北海道とタップルで創る、若い世代に向けた出会い・結婚支援
2024年3月、北海道とマッチングアプリ「タップル」は、結婚を希望する人の多様なニーズに応えるため、「出会い・結婚支援に関する連携協定」を締結しました。
本記事では、北海道がマッチングアプリと連携して目指す姿について、具体的な取り組みを交えながら、北海道新聞社執行役員営業局長 三浦雅典様にコーディネーターを務めていただき、北海道保健福祉部子ども応援社会推進監 野澤めぐみ様と(株)タップル代表 平松が対談を行いました。
北海道の少子化対策
北海道における少子化に関する課題や、これまでの少子化に関する取り組みに関して教えてください。
北海道の合計特殊出生率は令和5年時点で1.06と過去最低水準を更新しました。他県と比較しても、東京に次いで全国で2番目に低い水準となっています。
また、昨年1年間に道内で生まれた子どもの数は約24,000人と、10年前と比べて4割近い減少幅となっており、大きな危機感を抱いています。
北海道では、国の少子化トレンドを反転させるための動きを踏まえて全庁を挙げてこども施策を推進するため、昨年新たに知事をトップとする会議を立ち上げました。
「独自にできることは早期に取り組む」との考えの下、国の議論を待つことなく様々な取り組みを行ってきました。
例えば、昨年6月には知事が、「こどもまんなか応援サポーター」宣言を行い、本道のこどもたちを社会全体で応援する機運を高める取組を進めてまいりました。
また平成16年に、他県に先駆けて「少子化対策推進条例」を策定いたしました。
大人が中心となった社会の形を「こどもまんなか」に変えていくという「こども基本法」の理念を踏まえて、今年度は「こども基本条例(仮称)」の策定に取り組んでいます。
北海道は面積が広大で、市町村数も179にのぼります。各市町村が、創意工夫をこらして、地域資源や人口規模など、地域の状況に応じて独自のこども・子育て支援策に取り組んでいるのも北海道の特徴の1つです。
特にこどもの医療費助成は道内の多くの市町村で取組が進められており、北海道の支援策に市町村独自の支援を上乗せする形で、7割以上の市町村が高校生又は大学生まで助成しています。
北海道では、道内市町村の結婚や子育て支援策を、道のHPで一覧できる形で発信しています。
こうした様々な施策を通じて、結婚や出産を望む若い世代の希望をかなえることができるよう取り組んでまいりました。
北海道とタップルの連携の背景
「タップル」とは2024年3月に「出会い・結婚支援に関する連携協定」を締結されましたが、その経緯を教えてください。
先ほど述べたように、子どもを産み育てやすい環境整備と併せて、結婚を望む方への支援も重要だと認識しています。
北海道ではこれまで、結婚を望む方や婚活支援を行う方向けの相談窓口を開設したほか、オンライン婚活イベントの開催、結婚支援に関するフォーラムの開催等に取り組んでまいりました。
一方で、イベントや取り組みなどについて、特に若い世代にどうやって知っていただくかという点は、常に課題を感じています。
また、夫婦の出会いのきっかけとしてマッチングアプリが4分の1を占める等の民間調査結果などを踏まえると、より多くの媒体を活用し、若い世代の希望やニーズに合った支援を考えていく必要があると考えていました。
そうした中で、「タップル」と情報交換の機会があり、
①「タップル」のアプリ利用者の中心が20代~30代の若い世代であり、北海道が重点的に支援すべき対象者と一致していたこと
②「タップル」のノウハウ・情報発信力によって、従来の手法ではアプローチできなかった層を巻き込むことができること
など、連携によって多くのメリットが生まれると感じ、協定締結に至りました。
併せて、行政が関わる以上、利用者の安全・安心の確保が不可欠です。
「タップル」では、法令遵守や本人確認、個人情報の管理などを内容とするIMS認証という第三者の認証制度で認証マークを取得されるなど、安心して利用できるシステムづくりに取り組まれている点も、協定を結ぶ理由の1つとなりました。
「タップル」としての協定締結の経緯も教えてください。
「タップル」は設立10年目になり、マッチングアプリの中ではかなり老舗の方になってまいりました。
「恋愛総量の最大化」というパーパスを掲げており、これまで9つの自治体の皆様と連携協定を締結させていただき、少子化問題をはじめとした社会問題の解決を目指してまいりました。
先ほど野澤様からおっしゃっていただいたように、北海道においても地域の少子化問題や人口減少に対しての課題を抱えていることをお伺いし、この度連携協定という具体的な提案を併せてさせていただく運びとなりました。
連携協定締結後、すでに実施している取り組みがあれば教えてください
1つ目は「市区町村設定機能」の開発です。
これまでタップルでは、プロフィールの居住地を都道府県単位でしか設定することができませんでした。道内は面積が広く、街同士が離れていることから、「同じ道内でマッチングしてもお相手と会うことが難しい」というご意見をいただいておりました。
そのようなお客様の声を拾い、地方にお住まいの方がより距離の近いお相手とマッチングしやすくなることを目的に、2024年5月にプロフィールの居住地設定にて市区町村項目を追加いたしました。
さらに7月には、プロフィールで設定している市区町村を起点として、指定した範囲にお住まいのお相手を絞り込むことができる機能をリリースし、北海道内のお客様がよりお相手と出会いやすくなる環境を提供しています。
この機能は、現在北海道を居住地に設定しているお客様の約半数の方にご利用いただいております。また、この機能は全国で展開しておりますが、道内での設定率は全国1位となっており、実際にお客様がお相手とより会いやすい環境をご提供できている手応えを感じております。
2つ目に、連携協定に基づいて7月、「タップル」アプリ内でアンケート調査を行いました。
今回の調査では、結婚相手の見つけ方や結婚に対しての考え方、自治体が実施する出会い・結婚支援の取り組みに求めることなどを中心にヒアリングを行いました。
結果については現在集計中ですが、全国と北海道の回答結果を比較することで、今後の結婚支援の取り組みに活かしていきたいと考えています。
そして、3つ目の取り組みとして、先日行われた「北海道マラソン」へのブース出展も行いました。
このブースでは、フルマラソン完走という感動的で輝いている瞬間をプロカメラマンにより撮影させていただきました。撮影した写真データを無料でお渡しし、マッチングアプリをはじめとした婚活や恋活のプロフィール写真として使っていただくような取り組みです。
そのほかにも、ブースではマッチングアプリを安心安全にご利用いただくためのオンライン護身術ガイドブックや、「タップル」内でご利用いただけるクーポンの配布などを行いました。
北海道マラソンで見えた若い世代との接点づくり
「北海道マラソン」での共同のブース出展は面白い取り組みですね。
もう少し詳しく、取り組みの狙いや背景を教えてください。
協定締結後、野澤推進監より「北海道マラソン」のご担当者をご紹介いただき、「北海道マラソンを出会いの場として活用し、打ち出すことができないだろうか」というご相談をいただいたのがきっかけです。
また、お話を伺う中で、マラソンの参加者の半数以上がお1人で参加されるということを伺い、恋活支援と今回のマラソンイベントは非常に親和性が高いのではと考えるようになりました。
その後、社内で色々と企画を出した中の1つが、今回の「マラソン完走後の感動的な瞬間の写真をとって恋活・婚活に使ってもらう」というフォトブースのアイデアです。マッチングアプリにおけるプロフィール写真にどのような写真を設定するかは、恋活・婚活の成否をわける重要な要素の1つです。しかし、誰もが適した写真を持っているわけではないため、このような機会があれば、より多くの人の出会いをサポートできるのではないか、と考えました。
「タップル」のアプリ内で過去にとったアンケートによると、マッチングアプリで印象の良いプロフィール写真の条件として、「笑顔である」「全体のファッションや雰囲気がわかること」「好きなことや趣味がわかること」「画質が良いこと」の4項目が上位に挙げられます。42.195kmという長い道のりを走り切った後の達成感に満ちたとびきりの笑顔の写真を撮影することで、こういった印象の良いプロフィール写真の条件に合う写真を設定できるため、フォトブースという形で新たに北海道マラソンを出会いの場として活用できるのではないか、という流れで開催に至りました。
野澤推進監・平松社長もブースにお越しいただき、ご覧になられましたね。
北海道マラソンでの取り組みはいかがだったでしょうか?
思った以上に多くの方が立ち寄ってくださったなと思っております。
マッチングアプリというのが、私たち世代が考えている以上に多くの方にとって身近なツールになっているんだなというのを感じました。
前日の準備の段階で、特に若い方から「あ、タップルだ」とお声がけいただけることも多かったので、「タップル」の認知が広がっていることを実感しました。
また「自治体とマッチングアプリ企業がマラソンにブースを出している」という意外性もあったかなと思っています。
実は当日誰も撮ってくれなかったらどうしよう…という心配もありましたが、うれしいことに列ができるほど並んでいただいたので、本当に良かったと思っています。
そして、私服だと絶対出せないような爽快感や達成感のある笑顔が、撮影している横から見ているだけでも感じられたので、みなさまの魅力が何倍にもなるような写真が撮れたのではないかなと思っています。
今後の展望~若い世代に向けた出会い・結婚支援
連携協定における今後の展望をお聞かせください。
北海道では、先ほども述べたように、結婚を望む方へ向けてさまざまな取り組みを行ってまいりました。
一方で、恋愛や結婚、出産等を巡っては、若い世代の中でも考え方が多様化しているように感じます。
また、マッチングアプリを始めとした様々な婚活サービスが提供されており、若い世代は、そうした新たな技術やサービスを自分のライフスタイルに合った形で使いこなしています。
そうした状況を踏まえると、結婚への支援に関しては、行政がやるべきことと、行政だけでは人々のニーズに十分に対応できず、民間企業や団体の皆さまと協力するべき部分とがあると思っています。
今回のブース出展は、北海道にとって連携の好事例だと考えています。マラソンと婚活という、一見、全く関係ないと思えるものを組み合わせる発想や、どんなイベントであれば、婚活中の方に関心を持っていただけるかなど、「タップル」のノウハウがなければ実現し得なかった取組だと実感しています。
また、秋に開催を予定している道の結婚応援フォーラムでは、タップル様から講師を派遣いただき、マッチングアプリの安全で効果的な利用方法や、他県の取組事例などについて報告いただく予定です。「タップル」での経験等をお話しいただくことで、道内各地で婚活支援に取り組む団体の更なるサービス向上につながるものと期待しています。
「タップル」が持っている知見やノウハウは、道にとっても大変貴重なものだと思っており、結婚を望む若い世代の希望をかなえることができるよう、引き続き連携をしていきたいと思っています。
今回のブース出展を通して、自治体とマッチングアプリ企業が共同で、地域の若い世代が集まるイベントに参画することは、とても有意義な取り組みだと感じました。
これまで色々な自治体の皆様とお話しする中で、「若者向けに恋活・婚活セミナーなどを行いたいが、若者との接点作りに頭を悩ませている」というお話を聞くことが多くありました。
しかし、今回のマラソンイベントのように、すでに若者がたくさん集まるイベントを恋活・婚活の場として活用することでそのような悩みが解消され、効率的に若い世代へ結婚や恋愛の支援をすることができると思っています。
こういった若い世代の集まるイベントやスポットを活用した「3者連携」のモデルは、今後のマッチングアプリと自治体での少子化対策における1つのモデルになるのではないかなと考えています。
今後もこういった取り組みに積極的にチャレンジしていくことで、1人でも多くの若い世代の結婚・恋愛のサポートを行い、北海道の恋愛総量最大化に貢献していければと思っております。
記事ランキング
-
1
未来のクリエイターへ贈る実践的カリキュラム!日藝×サイバーエージェントが仕...
未来のクリエイターへ贈る実践的カリキュラム!日藝×サイバーエージェントが仕掛ける、学生の未来を拓く産学連携
未来のクリエイターへ贈る実践的カリキュラム!日藝×サイバー...
-
2
代表藤田が新入社員に伝えた、社会で活躍するために必要なこと
代表藤田が新入社員に伝えた、社会で活躍するために必要なこと
代表藤田が新入社員に伝えた、社会で活躍するために必要なこと
-
3
大人気IPをゲーム化「呪術廻戦 ファントムパレード」。ファンの期待を超える、...
大人気IPをゲーム化「呪術廻戦 ファントムパレード」。ファンの期待を超える、ゲームデザインの裏側
大人気IPをゲーム化「呪術廻戦 ファントムパレード」。ファン...
-
4
「N organic」のクリエイティブディレクターが語る、緊張感に満ちたリア...
「N organic」のクリエイティブディレクターが語る、緊張感に満ちたリアルプロダクトをつくる魅力
「N organic」のクリエイティブディレクターが語る、緊...
【Ameba20周年】これまでのあゆみと見つめ直した“ブログならではの価値
当社の事業において、もっとも長い歴史をもつメディアサービスであり、日本のインターネットサービスの変遷とともに変化し続けた「Ameba」が、2024年9月15日に20周年を迎えます。
現在、国内有数のプラットフォームサービスとして生活に根付いた様々なサービスを提供していますが、その中心となっているのが、2004年のサービス提供開始以降、圧倒的な知名度と媒体規模で長年に渡ってユーザーから支持され続けている「Amebaブログ」です。
AmebaLIFE事業本部の下山は、「新たなSNSが次々と台頭したり、様々な社会変化が起きる中、ブログはその価値を進化させてきました」と語ります。
本記事では、「Ameba」のこれまでのあゆみを振り返るとともに、新ブランドスローガン“ありのままが、ここにある。”を掲げた「Amebaブログ」の今についてご紹介します。