AI時代においてもリーディングカンパニーを目指す、サイバーエージェントの技術戦略

技術・デザイン

先日、所属するエンジニア・クリエイターを対象にした社内技術カンファレンス「CA BASE CAMP 2023」を開催しました。2018年より毎年実施しており、各事業領域で蓄積された技術的知見を共有し、所属部署や職種を超えた技術者同士の交流促進を目的としています。

同カンファレンスにおける基調講演では、当社代表 藤田と専務執行役員 技術担当 長瀬が登壇しました。また、GitHub Copilotを提供するGitHub Japan 服部氏をゲストにお招きし、AIによるエンジニアを取り巻く環境の変化についてお話いただきました。こちらの記事では、当日の基調講演の様子を一部編集してお届けします。

2023年の総括(藤田)

今年を振り返ると、やはり最も大きなトピックは生成AIでした。注目の技術トピックといっても実際には普及しなかったり、ビジネスにならないこともありますが、生成AIは真の変化であると言えます。インターネットの登場と同じく、ビジネス環境を大きく変えるものだからこそ、この分野に真剣に取り組み、我々の強みにすべきだと考えています。

ただ、生成AIについては技術や環境、著作権などの面でまだ発展途上のため、理想に完全に追いつくのはなかなか難しいと思います。そんな中でも、めまぐるしい技術進化に合わせて前向きに取り組み、日々活用事例を積み重ねていくことこそがサイバーエージェントの大きな進歩に繋がりますし、より競争力を持った会社へと成長できると思います。

AI時代も「技術のサイバーエージェント」であるための技術経営(長瀬)

AI時代においてもリーディングカンパニーを目指すために、私が技術担当役員として常に重きを置いているのは「技術力を駆使して、会社の持続的な成長を創ること」です。これはつまり技術経営と言い換えることができますが、その中で技術者に求められているのは「経営に優れた選択肢を提供すること」、そして「技術によって競争優位性を生み出すこと」だと考えています。

これらを実現するため、私たちが2006年より掲げてきた「技術のサイバーエージェント」ブランドに必要な3つの要素を、今回アップデートしました。

これまでは3つ目に「斬新なサービス」を掲げていたのですが、今回それを「AI(研究開発&徹底活用」に置き換えました。今後はこれら3つのポイントをもとに、「技術のサイバーエージェント」ブランドを会社のさらなる競争力に変えていきたいと考えています。

AIによる技術者を取り巻く環境の変化、特に生産性の向上については、すでに多くの技術者が実感していることでしょう。

とりわけGitHub Copilotについては、現在我々が国内の企業で最もアクティブユーザーが多いとのことです。また、毎月Copilotで書かれたコードを採用している件数も右肩上がりに増えており、その数約170万行。こちらも現在国内No.1だそうです。

定期的にサーベイを行いながら、Copilotにおける有用性を把握するようにしていますが、現時点では、エンジニアの約半数がコーディング業務を1-2割削減できたと回答しています。加えて約4割のエンジニアからは2割以上削減できたという結果も出ており、2023年4月の導入から約半年でここまでの成果が出ているのは素晴らしいと思います。今後も積極的に活用していきます。

AIがもたらす新しい開発のあり方(GitHub Japan 服部氏)

今日は開発者が迎えるであろう未来を、皆様と一緒に考えたいと思います。

AIを開発に適用する上で最も重要なのは、自然言語で新たに普遍的なプログラミング言語を作り出すことが可能であるということではないでしょうか。

GitHub Copilotでは現在、言語によっては30-50%程度のコード生成を行っています。今後はこの割合を80%まで増やすべく、開発を進めています。つまり、将来的には80%のコードが自然言語で書かれる可能性があるということです。開発者の体験や開発者自身がどう変わっていくべきなのか、今から1人ひとりが考えておくことが欠かせません。

もちろん、AIではできないことを達成しようと人間が頑張るべき領域もあります。その一方で、AIによって向上された領域で更なる範囲拡大を図り、少人数でより多くを成し遂げられるようになることで、人間にとってさらなる可能性を広げていけると思います。だからこそ、どんどん好奇心を広げることで、AIでより多くの新たなチャレンジを達成していけると考えています。

21世紀を代表する会社を創るために(長瀬)

今後AIを徹底的に活用するか否かで、会社の競争力が大きく変わることをお話させてもらいました。AI時代において「技術のサイバーエージェント」を実現する上で、我々が抱えている課題と解決方法についてお伝えします。

現在抱えている課題の1つである「スケールする開発組織の構築」には、マネジメント不足を解消することと、能力密度を向上させることが重要です。

マネジメント不足解消については、2023年10月よりエンジニア向け評価制度「JBキャリアプログラム」におけるキャリアの定義に、エンジニアリングマネージャー職(以下、EM職)を追加しました。当社ではドメインやフェーズ、規模の異なる実に様々なプロダクトを展開しており、各事業で必要とするEM職の在り方が異なっていたことから、これまで事業成長を最大化するためにあえてEM職を全社で定義していませんでした。

ただ、直近3年間でエンジニアの人数が1.4倍に増え、これまで以上にエンジニア組織をマネジメントできるマネジメントの役割が重要になったことから、事業部を横断してEM職を建てつけることに決めました。(参照:「サイバーエージェント技術組織におけるマネジメント職の今」)

また、「AI/データ活用の推進」のため、今後は部署を横断したデータサイエンティストやMLエンジニア、データエンジニアなどとの連携をさらに強化し、全社スコープで定義した課題解決に向けて、様々な取り組みを進めていきたいと考えています。

AIの性能が上がり、それを使うための技術的なハードルも下がると、これまで以上に様々な施策を試せる機会が増えます。データサイエンティストとしての本業に加えて、生成AIを活用する業務も増えていくことを考えると、それらに関連したスキルの育成や文化の醸成が欠かせません。データ活用自体の戦略ももちろん大事ですが、その実現のためには、データサイエンティストの採用やそれを下支えする技術ブランディング、オンボーディングの仕組みが重要です。これまで以上に各部署が連携してスケールメリットを創出することで、サイバーエージェントの競争力を高めていきたいと考えています。

加えて、「AIの発展を会社の競争力につなげる」ためには、AIの活用を積極的に進める必要があります。当社には2016年より研究開発組織「AI Lab」が存在していますし、2023年10月より「AIオペレーション室」も新設しました。また、「賞金総額1,000万円!生成AI徹底活用コンテスト」で集まった約2,200件のうち約60アイデアを今後推進予定です。さらに、2023年11月より全社員向けに「生成AI徹底理解リスキリング for Everyone」を開始するなど、最終的に全社員が生成AIによる業務効率化や新規事業の着想を得られる状態を目指しています。

我々のコアバリューである「採用には全力を尽くす」「変化対応力」「オーナーシップカルチャー」「自由と自己責任」「チームサイバーエージェント」の5つの軸からブレずに真摯に挑戦を続け、AI時代においてもリーディングカンパニーとなって21世紀を代表する会社を皆で築きたいと思います。来年も全社一丸となって頑張りましょう。

この記事をシェア

オフィシャルブログを見る

企業の課題をAIプロダクトで解決。「AIの民主化」を目指すデータサイエンティストが挑んだ技術的ハードル

技術・デザイン

サイバーエージェントの子会社として2019年8月に設立された株式会社AI Shiftは、AIを駆使したプロダクトでカスタマーサポート業務のDX化を推進し、累計導入社数が300社以上に達しました。「人らしい世の中を創る」というビジョンのもと「AI Messenger Chatbot」や「AI Messenger Voicebot」などAIプロダクトを提供し、業界全体の業務効率化に貢献しています。また、LLMを活用したAIプロダクトの開発に注力し、これまでのプロダクトへのLLM連携や、お客様とオペレーターの対話を自動要約する「AI Messenger Summary」等をリリースしています。
株式会社AI Shiftの立ち上げ初期よりデータサイエンティストとして自然言語処理の開発を支えてきた友松に、AIをビジネスシーンに活用して製品化するためのノウハウを聞きました。

Page Top