【後編】デジタルとブランドの視点で考える、これからのマーケティング

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サイバーエージェント・ストラテジー※1の共同代表彌野氏(Bloom&Co. 代表取締役/ M-Force 共同創始者)をファシリテーターに、同社と協業※2するM-Force共同創始者の西口氏(Strategy Partners代表)、当社内藤が「変容し続けるマーケティングのこれから」について話したセッションの様子をお届けします。

【後編】では、【前編】の「現状の課題」を踏まえて、今後クライアント企業と広告代理店には何が必要で、何ができるようになるかを話しました。

※1 2020年4月、マーケティング戦略の策定と実行を支援するBloom&Co.との合弁会社。
※2 2020年8月、顧客戦略を起点に経営とマーケティングを支援するM-Forceとの協業を開始。

データを使って「WHO」を精緻に捉える

氏名

彌野氏

【前編】では「これまでのマーケティングや広告宣伝の課題」について、主に西口さんと私から事業会社の視点で、内藤さんからは広告代理店の視点でお話ししました。
ここからは、「では今後は何が必要で、何ができるのか」を議論していきます。

まず、前段でも話に上がった「WHO+WHAT」の重要性について。
少しおさらいですが、もともと企業は「自社は誰に(=WHO)、どんな価値を(=WHAT)提供するのか?」を見極めた上で、広告代理店にブリーフィングし、プロダクトの強みを伝える広告へと落とし込んでいました。
デジタルの興隆により、20年ほど「どう伝えるか(=HOW)」偏重の時代に入っていましたが、ここへきて改めて本質的な価値を訴えるマーケティングへ回帰しないと物が売れなくなってきている……
というのが西口さんの解説でした。

氏名

西口氏

HOW、つまり手法で短期的に成果が上がる時代が長かったので、いつの間にかWHOとWHATが見えなくなっていたのだと思います。

ですが、マーケティングは手法の前に必ず「誰に・どんな価値を」があるべきで、そこが固まって初めて手法を検討できるはず。これは、説明すれば皆さん納得いただけるのではと思います。

「誰に・どんな価値を」提供するかという「WHO+WHAT」を飛ばした状態の広告宣伝は、はっきり言って無駄な投資、趣味の投資です。
広告自体を宣伝したいならかまいませんが、広告賞は獲っても売上に結びつかない広告を打ちたいわけではないですよね。だから必要なのは、マーケティングの原点に戻ることだと思います。

氏名

彌野氏

内藤さんはどうですか?

氏名

内藤

西口さんの意見に付け加えると、WHO+WHATの明確化において、このデジタルの時代だと「WHOを精緻に捉えられる」という利点がありますよね。
顧客の姿を、さまざまなデータから浮かび上がらせることができる。
従来は小売企業が、今ではプラットフォーマーが顧客データを握っているところはありますが、D2Cの興隆からわかるように、メーカー企業も直接データを取得することに注力しています。
直接顧客とつながり、理解を深めていけるのか、今がまさに岐路だと感じます。

氏名

西口氏

同感ですね。
また、顧客理解には行動データにとどまらず、心理指標こそが大事だとも強調したいです。
すべての行動は、心理変化の結果です。

ここをブラックボックスにしたまま、誤ったKPIを追いかけていると、顧客理解は深まらないし、マーケティングでブレイクスルーするのは望めないと思います。

テクノロジーがさらに企業と顧客をつなげる

氏名

彌野氏

私からは前段でも少し触れた、認知すれば売れるはずだという”認知神話”からの脱却を挙げたいですね。
日本の広告業界で「認知」という言葉の発生頻度を下げたほうがいいし、KPIも認知から購入意向にシフトしたほうがいい。

また、競争からの脱却も大事な視点だと思います。競合ばかりを見ていると、競合他社の活動のベンチマーキングばかりしてしまい、結果、同質化していきます。
同じようなものであれば、顧客の側は安い方がいいので、値下げ競争になりカテゴリ全体が疲弊します。

「WHAT」の明確化にも重なりますが、競争するのではなく独自の価値を追求するべきです。
マーケティング業界で「差別化」や「競争優位」は隣を見て競うことだと思われていますが、実は違います。
自社の強みと、ターゲットとしている顧客が求めていること、その接続点に生まれる「独自性」こそが、競争優位性になります。

これに関連して、やはり広告の工夫ではなく「商品の独自価値をいかに生み出すか」の視点が、今後ますます必要になると思います。正直、独自価値が強ければ、広告を通してニーズのある人に届けばちゃんと売れていく。売れない場合は広告のせいではなく、半分以上は、価値の創出に問題があると理解するほうが、正しく進めます。

氏名

西口氏

マーケティングと広告を同義に考えていると、売れない場合にすべきことが整理できないですよね。

氏名

彌野氏

そう思いますね。

では、さらにこの先「できるようになること」について話したいと思いますが、内藤さん、テクノロジーの面ではどのような進化・変化がありますか?

氏名

内藤

前半で話が挙がったように、広告配信に関しては、かなり自動最適化が進んでいるので、今後はクリエイティブをリッチにする方向にどのくらいテクノロジーが寄与するかは注目しています。

また、企業と顧客が直接つながる部分を助けるテクノロジーも、今後さらに発展すると思います。

氏名

彌野氏

直接つながるとは、どういうことですか?

氏名

内藤

たとえば、EC化率の向上をサポートするとか。
現状ではそれなりの体制や組織がないと、直販ECの強化は難しい部分がありますが、そのあたりは変わっていきそうです。
顧客対応がある程度自動化されたり、データを取得しながら効果的に販売できたり……。
ただ、これは広告というより、人のリソースをかけずに売り場や決済をデジタル化することに近いですね。

氏名

彌野氏

コンバージョンポイントに近いところが、もっと自動最適化しそうだと。裏を返すと、広告テクノロジーはもうかなり成熟しているわけですね。
その点は今日の気づきでした。

本質的かつ包括的なマーケティングの可能性

氏名

西口氏

デジタルデバイスがさらに進化すると、タッチポイントが変わっていきます。
最終的にはウェアラブルデバイスが主流になり、身体に内蔵されたりして、そこに完全にパーソナライズした広告を5W1Hを踏まえて届ける未来もそう遠くないんじゃないか……と思いますね。

ただ、それはもはや"広告"と言わないのかもしれない。
当然、オプトイン・オプトアウトの判断が前提になるし、それ以外にもたとえば「ここで水が補給できますよ」みたいな命にかかわる情報や、生きるのに必要なサービスを得られるようにもなりそうです。

氏名

彌野氏

十分あり得ますね。

氏名

西口氏

ただ、個人が必要な情報がすべて自動で届くようになると、今度はまたそこのプラットフォーマーがデータを全部取得するということにもなる。
デバイス上で取得できるデータから生み出せる価値は、プラットフォーマーが総取りしてしまうので、企業は今よりもっと、データからは予測できない新しい価値を提示する必要があるということですね。

氏名

彌野氏

そうですね。「予測されていない新しい価値の提示」も、マーケティングの原点回帰と言えるかもしれません。今日議論したいくつもの潮流から、効果が出ない広告や施策は淘汰され、マーケティング業界が変化していく感じました。

最後に、冒頭で少しご紹介したサイバーエージェントとM-Forceの協業、またサイバーエージェント・ストラテジーについて、何が可能になるのかを話せればと思います。

氏名

西口氏

M-Forceでベースにしている「9segs」は、顧客セグメントそれぞれの心理を掘り下げ、どうしたら顧客化するか、ロイヤル顧客化するかを心理指標と行動指標から探って戦略に転換していく「顧客起点マーケティング」の実践を可能にします。
サイバーエージェントさんと組むと、デジタル上のマーケティングから、行動指標の把握と予測ができるようになる。

それを心理指標と接続することで、ポジティブな心理変化を起こす付加価値をより精緻に生み出せると思います。
すると、クライアント企業が定義しきれていない独自価値を提案することもできる。

それは、もともとHOWに強みがあるサイバーエージェントさんが直接、企業の戦略に関与することになります。

企業にとっては戦略から施策まで、ともに顧客に向き合って並走してくれるパートナーを得ることになると思います。

氏名

内藤

そうありたいですね。
ここまでずっと、デジタルに特化して部分最適で成果を上げてきた自覚はあるので、それを強みとしてパートナーシップの次なるフェーズに踏み出したいです。
彌野さんと立ち上げたサイバーエージェント・ストラテジーでは、顧客起点マーケティングのプロ集団として、9segsで導いた顧客戦略をベースに売上の上がる戦略の策定と実行をしっかり支援していきます。

氏名

彌野氏

「9segs」はあくまで戦略立案のためのフレームワークなので、実際に顧客が動くように促す実務の部分には各種の手法、戦略に基づいた正しいHOWの選択と実行が不可欠です。
HOWを20年追求してきたサイバーエージェントさんのケイパビリティをもってすれば、必ずマーケティング効果を最大化できると思います。
今日はありがとうございました!

■M-Force株式会社の公式アカウントのお知らせ
https://note.com/9segs
2019年4月に出版された「顧客起点マーケティング」抜粋への加筆修正、そして最新事例や考察なども含めた「顧客起点」ビジネス推進をベースとして、ビジネスを継続成長させるための本質「顧客起点」のマーケティングについてお届けしています。
 

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