自分たちの組織は自分たちでつくる。
技術組織を立ち上げ“ゲーム事業“を牽引する、入社1年目と2年目のエンジニアに迫る

技術・デザイン

常に技術が進化するスマートフォンゲーム市場において、10社以上の子会社が所属するゲーム・エンターテイメント(SGE)事業部※では、テクノロジーやクリエイティブ分野で、さらなる挑戦ができるように、各子会社が連携して技術的な課題解決や情報共有を行っています。

今回は3D分野を研究する「3DX」とC#の技術領域を深堀りする「SGE.C#」という横断組織を立ち上げた2人の若手エンジニアにインタビューしました。横断組織内の活動を通して、気づいたこと、そして目指したいことについてお話しします。

※ゲーム・エンターテイメント(SGE)事業部
ゲーム・エンターテイメント事業部は株式会社Cygames以外の10社以上の子会社で構成されており、その子会社群を総称してSGEと呼んでいます。

Profile

  • 山口 智也 (ヤマグチ トモヤ) 
    株式会社Colorful Palette グラフィックスエンジニア
    2020年新卒入社。現在は『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』にて、主に3Dやバーチャルライブ周辺の実装を担当。3Dゲームやグラフィックなど表現の技術力を伸ばすことを目的とした横断組織「3DX」を立ち上げ、リーダーを務める。

  • 斉藤 俊介 (サイトウ シュンスケ) 
    株式会社Colorful Palette クライアントエンジニア
    2021年新卒入社。現在は『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』にて、主にアウトゲームやリアルタイム通信部分を開発。プログラミング言語C#の技術研究を通して、プロダクトのパフォーマンス改善につなげる「SGE.C#」を同期の3人と立ち上げる。

キャリアに関係なく、宣言を応援してくれる文化

──横断組織を立ち上げたきっかけは?

斉藤:C#は正しい知識を用いて利用すると、パフォーマンス面も追求できる言語のため、しっかりと知識を深掘りできる場所をつくりたいと思ったからです。新卒同期3人と「SGE.C#」を立ち上げました。

山口:私の場合は、今後ますます3Dゲームの表現がリッチになっていく市場の中で、技術を武器にしていくには、子会社がそれぞれ開発している技術を共有していく組織が必要だと思ったからです。その思いがあったので、何人かのメンバーと一緒に「CROSS THE BORDER会議※」で提案しました。

※「CROSS THE BORDER会議」とは
SGEのエンジニア版あした会議。固有な組織課題に対して子会社を超えて組織全体で解決し、さらにエンジニア組織を強めていくことを目的に開催。


──その会議から、徐々に活動が始まっていったんですね。

山口:はい。でも、厳密にいうと、その会議では決議されなくて(笑)。決議はされなかったんですけど、「責任は私が持つので、どうしてもその組織を立ち上げたい。」と先輩に話しました。私のやる気を買ってくれたのか、それから活動をスタートすることになり、いろいろな方にサポートしてもらって今に至ります。

斉藤:私も同じです。同期3人と、先輩にその旨を伝えたところ「やってみなよ。困ったことがあればすぐサポートする。」と言ってもらえました。

山口:年次やキャリアに関係なく、特定の技術領域への責任感やモチベーションがあれば、活動を応援してくれますし、任せてくれるサイバーエージェントらしい文化がありますね。

将来のプロダクトのために、今、何ができるか。

──「3DX」の活動について教えてください。

山口:半期ごとにテーマを決めて、その技術研究を行っています。昨年は社内の技術カンファレンス「CA BASE CAMP」で発表しました。また、3Dを扱ったプロダクトの成功事例や、私たちの日頃の技術研究について、slackの専用チャンネルで社内に向けて発信したり、勉強会を開催したりしています。

──「CA BASE CAMP」では、どのような発表をしたのでしょうか。

山口:3Dでよく実践されている技術を、2Dにも転用し、さらなる表現の追求を目指した「HD-2D」というテーマで発表しました。ゲーム事業部は、3Dゲームはもちろん、2Dのゲームもたくさん開発してるので、これを研究すれば、今後の開発に役立つことが多いと考えたからです。キャラクター編と背景編にわけて、ライティングによる見せ方や立体感を煽る影の投影などについて紹介しました。2Dの研究は「CA BASE CAMP」で区切りをつけて、今半期は「オープンワールド」をキーワードに表現の追求をしています。

──今期の研究テーマを決めた理由は?

山口:今のスマートフォンの性能として、オープンワールドといった今までコンシューマーゲームで表現していたものでも実現可能になってきているので、将来開発していくプロダクトに活かせたらと思い、今期のテーマとして決めました。それぞれ担当を決めて「空・天気・大気の表現」や「草木の表現」、「背景の管理とチューニング」など、何パターンかに分けて研究しています。

──活動を通して、気づいたことはありましたか?

山口:少しずつできることをみんなで増やして、総合的に技術力を高めていくことが大切だと気づきました。3D技術を強みにしている他社をみても、時間をかけて、技術開発の研究を行っているところが多いので、私たちも、日々、地道に技術追求していけたらいいなと思います。

活動の成果が、実際のプロダクトに貢献できた喜び

──斉藤さんは「SGE.C#」でどのような活動をしていますか?

斉藤:勉強会では主に実際のプロジェクトの開発でネックになっている部分を議題にあげて話し合ったり、また、テーマを決めて輪読会を行ったりしています。勉強会をすることが目的ではないので、最終的にプロダクトに貢献するという軸は絶対にぶらさないように、自分たちのC#に関する技術を深めています。

──今までの活動の中で、印象に残っているものはありますか?

斉藤:C#の分野で著名なゲストをお呼びして勉強会を開催した時に、「数年後に導入されうる技術の先取りは価値がある」という話があって。C#の最新の言語機能がUnityで使えるようになるのは、大抵数年先になるため、それらの機能がゲーム開発にどういう価値を与えるか先取りで把握しておくことや、今、実際に使われている機能についても、詳細まで正しく理解しておくことが重要だと改めて感じました。また、勉強会ではゲストだけではなく、現場で働く私たち運営メンバーも研究内容を決めて発表しました。「LINQのパフォーマンスについて」や、「async,awaitの内部実装とTaskの問題点」、「C#9.0の新機能」など発表したのですが、それをきっかけに、実践的なパフォーマンス改善や開発効率化を発見することができました。

──実際に、プロダクトで活かされたことはありましたか?

斉藤:画面遷移のロードでかなり時間がかかってしまうという課題に対して、キャラごとのデータ生成時に発生していたヒープアロケーションの削減や、コードパスの最適化を徹底して行なった結果、以前の半分以下の時間で遷移できるようになったことがありました。「SGE.C#」での取り組みが奏功し、成果に結びついて良かったです。

各子会社が持つ色を結束させて、技術力を伸ばしたい

──活動を通して嬉しかったことはありましたか?

山口:「3DX」メンバー以外の社員が、能動的に私たちの発信をキャッチアップして、子会社間を超えて議論してくれるようになったことは嬉しかったですね。

斉藤:勉強会や共有ができる場所をつくることで、「これって、どういうことなんだろう?」という考えを吐き出すことができますし、そこからどんどん議論が広がりますよね。ゲーム事業部は子会社それぞれの強みやカラーがあるので、いろんな視点で話し合えるところは面白いです。

山口:3Dやグラフィック分野でも、各子会社でクリエイティブやその見せ方の方向性が違ったりするので、そのような中でいろいろな話を聞けることは興味深いと思います。

──最後に、今後の目標について教えてください。

山口:今後、抑えていくべき技術の共有や発信をして、3D技術力の底上げをしつつ、より一層プロダクトの視点に立って、実際に活用できるアウトプットをしていきたいです。長期的には、3Dで困っているプロダクトに対して解決の力になれる組織にしていけたらと思います。

斉藤:プロダクトの技術課題を改善できるように、今後も私たちからどのような取り組みができるのか考えていきたいです。「SGE.C#」のメンバーや応援してくれる先輩方にサポートしてもらいながら、みんなで組織の力を最大限に活かせるような動きを意識していきたいなと思います。

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