Tech DE&Iプロジェクト
「ITは私のミライを広げてくれる」
京都女子大学にてITエンジニアのキャリアを学べる特別イベントを開催
先日、京都女子大学・paiza株式会社・サイバーエージェントの3者は、IT業界のジェンダーギャップ解消を目指し、女子学生が IT エンジニアのキャリアを学べる特別イベント「文理は関係ない!これからの時代に知っておくべきIT業界と女性のキャリア」を開催しました。
サイバーエージェントからは「ABEMA」のiOSエンジニアとして働く縣美早が、エンジニアの仕事内容や働き方、エンジニアを目指したきっかけ、自身の就職活動についてお話させていただいたほか、paiza株式会社 代表取締役社長 片山良平氏によるキャリア講演、京都女子大学の学生さんを交えた座談会が行われました。
女子大 文系学部からエンジニアの道へ進むまで
本日は、サイバーエージェントの「Tech DE&Iプロジェクト」の一環として、お話する機会をいただきました。「Tech DE&Iプロジェクト」とは、サイバーエージェントグループの開発組織におけるDE&Iを推進するためのプロジェクトです。
本プロジェクトは「リテラシー教育」「コミュニティ支援」「普及活動」の3本柱で進められており、「リテラシー教育」では組織のDE&Iに関するリテラシー向上を目指し、社内の全エンジニアに「IT業界ジェンダーギャップ勉強会」、マネージャー以上には「無意識バイアスワークショップ」を開催するなどしています。
「コミュニティ支援」では、IT分野のジェンダーギャップ解消を目指す、特定非営利活動法人「Waffle」の活動を支援しています。「Waffle」が開催するプログラムにメンターや講師を派遣するなど、女子およびジェンダーマイノリティ学生向けの育成プログラムやイベントをサポートしています。
また、女性エンジニアの「普及活動」も積極的に取り組んでいきたいテーマの1つです。4月には、女性エンジニアのためのカンファレンス「Women Tech Terrace 2023」を開催するなど、エンジニアとして働くことの魅力を伝えていくことで、IT業界のジェンダーギャップ解消に貢献したいと考えています。
本日もこのイベントを通じて、エンジニアとして働く楽しさや、皆さんのキャリア形成のヒントになれば幸いです。
まずは私の学生時代からお話を始めます。私は愛知県の普通科の高校に通っていました。当時の得意科目は英語と世界史、苦手科目は数学と物理、という典型的な文系学生で、理系科目には苦手意識がありました。
建築家になりたいという夢を持っていたこともありますが、理系科目があまりに苦手だったため、建築家の夢は早々に諦め、高校2年生で文理選択をする際には、迷わず文系へ進む選択をしました。当時は英語学習を頑張っており、将来は英語を使って海外の人と仕事をしたいな、とぼんやりと想像していたので、まさか自分がエンジニアになるなんて思ってもみませんでした。
大学は都内にある女子大の総合政策学部に進学しました。この時点では明確に目指したい職業は決まっていませんでしたが、社会学、法学、経済学、データサイエンスなど様々な分野を専門とする教授から、社会課題に対してどのようなアプローチ方法があるか、多様な視点を学べたことは非常に有意義でした。
では、そんな私がどのようにプログラミングと出会ったのかというと、初めてプログラミングに触れたのは、大学1年生の必修科目の「統計」の授業でした。
当時はR言語という統計解析向けのプログラミング言語から始まり、データサイエンスやアルゴリズム基礎、Pythonなども授業で学びました。正直この時点では、プログラミングの面白さには気付けず、あくまでも必修科目だから学んでいるという捉え方でした。
転機が訪れたのは、大学2年生の時に友人の誘いでアプリ開発を行う学生団体に入ったことでした。学生団体といっても、感覚としてはサークルに入るような気持ちで、新しいコミュニティに入るのは楽しそう程度の気軽な感覚でした。
入ったあとは、iOSアプリの企画~開発までを目標期間内に個人でリリースする、ということにチャレンジしました。Swiftという言語は初めてだったものの、授業でプログラミングを学んでいたこともあって、他の人よりもスムーズに言語習得ができた感覚がありました。
大学の授業では分析としてのプログラミングを学んでいましたが、ものづくりとしてのプログラミングを経験したことで、その面白さに気づき、のめり込むことになりました。プログラミングが楽しくなってくると、これを将来の仕事にすることもできるんじゃないか?と思いはじめる一方で、ITコンサルなどITの関連職種といった選択肢も念頭にありました。
大学3年生になり、いよいよ就職について本格的に考えはじめるようになってからは、エンジニアとして働くイメージを掴むために、インターンシップに参加したりしていました。実際にインターンシップを経験したことで、やはり新卒はエンジニアとして入社したいという気持ちが固まりました。
最終的には、様々なプロダクトを展開していること、エンジニアの先輩がモチベーション高く開発に向き合っていること、入社後もエンジニアとして成長できる環境であること、を決め手にサイバーエージェントに入社を決意しました。このようにして文系の学生だった私はプログラミングに興味をもち、エンジニアとしてIT業界に進むこととなりました。
ABEMAのiOSエンジニアってどんなお仕事?
現在は「ABEMA」のiOSエンジニアとして、日々PMやデザイナーと協力してアプリ改善に携わっています。エンジニアの仕事は、一日中パソコンと向き合ってコードを書いているイメージがあるかもしれませんが、コードを書く以外にも、アプリにどのような機能が必要か、よりユーザーが使いやすいプロダクトにするためには、どんな施策が必要かについて他のエンジニアやPM、デザイナーとディスカッションをするなど、意外と人と話している時間の方が長いかもしれません。
身近な人が「ABEMA」を自分のスマホに入れてくれていたり、その人たちから使った感想を聞けることがあると、エンジニアをやっていて良かったなと実感します。
これは、私のとある1日のスケジュールです。こちらは出社日のスケジュールですが、週に2日程度リモートワークを選択しています。
プログラミング的思考は、どんな道を選んでも役立つ
皆さんの中には、プログラミングを学ぶことが将来どういきてくるのかイメージが湧かない方もいらっしゃるかもしれません。現在はどんな業種・業界でもテクノロジーの力を取り入れている時代です。テクノロジーによって業務効率化が進められ、ITと無関係でいることの方が難しいような状態です。そのためエンジニアという職業を選択せずとも、最低限のITの知識を求められることが多くありますし、技術者とコミュニケーションを取らなければいけない場面も出てくるかもしれません。
プログラミングを通してITの素養を身につけることで、そういった際に役立つことも多いですし、この中にエンジニアを目指したいと考えている方がいれば、プログラミングの基礎を学ぶことで、他のプログラミング言語が習得しやすくなったりもします。また、プログラミングはトライアンドエラーの繰り返しです。問題があれば何が原因なのかを探り、解決方法を考えて実践します。そういったプログラミング的思考は、どんな分野に進んだとしても役立つと思います。これから皆さんがプログラミングに触れる際には、こんなふうに役立つこともあるということを覚えていただければ幸いです。
IT業界とポータブルスキル
paiza株式会社 代表取締役社長 片山良平氏からは「IT業界とポータブルスキル」というテーマで講演が行われました。
本日皆さんにお伝えしたいことは、自分の未来を自分で決めるためには、ポータブルスキルが必要だということです。ポータブルスキルとは、どんな会社でも通用するスキルのことですが、今の日本社会において、案外その会社でしか通じないスキルというものも多く存在します。
そしてIT業界、特にエンジニアはポータブルスキルが身に付きやすい業界です。プログラミング言語は、世界中のどこに行ってもJavaはJava、PythonはPythonです。またプログラミングというのは学習環境に非常にアクセスしやすいです。YouTubeにも無料の動画が溢れていますし、paizaラーニングでは初心者でも学びやすいよう、1本3分の動画で効率的に学ぶプログラムを提供しています。
実はこれは凄いことです。旧来の技術には、特許関連が厳しくオープンになっていないものも多くあります。現場に入らなければ習得することのできない技術もあります。それに対してIT業界は、情報をオープンにすることで多くの人に利用してもらい、イノベーションを連鎖させるという考え方が根付いています。
一昔前は、一律正社員採用で終身雇用、企業が個人を選び会社がキャリアを設計してくれる時代でしたが、今は個人がキャリアの責任を持つ時代です。1人1人がその経験や専門性を武器に仕事を選んでいくので、ポータブルスキルがより重要になるのです。
ITエンジニアという職種の男女比は8:2だと言われています。エンジニア=男性といったバイアスがまだ存在していることが事実ですが、私が女性にエンジニアという職業をオススメしたい理由がいくつかあります。
まずは比較的収入が高い水準であること、そして働く場所や時間の自由度が高いため、ライフスタイルの変化にも柔軟に対応しやすいことが挙げられます。そして目指すうえで学習しやすい環境が多く存在することも大事なポイントです。
女性エンジニアの数はこれから先もっと増えていくと思います。ITの力を身につけることで世界を広げていってほしいです。
編集後記
当日参加してくれた、京都女子大学の学生さんからは「IT業界は漠然と難しいイメージがあり、理系でないと就職できないと思っていたけれど、道は開けていることが知れた」「エンジニアは男性が多いイメージだったけれど、性別関係なく活躍できることが分かった」「文系からエンジニアの道へ進まれた方の話を聞いたことで、文系の私も今は枠にとらわれていないぶん、何でも目指せるんだと気付きました」などの声を聞くことができました。
また、イベント終了後に実施した座談会では、WebエンジニアとSEの違い、エンジニアとして就職するために必要な資格や経験、インターンシップの選び方、大学1年生から出来ることはどんなことがあるか、など沢山の質問をいただきました。
京都女子大学では今年から、新しい時代の情報リテラシーか?学へ?るよう情報基盤科目のカリキュラムが刷新されました。文系学部が中心の女子大学て?ありなか?ら、1 年生全員に必修て?フ?ロク?ラミンク?に触れる機会が提供されます。
京都女子大学 情報基盤センター長 宮下健輔教授は「京都女子大学は文系学部が中心の学校ではあるものの、卒業生の中にはSEとして働いている人やIT系の企業に就職した人もおり、文系出身だとしてもスキルを身につけることで活躍できます。大学生活の中で、ぜひ実際にプログラミングに触れてその面白さを感じて欲しいです」と締めくくりました。
サイバーエージェントでは、IT業界におけるジェンダーギャップ解消に貢献するため、これからも女性エンジニアの「普及活動」に積極的に取り組んでまいります。
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