コロナウィルス禍が収束に向かっていますが、エンターテインメント産業の変化は。

イベントの開催制限がなくなり、現在はリアル開催のニーズが高まっています。会場で声を出す楽しさや一体感は、ライブの醍醐味ですよね。
一方で、インターネット配信によって会場に足を運ばなくとも、いつでも・どこでも・好きな時に見られる、オンラインならではの利便性が周知されたことも事実。今後もインターネット上の体験価値の重要性は高まると考えています。

─ そのような中で、今後の事業戦略はどう考えていますか。

目下、アーティストやタレント、アニメなどのIPビジネスの強化に努めています。
興行の企画から運営、販売、配信とすべて自社で完結できるようになり、収益の幅が広がりました。

2023年7月には「ABEMA」が、東京ドームに約4万人を集めたリアルライブイベント「Creator Dream Fes ~produced by Com.~」を開催しました。並行して「ABEMA」オリジナルの事前番組の放送やグッズ販売を行い、当日はオンラインで独占生配信も実施。実際に東京ドームに来場した人数以上の方が、オンラインで見ていただき大きな手応えを感じました。

他にも、人気を博す音楽原作キャラクターラッププロジェクト「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-」とパートナーシップ契約を締結し、独占配信やオリジナル企画にも積極的に取り組んでいます。

─ エンターテインメント分野のIPビジネスは、大きな注目を集めていますね。

今後は音楽・映像・アニメといったIPを多く保有し、最終的にグローバルでも勝負できる「エンタメエコシステム」の構築を目指しています。

例えば、「ABEMA」のオーディション番組からアーティストを生み出し、当社が長年培ってきたインターネットを起点にしたマーケティングのノウハウを活用し、流行らせる。
そして、興行、PPV、コマース、ファンクラブ、広告などすべて自社アセットでビジネス展開し、最終的にグローバルでマネタイズすることで、高収益なビジネスモデルとなります。

K-POPボーイズグループ「n.SSign(エヌサイン)」はその好例です。
彼らは「ABEMA」にて日本独占配信した日韓合同オーディション番組「青春スター」からデビューが決まりました。日本でのファンミーティングや宣伝マーケティングを私たちが手掛けており、将来的にはグローバルでの活動も見据えています。

「エンタメエコシステム」が確立すれば、通常実現できない連携や、新たな挑戦の機会が増え、飛躍的な事業成長へ繋がると確信しています。IPを生み出し、そのIPの流通やマネタイズまで広げていけるよう尽力したいと思います。
 

熱狂的なファン「推し活」との親和性

─ 当社のPPVと親和性があるのはどのような分野でしょうか。

私たちがターゲットにしているのは、コアなファンを持つIPです。
近年すっかり日本で浸透した「推し活」ですが、その人口の多さと消費意欲の高さには驚くものがあります。

国内外にファンが多いアーティストや、アイドルグループ、2.5次元興行などは、ライブ後にもう一度見返すためにPPVが購入されています。

今年6月にグループ入りしたネルケプランニングが手掛ける2.5次元ミュージカル。PPVは既に配信していますが、今後は千秋楽の後にファンミーティングや「ABEMA」オリジナル番組の配信なども企画中。
熱狂するファンの気持ちを離さないよう、一貫した展開を描いていきます。

また、格闘技業界はオンラインでの配信が一般化しました。
格闘技大会「THE MATCH 2022」が50万発券超えの実績を残したことは「格闘技はPPV」という強いメッセージに。格闘技イベント「RIZIN」も以前はテレビ局からの放映権が収益の柱になっていましたが、現在はオンライン配信のみとなり、世間的にもPPVが浸透した結果だと考えています。
格闘技やボクシングは選手も国を跨いでマッチメイクされるので、世界中が熱狂するコンテンツジャンルの1つ。海外向けのPPVサービスも現在開発中です。
 

競合優位性は、技術力とマーケティング力

─ 当社のPPVの優位性は何でしょうか。

技術とマーケティング力だと考えています。
PPVは瞬間アクセス数が物凄く上がるので、サーバーが耐えきれなくなる懸念があります。その点「ABEMA」はスポーツ中継や緊急会見を無料配信する中で、サーバー負荷に耐えうる知見を持つ。国民的イベント「FIFA ワールドカップ カタール 2022」を全試合無料中継したことでもその技術力は証明されました。

実際、これまでPPV配信で1度も落ちたことはありません。
PPVはお金を払って見てもらうものなので、無料のメディアでは体験できない高品質な画像を提供する責任もあると思っています。

そして、マーケティング力。
誰でも見られるテレビ放送と違い、有料のPPVは本当に興味のある人しか見ないので、新たなファンを獲得しにくくなってしまう。「ABEMA」の無料という利点をマーケティングツールとして活用しながら、新たなファンを呼び込めるのは我々だけの強みです。

「ABEMA」ならではのやり方で世界的ヒットを生み出し、多くの方々に素晴らしい映像とユーザー体験を提供していけたらと思います。

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