藤田晋×野上祥子対談。ネルケプランニングのサイバーエージェントグループ入りについて「もっと先へ!」を語る【前編】

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先日、ミュージカル『テニスの王子様』をはじめとした2.5次元ミュージカルを手掛けて、話題作を展開し続けている舞台制作会社 ネルケプランニングのサイバーエージェントグループ入りについて発表しました。
この背景や今後の展望について、サイバーエージェントとネルケプランニングの社長対談インタビューを前編/後編にわたってお届けします。

── ネルケプランニング(通称:ネルケ)のサイバーエージェントグループへの参画について発表後、周りの方々の反響はいかがでしたか。

野上:ネルケの社員には、6月5日のリリースが発表されたと同時にメールし、翌日に緊急朝礼を開きました。グループ入りの背景と私達がこれについてすごく良いことだと思っているということを、私の口から伝えなければと。社員は突然のことで本当にびっくりしたと思います。

ネルケファンの皆様からは、非常に前向きな意見をたくさんいただきました。私から発信した「もっと先へ!」というワードとサイバーエージェントと組むことが繋がっていると伝わったようです。これから先、「新たに生まれるエンターテインメントに期待したい」といった前向きなご意見が多かったです。

ずっとお付き合いしている取引先の皆様からは、「いつも一歩先に行くね」とお褒めの言葉をいただきました。

最近、ネルケでは、1年に1度サプライズをしている状態が続いています。数年前には社長の交代があり、昨年2022年は2ndシーズンが始まりましたが、今年はサイバーエージェントとタッグを組みますと発表しました。

自分達がつくっているエンターテインメントと同じで、ずっとワクワクさせて一石を投じ続けているのが、現れてきているのかもしれません。

── 改めて、ネルケプランニングのこれまでの歩みと事業展開について教えてください。

野上:1994年に設立し、来年で30周年になります。色んなことをやってきましたが、一言で説明するならば“舞台制作会社”です。

設立当初、ネルケは小劇場の制作業務を中心に行っていました。ただ、そこで出会う才能ある素晴らしい役者さん達が日の目を見る機会が少ないと感じていて、活躍の場が広がるように、アニメの声優オーディションにお声掛けし、活躍の場を広げる機会を作ったことがきっかけで、アニメのキャスティング事業も展開していきました。
 

設立以来、演劇にはずっと関わり続けてきましたが、2003年にミュージカル『テニスの王子様』を制作したことが大きな転機となっています。それ以降、出版やゲーム会社など多くの原作元の力をお借りしながら、漫画・アニメ・ゲームを舞台化し、2.5次元ミュージカルを制作することが多くなっています。

舞台作品をつくると同時に、サンリオピューロランドや東京ワンピースタワーでのステージショー、京都・平安神宮内でのパフォーマンス、麻布十番での「美少女戦士セーラームーン」をテーマにしたショーレストランなど、劇場を飛び出してエンターテインメントを届けるテーマパーク事業なども手掛けてきました。

しかし、2020年頭に新型コロナウイルスの影響で上演を続けることができなくなった公演や施設も出てしまいました。それでも、エンターテインメントの火を灯し続けられるよう、役者やスタッフ、お客様に寄り添った提案を心がけてきて、今に至ります。
 

── 初めてネルケプランニングの作品を観た時の印象を教えてください。

藤田:一言でいうと"クオリティが高い"。裏切らないクオリティの高さが、ファンとの強い絆になっていますよね。サイバーエージェントの社員にも、ネルケのチケットを必死に取ろうとする人がいますが、あっという間に完売してしまいます。役者たちも「この舞台に立って売れる!」と情熱を持って舞台に立っていて、その姿をファンが応援し、夢中になっているのだなと、劇場で観て分かりました。
 

私自身、舞台をよく観に行きますが、商業的に成功させるためにはしっかりお金をかけて、クオリティを仕上げていく必要があります。お金をかければ必ず良いものになるとは限らないですが、ディズニーランドを見て分かる通り、細部までこだわり抜いたものは他が追随できないというか。ネルケの作品にも、そのクオリティの高さを感じました。

野上:舞台美術、衣裳、小道具などにはクオリティ維持のためにコスト面でもしっかり考えるようにしています。そこに、長年付き合っている職人のようなスタッフが素晴らしいアイデアを出し、実現させてくれます。

例えば、ミュージカル『刀剣乱舞』は、名だたる刀剣が戦士の姿となった「刀剣男士」が、歴史改変を目論む敵から歴史を守るために戦う姿を描いているため、史実に基づいた部分もある作品です。本当のことは歴史なので分からない部分もありますが、「きっとこうだったのではないか」と想像し、細部にこだわってつくり込んでいます。それがお客様との信用や信頼に繋がって、没入感を保った状態で築ける絆なのではと思っています。
 

藤田:お金をかけないと、時間もかけられないし、細部にもこだわりきれないので、ネルケがその世界を築き上げたということですよ。演劇好きとはいえ、同じ舞台を何回もリピートするというのは、大半の人はなかなかしないのではと思います。そうさせる熱狂を生み出している点が素晴らしいです。

── サイバーエージェントグループ入りをするにあたっての心境はいかがでしたか。

野上:今までネルケ1社の個性や熱量でずっと頑張ってきました。それが潔いだろうし、演劇業界からは期待の星だと思っていただけていたのではないでしょうか。ですが、ずっと1社でがむしゃらに走り続けることで、将来再びコロナのようなパンデミックが起こると、立ち止まってしまうのではないかという危機感も抱き始めていました。そのため、もし、ネルケのことを良いと言ってくださる会社があるならば、お会いしたいと社内で話していました。

このような状況の中で、藤田社長と巡り会いました。業種の違う会社で、ネルケの舞台を観てくださっており、良いと思っていただいているのは、本当にありがたかったです。今後、一緒にお仕事をすることを考えると、ワクワクすることしか思い浮かびませんでした。

サイバーエージェントグループ入りには、もちろんプレッシャーもありましたが、また一歩先に行き、冒険ができるという希望を感じましたね。

藤田:ネルケから打診を受けたとき「え!いいんですか?」と驚きましたが、その場で是非お願いしますとお答えしました。ネルケは業界でも有名な会社ですし、もし他社も株の取得ができるチャンスがあるとなると、多くの企業がビッティングに参加したいとなるような会社ですから、指名で声をかけてもらえたというのは本当によかったです。これまでにサイバーエージェントグループ入りした会社を見ていいと思ったと言っていただいたので、大事なのは普段の行いだなって思いましたね。
 

後編では、今後のサイバーエージェントグループとしての連携やネルケプランニングの展望についてお届けします。コチラからご覧ください。

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