パーパス「新しい力とインターネットで日本の閉塞感を打破する」に込めた想い

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2021年10月5日、サイバーエージェントは当社が目指す存在意義を明文化したパーパス「新しい力とインターネットで日本の閉塞感を打破する」を新たに発表しました。社外取締役も交え、多岐にわたる観点から議論を重ねて作り上げたパーパス。パーパスを掲げた背景や込められた想いについて、代表取締役 藤田と社外取締役 中村氏の2名が語りました。

新たにパーパスを掲げた背景

藤田:パーパスへ関心を持ったきっかけは、ESG投資やSDGsなど企業の社会貢献に対する世の中の注目の高まりです。社員と話す中で「仕事を通じた社会への貢献を感じ取りたい」という彼らの欲求には切実なものがあると感じていました。サイバーエージェントはインターネット広告事業において、広告の透明化や様々な産業のDXを推進し、ABEMA(アベマ)はスマートフォン時代の新たな情報プラットフォームとして成長してきた一方で、WINTICKET(ウィンチケット)など公営競技の投票サービスにも新たに挑戦しています。事業が広がり会社も成長する中、「サイバーエージェントという会社は社会にどういった貢献をしているのか?」と考える社員もいるのではないかと。

これまでもCA Tech Kids(シーエーテックキッズ)やMakuake(マクアケ)など、社会貢献の観点から始めた事業や取り組みはありますが、事業単位での取り組みではなく、我々の会社は社会に対してどのように役に立っているのかを明文化すべきでは、と次第に考えるようになりました。

中村:日本経済を振り返ると、高度成長期は企業が利益を上げることが社会的な価値向上に直結していました。すなわち商品・サービスを通じて消費者の需要が満たされ生活が豊かになり、従業員の給料も安定的に上がった。ところがバブル崩壊後、ステークホルダーの利益が必ずしも両立するとは限らなくなり、経済的価値以外も重視するなど、若い人の価値観が多様化しました。
そんな変化を背景に、現代の企業経営において「社会において企業が何のために存在し、事業を展開するのか」ということが問われるようになりました。

藤田:当初からインターネットビジネスに取り組み、まるで高度成長期の企業かのように成長を続けてきたサイバーエージェントは、これまでは会社や事業を拡大することがステークホルダーの利害と一致していましたし、その勢いに仕事のやりがいを感じる社員も多かったのです。
しかし、会社の規模も大きくなり、世の中も大きく変化している。パーパスをつくるには今が良いタイミングだと思いました。

企業経営におけるパーパスの効用

中村:最大の効用は、持続的成長に尽きます。企業は利益を追求するだけでなく、社会的課題にフォーカスして活動することで従業員やユーザー、株主といったステークホルダーから「信頼」と「共感」が得られる。その結果、ブランド認知やロイヤリティの向上、ひいては収益の増加につながります。大切なのは、パーパスと経済的価値の重なりに事業機会を見いだし、戦略的に取り組むことで中長期的な成長を果たすことです。

リクルートを例に挙げると、リクルート事件を機に「リクルートは何のために存在するのか?」を議論し今の経営理念が再策定されました。当時はパーパスも無い時代です。
そこで生まれたのが「不の解消」という概念。「不」とは生活者が抱える不安や不満、不便などを指します。リクルートは経営資源やケイパビリテイを活かし、今までにない情報価値の創造を通じて社会の「不」を解消する事が自分達の社会的価値だと決めました。それが今の「まだここにない出会い」というパーパスに進化します。
「不の解消」という共通の概念が定まったことで「何処にどんな不があり、原因は何でどうすれば解消されるのか?」とみんなの思考方法が変わり、ゼクシィなどの新規事業が生まれ、採用でも大きな成果が上がりました。
 

1981年株式会社日本リクルートセンター(現株式会社リクルートホールディングス)入社。採用開発部部長、中央営業部部長、代理店事業部事業部長、首都圏人材総合サービス事業部事業部長などを経て、99年同社取締役、2008年取締役副社長に就任。2012年より取締役相談役を務めた後、2016年当社社外取締役に就任(現職)。
1981年株式会社日本リクルートセンター(現株式会社リクルートホールディングス)入社。採用開発部部長、中央営業部部長、代理店事業部事業部長、首都圏人材総合サービス事業部事業部長などを経て、99年同社取締役、2008年取締役副社長に就任。2012年より取締役相談役を務めた後、2016年当社社外取締役に就任(現職)。

藤田:以前リクルートの新規事業プランコンテストに審査員として参加したことがありますが、皆さん口を揃えたように「不の解消」と話していたことを僕も覚えています。

パーパスに込めた想いとこれから

藤田:議論を始めたのは半年ほど前です。現在の経営体制に移行してから社外取締役の皆さんが参加する取締役会の初回テーマが「パーパス」でした。リクルートがどのように経営理念を作りあげたのかという具体的な話から聞かせてもらいました。

パーパスを考えるにあたって意識したのが、綺麗ごとではなく、腹の底から出てくるものにすること。収益をあげて納税し、新たな雇用を生み出すことが企業の前提ですし、嘘くさいものや偽善的なものは個人的にも苦手なので。創業来サイバーエージェントの中で根付いている価値観の中からいくつか候補を挙げ議論を重ねる中で「若い力とインターネットで日本の閉塞感を打破する」という言葉が好きだなと中村さんが意見を下さって。

中村:閉塞感のある社会において若い人が活躍することは社会的意義のあることですし、サイバーエージェントらしさや元気の源を表しているパーパスだと感じました。

藤田:僕も1番しっくりきたんです。創業当初から新しく登場したインターネットを使って、閉塞感が漂う日本の空気を打破することこそが社会貢献であるという想いでこれまでやってきました。例えば、ABEMAで我々がやっていることはテレビのイノベーションです。

また、閉塞感を打破するような新しいイノベーションというのは、ハレーションが起きやすく保守的になりやすい面もあるので、サイバーエージェントの原点である志を忘れないで欲しいという想いも込めています。

サイバーエージェントは若手からベテランまで活躍している会社なので「若い力で」という表現が最後まで引っかかっていたところ、中村さんから「インターネットを使いこなすのは若い人に限った話ではなく、新しいものを使いこなす人。若い力ではなく“新しい力”はどうか?」と提案をもらい、僕もすぐに腹落ちしました。こうして「新しい力とインターネットで日本の閉塞感を打破する」というパーパスができあがりました。

藤田:創業来掲げてきたビジョン「21世紀を代表する会社を創る」の実現に向け、ミッションステートメントを通じたルール作りなどを行ってきましたが、それらはこれからも揺らぐことはありません。今回定めたパーパスは、我々の志や社会で果たすべき役割を改めて示しています。

社員一人ひとりが自分たちの仕事、そして携わっている事業・サービスがパーパスと照らし合わせたときに、どういった役割を担っているのかを再解釈し、語れるようになってこそ、今回パーパスを定めた意味が生まれてきます。

我々サイバーエージェントは、パーパスを共通の軸として、これからもさらなる挑戦を続けていきたいと思います。
 

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【若手の育成】若手が“自走する”独自施策「YMCA」

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20代社員の成長を目的とした、育成施策「YMCA」。
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この「自分で考え、自分で決めて、自分でやる」というセルフ・リーダーシップの考え方に基づいた取り組みを、専務執行役員の石田は「絶好の成長機会」と話します。

若手社員の育成に「YMCA」がどう寄与しているのか、本組織の8期理事を務める上田の言葉から紐解きます。

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