「型に縛られずに、新たな領域にいち早く挑戦」
入社3年目でゲーム子会社CTOに就任、その後7年間のキャリアと想い

技術・デザイン

これまで様々な技術者のインタビューをお伝えしてきましたが「若手社員の活躍のイメージが強いので、もっと多様なキャリアを知りたい」という声をいただくことが増えました。

そこで今回話を聞くのは、2014年10月に入社3年目でサイバーエージェントの子会社GOODROIDの立ち上げに参画し、同社CTOに就任した永石です。設立8年目を迎えたGOODROIDは、先日TVアニメ『東京リベンジャーズ』初となる スマートフォン向けゲームアプリ化プロジェクトを発表。独自の戦略が奏功し、年々躍進を遂げています。子会社設立に至る経緯やCTOとしての想いを聞きました。

Profile

  • 永石 裕樹
    2012年新卒入社。Ameba事業本部にてエンジニアリーダーとしてゲーム開発に携わった後、2014年に株式会社GOODROIDを設立。執行役員CTOに就任。

突然設定された面談で
「子会社作ることになったんだけど、CTOやってくれない?」と

──まず、GOODROIDについて教えてください

2014年10月に設立したサイバーエージェントの子会社です。最初はカジュアルゲームの開発からスタートしましたが、「約束のネバーランド~狩庭からの脱走~」や「あつまれモルカー!PUI PUI パズル」など大型IPのゲーム開発にも携わっています。2021年8月にはハイパーカジュアルゲームアプリ「Muscle Race 3D」は、世界各国のApp Store、Google Playの無料ゲームランキングで上位にランクインしています。

また、ゲーム以外の事業も多角化しており、広告代理店事業やインフルエンサー代理店事業、EC事業、XR / VTuber事業など幅広く行なっています。

現在約40名ほどの組織で、そのうちエンジニアは15名。エンジニアは基本的には皆ゲーム事業に属していて、その他の事業で開発が必要になった際に適切なエンジニアが都度参画する体制です。

──GOODROIDは設立当初から意表を突く、面白いサービスを提供し続けていますよね。新規事業のアイディア出しはどのように行っているのでしょうか?

私が主催している「新規事業を考える会」はその1つです。月1回程度、職種を横断してランダムに6名ほどメンバーを集めて、最近ハマっているものとかどんなものに目を付けているかを聞く会です。そこでは議論の幅が広がるようなファシリテーションを心がけています。
また、思いついたときにいつでも新規事業の種を書いておけるスプレッドシートも用意しています。

IPコラボに関しては、そのIPに対してとても詳しかったり並々ならぬ熱量がないと良いプロダクトが作れないと思っています。なのでGOODROIDでは専任の渉外担当がいるわけではなく、基本的にはプロデューサー自身がアプローチする体制です。


また、個人的にはCTOとして技術目線で新規事業の種を探すべく、NFTなど新たな技術領域や、最新の技術系のニュース、トレンドを幅広く積極的にキャッチアップするようにしています。

──技術先行で新規事業を考えることも多いのでしょうか?

VTuber事業やPlayStation VR向けゲームなど、 新しい技術領域ベースで新規事業を考えることは多いです。でも新たな技術領域を導入することが目的なのではなく、大切なのは世の中の様々なトレンドに触れることで、新規事業の種を探すための領域を縛らないこと。ブロックチェーンやFinTech、農業など面白そうなことがあればどうやったら実現できるのか考えるようにしています。たとえ現状自分たちの技術力では厳しいものだったとしても、熱意を持って知識を習得すれば、いくらでもサービス開発につなげられると思っているので。なので、宇宙開発についてもたまに調べたりしていますよ(笑)

──続いて、GOODROID立ち上げに携わることになった経緯を教えてください。
 

入社3年目の夏、当時はAmeba事業本部で新規ゲームタイトルのエンジニアリーダーをしていたのですが、松田(GOODROID代表)から突然1時間の面談を設定されまして。「なんだろう、悪いことしたっけなぁ...」と恐る恐る面談に向かったところ、「子会社作ることになったんだけど、CTOやってくれない?」と。
その時はどんな事業をやるのか一切聞いてなかったのですが、松田は大学の先輩でもあり、約2年間一緒に仕事をした際に相性の良さを感じていたので、即「やらせてください!」と答えました。

CTOとして、やっと自信が持てるようになった
設立5年目の出来事

──当時所属していたAmeba事業本部はオンラインゲームの開発にも注力しており、数百名が在籍する大きな組織でした。Amebaでの開発経験を経て子会社の立ち上げに携わりたいと感じたのは、小規模な開発体制に魅力を感じたからでしょうか?

組織の大小はあまり気にしてなかったのですが、開発期間の長さとリリース後の成功が必ずしも比例しないことに、私と松田は性格的にモチベーション管理が難しいと感じていた部分が正直ありました。そこで短期間で開発し、次々と様々なチャレンジができるカジュアルゲーム分野で事業をスタートさせました。

ただ一方で、大きな開発組織のメリットとしては、必ずそれぞれの分野に精通したプロフェッショナルがいることが挙げられると思います。Amebaに所属していた際は部署は違えどそういう人たちが身近にいることで、いつでも気軽にヒアリングして、サポートしてもらえました。GOODROIDはサイバーエージェントグループがこれまで挑戦してこなかった領域で事業を展開してきたので、今後は自分自身が、新たな領域でチャレンジしたいと思っている後輩エンジニアたちの力になれたら嬉しいです。

──新卒3年目でCTOに就任した永石さんですが、当初何をすべきか戸惑うことはありませんでしたか?

今では40名弱ほどの組織になり、開発や運用の効率化について考えられるようになってきましたが、設立当初はとにかく慌ただしい毎日でした。全員で6名、エンジニアは自分含めて2名というスタートの中、手探りで開発を行なっていたので大変でしたね。なのでGOODROIDを立ち上げたばかりの頃は、CTOの役割を全うすることよりも、肩書きに縛られず ”いちエンジニア” として開発を軌道に乗せることに重きを置いていました。

CTOとしての役割を強く意識するようになったのは、開発が軌道に乗ってきた設立3年目頃かと思います。代表の松田と私の間で「技術によって会社の未来を切り開くのがCTOだ」という共通認識があったので、その頃から既存事業の開発だけでなく、新たな技術領域の研究にも注力するようになりました。

──CTOとして自信が持てるようになったのはいつ頃ですか?

立ち上げから5年目の頃に起きた、2つの出来事がきっかけです。
1つは、EC事業の基盤を1人で一から作り、不具合や障害をほとんど出さなかったことです。ECサービスを作る場合、サードパーティのシステムやCMSを利用してサービス構築を検討するケースが多いかと思います。でもサービスの特性上高度な個人情報を扱うことになるので、脆弱性やセキュリティ面でサードパーティのシステムを利用することに懸念を感じていました。結果的に全て自分で開発したことにより、拡張性や可用性にも優れたEC基盤になったと自負しています。

もう一つは、「あした会議」に呼んでもらったことです。その頃ちょうど暗号通貨が流行ったタイミングで、好奇心からブロックチェーンの研究を始めていました。積極的にTwitterなどで情報を発信するようにしたところ、サイバーエージェントグループ内で「GOODROIDに暗号通貨・ブロックチェーンに詳しい人がいる」と噂になったようなんです。色々な部署の人から開発の相談をもらうようになり、GOODROIDだけでなく全社的に多少なりともCTOとして認められてきたのかなと自信に繋がりました。

サイバーエージェントの
“飛び道具” になれるように

──現在CTOとして日々どんなことに取り組んでいるのか具体的に教えてください

マネジメントに関しては、毎日各プロジェクトの朝会に出て、このメンバーともっと話した方が良さそうだなと思ったら1on1を実施しています。日々の朝会に参加すると、プロジェクトとメンバー双方のコンディションチェックができるので、定期的に1on1を設定することは現状していません。GOODROIDはサイバーエージェントグループの中でもかなり自由にさせてもらっている会社なので、社風としてもメンバーをできるかぎり “管理” せず、各メンバーが伸び伸び働ける環境を目指しています。GOODROIDは代表 松田の人としての器の大きさというか、良い意味での “ゆるさ” が私や会社全体に投影されていると思いますね。
CTOとして現在8年目ですが、常にあらゆる判断を下していかなければいけない立場です。自分の決断が本当に正しかったと言えるのか、後悔しそうになったことも正直あります。でも大切なのは、選択した道がどんなものであったとしても、将来的に正しいと言えるように頑張っていくことだと最近分かってきました。ありがたいことに最近ではメンバーもかなり育ってきたため、今では2名のリードエンジニアがいます。彼らが各事業の開発指針を決めたりと徐々に権限委譲もできてきたので、事業によっては自分が見る範囲は昔と比べて減ってきました。その分、GOODROIDの今後の可能性をさらに広げられそうなNFTなど新たな技術領域の導入に先立って取り組むことが、CTOである私に今求められていることだと考えています。

──最後に、今後の展望について教えてください

3年目でGOODROIDを立ち上げて、学生時代からの目標であった “会社を作る”  というステップは達成できました。最初のキャリアとして、新規事業の機会創出を積極的に後押しするサイバーエージェントを選んで本当に良かったと思っています。

設立当初から変わらず今もGOODROIDに求められていることは、一見するとサイバーエージェントグループでは取り組まなさそうな新たな領域にいち早く挑戦し、その上でしっかり事業を伸ばすことだと考えています。振り返ると、立ち上げ時の2014年頃サイバーエージェントグループでカジュアルゲームを展開している組織はありませんでした。でも代表の松田が普段オンラインゲームで遊ばない人々でもカジュアルゲームに夢中になる姿を見て、多くの人に楽しんでもらえるサービスを作りたいと新たな領域に参入した経緯があります。この時のように、これからも良い意味でサイバーエージェントという型に縛られず自由に、日々新しいことにチャレンジしていきたいです。

私個人としては先ほどもお話させてもらった通り、「技術によって会社の未来を切り開く」ことがCTOの務めだと考えているので、GOODROIDだけでなく私自身もサイバーエージェントの “飛び道具” になれるように頑張ります。

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