新卒3DCGアーティストが伝える、Mayaの魅力と学生向けコンテストで大切にしたこととは

技術・デザイン

サイバーエージェントでは、2023年10月2日(月)までの期間で、次世代を担う3Dデザイナーを発掘する学生向けコンテスト「3D Anima powered by CyberAgent」を開催しています。本コンテストは、第一線で働くデザイナーの方々を審査員に迎え「サウンドから創造される3DCG」というお題で実施いたします。また、今回は3DCGソフトウェアのMayaや高品質レンダラーのArnoldなど、様々なトッププロダクトを提供するオートデスク株式会社が協賛企業として参加いたします。

本記事では、協賛企業であるオートデスク株式会社より築島様をお招きし、コンテストの審査員であり、受賞経験者でもある、アプリボット 3DCGアーティストの松田空を交えて、Mayaの魅力やコンテストに応募した制作を通して大切にしていた心構えなど、お話しいたしました。

<オートデスク株式会社のご紹介>
オートデスクは、3D 技術を使ったデザイン・設計、エンジニアリング、エンターテインメント向けソフトウェアのリーディング企業です。メディア&エンターテインメント事業部では3DCGソフトウェアのMaya、3ds Max、プロジェクト管理ツールのShotGrid、高品質レンダラーのArnoldなどエンターテインメントの業界で使用されているプロ向けのソフトウェアを提供しています。

Profile

  • 築島 智之 氏
    2013年オートデスク入社。コンサルティング部門のソフトウェアエンジニアとしてゲーム業界全体を支援。モデリングからアニメーション、レンダリング、カットシーン等様々なアートワーク作成及びテクニカルアーティストとしてMel、Python、APIを使用したツール製作まで幅広く開発に従事。

  • 松田空
    2023年サイバーエージェント入社。現在はアプリボットにて3DCGアーティストとしてゲーム開発に従事。学生時代に同社が主催するコンテストに応募、2年連続でノミネート。第一回では準グランプリを受賞。

授業でMayaに触れてから、3DCGに夢中に

築島氏:初めまして、築島と申します。本日はよろしくお願いいたします。早速ですが、現在のお仕事について教えていただけますでしょうか。

松田:現在は、主にキャラクターモデラーとして新規プロジェクト開発に携わっています。キャラクター制作のほかに、グラフィック・プロップや平面図なども見ることがあり、幅広く担当しています。築島さんは、どのようなお仕事をしていますか?

築島氏:私は、元々ゲーム会社で10年間ほど3DCG開発に携わっていました。その後、オートデスクでソフトウェアエンジニアとして、ゲーム業界全体のバックアップといったお仕事をしています。私も3DCGに興味があってゲーム業界に足を踏み入れましたが、松田さんには何かきっかけはあったのでしょうか?

松田:小さい頃から絵を描くことが好きだったんです。将来の進路をどうするか真剣に考えたときに「映像系に挑戦したい!」とぱっと頭に浮かんで、映像科がある専門学校に入学しました。3DCGを学ぶようになったのは、専門学校からでした。Mayaを使う授業があって、よく使うようになり、そこから3DCGの面白さに取り憑かれてしまい、今に至ります。

築島氏:取り憑かれてしまったんですね(笑)たしかに、学校にあればどんどん触ることができるため、使いこなすことができますし、そのスキルが就職でも有利になりますもんね。

松田:学校はもちろん、自宅のパソコンでも趣味として、1日中ずっとMayaを使って作品づくりをしていました。スキルを伸ばせた理由としてそれもありますが、学生時代にたくさんのコンテストに参加したことも大きかったと思います。

写真と見間違えるほどの“リアルさ”を追及

築島氏:今回「3D Anima powered by CyberAgent」が開催されているため、コンテストに関連するところを詳しくお聞きしていきたいと思います。今まで、どのような作品をコンテストに応募していましたか?

松田:今回のコンテストの前身である、第2回「CG Grand Prix “3D Cross” powered by CyberAgent」では、竜人を従えたオークを描いた、ハイパーフォトリアルの作品をコンテストに応募しました。

第2回「CG Grand Prix “3D Cross” powered by CyberAgent」キャラクターモデリング部門 ノミネート作品
第2回「CG Grand Prix “3D Cross” powered by CyberAgent」キャラクターモデリング部門 ノミネート作品

築島氏:3DCGを始めてからはずっとハイパーフォトリアル系の作品をつくっていたのでしょうか。

松田:最初の頃はつくってはいなかったのですが「ArtStation」や海外アーティストの方が発信している作品に触れるようになってから魅力を感じるようになっていきました。私も、このジャンルで、ものづくりをしていきたいと強く思うようになり、ハイパーフォトリアルの作品をつくり始めました。Mayaがあれば一人でもつくることができますし、重いテクスチャーでシェーダーを組んでも、Mayaは安定しているので私のメインツールとして使わせていただいています。

築島氏:そう言っていただけて嬉しいです。竜人を従えたオークを描いたこちらの作品ですが、画像を拡大して見ても、毛の質感がリアルで、細かくつくってあることに驚きました。オークが実際に生きているような生々しさも感じます。本作品をつくるにあたってこだわったところはありますか?

松田:キャラクターの造形の細かさという部分で、一つ一つがリアルではないと気持ち悪いと感じるため、膚の反射や皺の寄り方、髪の毛の生え際まで質感にこだわりました。寄っても、引いて見ても、できるだけ写真に近づけるように工夫しています。また、キャラクターの設定やバックグラウンドまで考えて作品に反映させることも大切にしました。例えば、このキャラクターの性格的に、質の高いピカピカの指輪はつくれなさそうだと想像して、意図的に指輪の質感をこのように仕上げています。

築島氏:キャラクターのバックグラウンドまで設定を決めてつくっているんですね。これは全部Mayaかと思いますが、髭や髪の毛はXGenを使っているのでしょうか。

松田:髪の毛から顔や身体の産毛まで、ファーに関しては全てMayaのXGenを使用して制作しています。今回、時間が限られていたので、ファーの制作においては、クオリティと同じくらいの制作スピードが求められていました。ですが、XGenであれば、直感的に素早くリアルで、質の高いファーを制作することができるため、かなりのスピード感をもって制作を進めることができました。逆に、予想以上に早く制作が進んだので、空いた時間で作品の細かい調整やブラッシュアップに時間を使うこともできました。つくりたい部分、直したい部分をスピーティーに構築でき、使い勝手が良いため、お気に入りのツールです。

築島氏:時間が限られていた中でこのクオリティまで仕上げたのはすごいですね。逆に大変だったところはありましたか?

松田:第1回目から「CG Grand Prix “3D Cross” powered by CyberAgent」に参加しているのですが、毎回「課題のモデルを使ってどうつくるか」をテーマとして出されていたため、課題を使った構成を考えることが難しかったです。頭を捻らせた結果、第1回目のときに出したこの作品では「動物園にいるチンパンジーがおもちゃの竜人を握り、眺めている」というストーリーを立てて描きました。第2回目に応募したオークの作品でも、人型のキャラクターをつくったこともあり、映画のワンシーンのように竜人を引き連れているという瞬間を描きたいと思い制作しました。先にストーリーを立てて構図を考えていくと、スムーズに作業が進むこともあるためおすすめです。

第1回「CG Grand Prix “3D Cross” powered by CyberAgent」キャラクターモデリング部門 Semi-GrandPrix作品
第1回「CG Grand Prix “3D Cross” powered by CyberAgent」キャラクターモデリング部門 Semi-GrandPrix作品

コンテストに参加するだけでも身になる

築島氏:今までご紹介いただいた作品は、元々コンテスト用につくったものになるのでしょうか。

松田:第2回目の作品については、コンテスト用に作りました。でも、第1回目に提出したおもちゃを握っているチンパンジーの作品は、学校で出された課題でつくったものをブラッシュアップして応募しました。

築島氏:学校でつくったものをコンテスト用に調整して応募するのも良い方法ですよね。学校だと絶対に課題があるので、時間の都合で応募する作品を用意することが難しい学生の方は、課題でつくったものを出してみるのもいいかもしれません。プロの方よりフィードバックもいただけますし。

松田:私自身、最初の頃は技術力が足りなくコンテストで入選できていませんでしたが、サイバーエージェントのコンテストでは、参加するだけでもプロの方からフィードバックがもらえますし、改善点を知ることができるため、気軽に参加してみてもいいかと思います。今回紹介した作品も今までいただいた「一部のディテールをつくりこみすぎて全体のバランスが悪くならないように」というフィードバックを活かしています。

築島氏:そうだったんですね。松田さんはたくさんのコンテストに参加してきたと思いますが、ほかに学生のときにやっておいて良かったことはありましたか?

松田:やっぱり一点突破でたくさんの作品をつくっていったことです。私の場合は、ハイパーフォトリアルをつくりたいという思いが根底にあって、それを軸に据えて学生時代、作品づくりに打ち込んできました。今、新卒採用などで私も学生の方と触れ合う機会があるのですが、やりたいことが伝わるポートフォリオには魅力を感じるところがたくさんあります。学生のうちに挑戦していきたいジャンルなどを見つけて、熱量高く集中して制作することがいいと思っています。

築島氏:学校のほかでも自分なりに情報を集めて作品をつくってみる。時間をかけた分、成長できると思いますし、どれだけやったかを逆手に楽しんでできる方が伸びると私も思います。今回、協賛した理由のひとつとして、松田さんのような学校でMayaを使ったことがきっかけとなり、3DCGの世界に足を踏み入れる学生が増えたらいいなと思い参加しました。本日はお話できて楽しかったです。学生の頃に見つけた松田さんの好きなことが、仕事に繋がったお話を聞くことができて嬉しく思います。

松田:仕事でも大好きな3DCGに触れることができて、今すごく幸せです。学生の方は作品づくりで大変なこともあるかと思いますが、情熱を忘れずに頑張ってほしいと思います。

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