【エンタメ×テクノロジー】エンタメテックを次の事業の“柱”に

「クリエイティブと技術力でグローバルへの挑戦を目指す」
サイバーエージェントは、強化分野としてエンタメテック事業に力を注いでいます。
エンタメテック事業は、ABEMAをはじめとするインターネットサービスの提供で培ったノウハウや最新技術をエンターテインメント領域へ活用する事業の総称です。
PPV配信や収益化支援の他、ファンコミュニティアプリの開発・提供などを展開し、コンテンツスタジオ「BABEL LABEL」やアニメ事業本部では次々とオリジナルコンテンツを創出しています。
エンタメテック事業の全体像と未来の展望について、当社専務執行役員 山内からご紹介します。
Profile
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山内 隆裕 / 株式会社サイバーエージェント専務執行役員 / 株式会社CyberZ 代表取締役社長
2006年サイバーエージェントに入社。2009年にスマートフォン広告子会社CyberZを設立し、代表取締役に就任。
2012年には当時最年少でサイバーエージェント取締役、2020年より専務執行役員に就任し、現在はエンタメテック事業を統括する。
サイバーエージェントのエンタメテック事業とは
── エンタメテック事業を強化している背景を教えてください。
サイバーエージェントでは、2004年から「アメーバブログ」を開始し、近年は「ABEMA」の運営を通じて、芸能プロダクションやコンテンツホルダーとの関係性が広がりました。
エンタメテック事業は、当初「ABEMA」の放送外収益分野として、新たなエンタメビジネスを仕掛けることからスタートしました。
アニメファンドによる出資や合弁会社CyberLDHの設立、CyberFightやBABEL LABELのM&Aが進み、現在はエンタメテック管轄として私が責任者を務めています。これらを整理するとコンテンツの”マネタイズ”と”クリエイション”に分けられます。

強化分野として加速した背景は、新型コロナによりエンタメ業界が大きな打撃を受けたことです。インターネットを通じてエンタメを届けることで、業界の方々を少しでも助けたいという想いで一気に進めていきました。
OTT(ネット経由でコンテンツを配信する動画配信サービス)市場が右肩上がりに伸びていますが、人々の可処分時間もそれらへの消費が増えています。
韓国で「BTS」や「愛の不時着」の世界的ヒット事例があるように、いいコンテンツを作ればデジタルプラットフォームなどを通じて世界に届けられることが証明されていますよね。それを当社でも仕掛けている最中です。

格闘技PPVでは50万以上の券売を記録
── サイバーエージェントグループとしてはどういった強みが活かせるのでしょうか。
強みは大きく3点あります。

ひとつは、ネットを起点にしたコンテンツの企画とマーケティングです。情報が溢れる昨今、話題になり得る企画と適切に届けるマーケティングが不可欠です。
例えば、「ABEMA」でファンを付けたコンテンツをどのようにサブスクリプションでも見てもらうか。または、YouTubeやTikTokなどで拡散する素材をどう作れば続きが観たくなるかといった、ユーザー心理に基づいた施策を強化して取り組んでいます。
もうひとつは、技術とクリエイティブ力です。昨年「ABEMA」のW杯中継の配信技術に注目が集まりましたが、ノウハウはグループ内で共有しています。エンタメテック領域においても、ハイクオリティな映像配信と使い心地の良いアプリの開発力を強みとしています。
さらに加えて私が管轄する部門では、インターネット業界の変化に伴うビジネスチャンスに対してスピード感を持って事業を立ち上げています。いち早く順応できる強い組織づくりを行うことで、常に新しいビジネスモデルに挑戦し続けていますね。
── コンテンツのマネタイズにおいては具体的にどういったことに取り組んでいるのでしょうか。
音楽ライブやスポーツ・格闘技など興行の映像配信を行う「ABEMA PPV ONLINE LIVE(アベマ ペイパービューオンラインライブ)」や、ファンとアーティスト・タレントが交流できるファンコミュニティアプリ「FanTech(ファンテック)」を提供しています。
中でもPPVで配信した、2022年の格闘技大会「THE MATCH 2022」は50万券越えの券買を記録し、新たな視聴習慣が根付いた実績となりました。

映像もアプリも高品質で提供できるよう、コンテンツホルダーとはモチベーション高く企画・開発できる体制づくりを工夫しています。例えばエイベックスとの「AWA」やLDHとの「CL」では合弁会社を設立することで、エンジニアやクリエイターが主体的に提案できる環境を作っているんです。
グローバルを見据えた機能開発にも注力しています。海外現地のチケット会社と連携して、決済機能の利便性を高めるほか、アプリや配信での多言語にも対応しています。これにより、一部のコンテンツでは約40%が海外から視聴されたものもありました。
世界的ヒット作品の創出を目指す
── 一方、コンテンツのクリエイションにおいては、どういったことに取り組んでいるのでしょうか。
コンテンツを1から創ることは新しい分野ですが、いま仕掛けているところです。良いコンテンツを創れば世界中に届くとすでに証明されているので、ABEMAのみならず幅広いプラットフォームでの配信を前提に考えています。

コンテンツスタジオのBABEL LABELはハイクオリティな日本発の映像コンテンツを生み出すという共通目標で、サイバーエージェントにグループ参画しました。先日Netflixとのパートナーシップを発表しましたが、これにより全世界公開を前提とした大型企画をより一層進めていけると思います。
アニメ事業本部は、「ABEMA」のアニメチャンネルが人気を博していたこと、アニメと相性の良いゲーム事業がグループ内にあることから、最初はアニメファンドとして始まり、2018年にコンテンツ創りを本格始動しました。
子会社eStreamとのグッズ開発など、二次流通までを含めた企画を強みとしています。ヒット作品の創出はもちろんのこと、アニメビジネスにおける新たな収益モデルを創ることも目指しています。
さらに、これらを原作から創ることを目指して、Webの縦読みマンガ事業「StudioZOON」もCyberZで立ち上げ中です。人気ドラマ「梨泰院クラス」も縦読みマンガが原作ですからね。
── エンタメテック分野における今後の展望をお聞かせください。
世界的ヒットを生み出すこと、そして多くの人に素晴らしい映像とユーザー体験を提供していきたいですね。これによって勇気づけられる人がいたり、僕らの向かう未来に少し役立ったり、人々にエナジーや感動を届けていきたいと思っています。
エンタメテック事業に取り組むうえで、アニメや格闘技、映像領域の最大市場を定義しており、それぞれが成立して来たらきちんと大きくなってくると見ています。
日本のトップレベル、そして世界に通用するレベルで大きく事業の仕込みを行い、サイバーエージェントの起爆剤となるよう、勝負したいですね。

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