入社10年目Unityエンジニアが、組織横断の活動に積極的に取り組む理由

100以上の子会社に約2000名の技術者が携わるサイバーエージェントの特色の一つが、部署や子会社の垣根を超えて積極的に実施されている横軸の取り組みです。技術的課題の解決や、ナレッジの共有、採用、育成、活性化施策などその対象は実に様々です。グループの中でも特に横軸の活動に力を入れているのが、ゲーム・エンターテイメント事業部 (SGE)。
「自分たちの組織は自分たちでつくる」という考え方のもと、技術者たち自ら、組織課題の解決のため積極的に取り組んでいます。同組織のエンジニアボードメンバーとして様々な横軸施策に携わる吉成に話を聞きました。
Profile
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吉成 祐人
2013年新卒入社。Amebaでのゲーム開発を経て、2016年QualiArts設立時よりUnityエンジニアとして様々な新規プロジェクトの開発に携わる。また、ゲーム・エンターテイメント事業部 (SGE) のエンジニアボードメンバーとして、ゲーム事業に携わる10以上の子会社を横断した採用、育成、組織活性化の取り組みを推進している。
横軸の活動を抱え込み、開発の時間が十分に取れなくなった7年目
── 現在の役割を教えてください。
子会社 QualiArtsの「IDOLY PRIDE」プロジェクトで、Unityによる機能開発を行っています。リリースまではSpineで作成されたSDキャラを扱う仕組みと「お仕事」という放置ゲーム部分の実装を担当し、現在は新規イベントの実装などに携わっています。
また、プロジェクト外では、QualiArtsとゲーム・エンターテイメント事業部 (SGE) のエンジニアボードメンバーとして活動しています。主に取り組んでいるのは、技術戦略の策定や日々の課題に対する議論やアクションの他、採用、育成、組織活性化です。ゲーム事業に関わる10社以上の子会社の垣根を超えた、これら横軸の取り組みは数年前まで自ら運営を主導していたものの、現在は育成のため意識的に若手メンバーに任せるようにしています。採用、育成共に若手にリーダーを担当してもらい、私自身は戦略のすり合わせやアドバイスを行う形で関わっています。
── 横軸の取り組みについて、自身の関わり方を変えたきっかけは何ですか?
2019年頃、自分が担当している横軸活動が大小合わせて10を超えていました。それにより開発の時間が思うように取れず、組織づくりにおいても新たな取り組みを行う余裕が無くなってしまい、この状況を改善しなければと強く感じました。抱え込んでいた横軸活動を減らそうと考えたものの、引き継ぐメンバーがいないという課題に直面しました。そのため、これまで十分には出来ていなかった若手メンバーの育成と、引き継ぎの仕組みをしっかり整えることにしました。具体的には、いずれ自分たちが推進していくという意識を若手に持ってもらいつつも、まずは私がリーダーを担当したまま約1年間一緒に活動しました。そしてリーダーを引き継いだ後もいちメンバーとしてサポート役に回り、最終的にはメンバーからも卒業して全てを任せ、定期的に戦略のすり合わせやアドバイスなどを行う関わり方に変えていきました。このように段階的かつ手厚く引き継ぎを行うことで、自ら決断して推進できる若手メンバーが多く増え、組織全体が成長したと思います。最近では新卒1,2年目のメンバーたちが自ら宣言して横軸の技術組織を立ち上げる事例もあり、とても頼もしいです。
SGEでは「自分たちの組織は自分たちでつくる」という考えを大切にしているため、組織づくりを属人化させずに、若手世代に循環させていく文化を構築できて良かったです。

10年間で5つの新規プロジェクトを経験、自ら宣言することから始めた
── エンジニアとして歩んできて約10年、キャリアの転換点になったと感じる出来事はありますか?
開発においては、プロジェクト異動のタイミングが毎回転換点でした。新規プロジェクトに所属して立ち上げを行い、その後運用が安定したら次の新規へ異動というケースが多く、この10年間で5つのゲーム開発に携わってきました。はじめは「異動するなら次は新規プロジェクトでこのようなチャレンジをしたい」と自ら宣言していました。挑戦を応援してくれる会社なので宣言することで上長に背中を押してもらい、新たな経験を積むことができました。その後複数のプロジェクトで新規開発の経験を積んでいく中で、手前味噌ではありますが周囲の人々に信頼してもらい、次も吉成に任せたいと思ってもらえたようです。ありがたいことに、今では新規プロジェクトの話が出るタイミングで声をかけてもらえる機会が増えたと感じます。上長に、「ものづくりとチームづくりどちらにおいても、何もない状態からプロジェクトを推進していく力が強い」という言葉をもらった際には嬉しかったですね。チームづくりは、横軸活動での経験が活きているのかもしれません。
異動のたびに求められる要件も異なるため技術領域も広がり、それぞれが自分の成長に大きく繋がるターニングポイントです。近いうちにまた新規プロジェクトへの異動の予定があり、また新たなミッションに取り組めるので今からワクワクしています。
また、横軸活動においては任されるミッションの範囲が大きくなったタイミングが、視野が広がり物事の考え方も変わる重要な契機になりました。入社当初は自分が所属するプロジェクト内の活性化施策を推進していました。そこから細かな取り組みを積み重ねていく中で、任されるミッションのサイズが複数チームを対象にしたものからQualiArts、SGEと徐々に大きくなり、現在はSGEのエンジニアボードメンバーを担当しています。対象範囲が大きくなるにつれて意識的に組織を俯瞰するようになり、さらに様々な人たちと対話する機会が増えたことで視野が広がりました。また、経営層との会議に参加することで、入ってくる情報の量や質も急速に高まりました。その時の経験も踏まえて、メンバーには可能な限り丁寧に情報を伝えるよう心がけています。
── 社内外問わず、ロールモデルはいますか?
それぞれの領域で尊敬する先輩方はいるものの、現場でコードを書き続けながら組織づくりにも取り組む、今の自分の働き方に近いロールモデルはこれまで少なかったと思います。最近はキャリア志向に関係なく、組織づくりに興味があるエンジニアであればそれらに携わる環境が整ってきたものの、以前はマネージャーが組織づくりを主導することが多かったと感じます。実際に「横軸活動に取り組んでいると、開発現場の最前線でコードを書けなくなるのでは」と若手が危惧する声を聞いたこともあります。そのため、最前線でコードを書きながらも組織づくりにも注力できることを自らの背中で見せたいです。

── 最後に、今後の展望について聞かせてください。
SGEでは「自分たちの組織は自分たちでつくる」という考え方を大事にしており、全員が当事者意識を持って働ける組織を目指しています。引き続き開発とより良い組織づくりの両方に取り組みながら、プロジェクトやQualiArtsだけでなく、SGE、サイバーエージェント全体の成長に貢献していきたいです。そして、「最前線でコードを書きながらエンジニア領域を広げ続け、組織づくりや横軸活動も担う」モデルケースになりたいと考えています。そのためには、さらに高度な技術的知見の習得や組織づくりの経験を蓄積し、年次に関係なく、誰もが気兼ねせずに全力で仕事に取り組める組織を目指したいです。
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