“AIの可能性を探る” 画像生成AI「Adobe Firefly」を活用したクリエイティブ研修
サイバーエージェントでは、あらゆる制作活動においてアップデートし続け、新しさを求め創意工夫する「Always Fresh」というブランドコンセプトを掲げています。
生成AIが様々な分野で注目される昨今、アドビ株式会社が画像生成AI「Adobe Firefly」プライベートベータ版を提供開始し話題となる中、当社では次世代を担うクリエイターが生成AIを体験し、AIを制作パートナーとする未来を探るため、「Adobe Firefly」を活用したクリエイティブ研修を実施しました。
研修には、2023年度入社の新卒クリエイター24名が参加。
研修の概要や実際の作品などをお届けします。
今回の「Adobe Firefly」使用は、クリエイティブ研修のための内部利用となります
生成AIを研修に取り入れた狙い
メディア事業やゲーム事業のデザイナーやアートディレクター、イラストレーター、シナリオライターといった職種で活躍するクリエイター。当社では毎年20名前後の新卒クリエイターが入社しています。当社のミッションステートメントにある「クリエイティブで勝負する」という言葉の通り、社内では多くのクリエイターが、その創造力を武器に活躍しています。
次世代を担う新卒クリエイターたちが新たな技術やツールに積極的に触れ、使いこなせるようになること。また、AIと個人がもつ発想力とデザイン力を掛け合わせることで創造性を高めることができるのか、また将来的に生成AIを制作パートナーとして活用できるのかを探るため、今年の新卒クリエイター研修において、生成AIを活用した取り組みを実施しました。
研修では、アドビ社が提供する画像生成AI「Adobe Firefly」とOpenAI社が提供する「ChatGPT」を使用し、イラストや文章をAIで生成する「AIツールを活用した絵本制作」をテーマに、一人ひとりがオリジナルの絵本を制作しました。
新入社員のワークだけではなく、AI生成の完成度を向上させる方法や、指定ワードの選定の仕方、セキュリティなどの注意事項も併せて学んでいます。
Adobe Fireflyを活用して制作した絵本
飴 誉穂
── 制作した絵本のポイントはどこですか
『幻想的と温かい世界観作り』と『AI画像生成を活かす』この2点です。絵本の内容を温かい話にすることで人間味を出しつつ、AI画像生成での強みを活かす幻想的な世界観を混ぜ合わせることで新しい絵本ができるのではないかと考えながら取り組みました。
── 「Adobe Firefly」を使用してみてどうでしたか
画像生成をしてもらうためのプロンプトを考えて、思い通りのものが出てきた時がとても楽しいと感じました。最初は何もわからず、似ているニュアンスの言葉を大量に入れて、似た言葉でも生成された画像の違いを見ながら、密度上げに注力していました。指示がうまくいかず、AI画像生成で出てきた画像が時には意図していないものが出てくる時もありました。ただ、イメージとは違う生成が出たことで、想定していたレイアウト構成よりも、より面白いアウトプットを考える材料になったり、コツを掴むことで、生成してほしいイメージ以上のものに仕上がるフレッシュ感も「Adobe Firefly」の魅力だと思い、『発想を広げる』という面で特に勉強になりました。
── 「Adobe Firefly」を今後どのように活用していきたいですか
現段階では新規開発など、新しいことに挑戦する際、チーム内での視覚的共通認識として活用すること、視野を広げるためのインプット材料として活用したいと思っています。ただ今回の課題で2日で絵本のアウトプットができたため、将来的にはアウトプットでの精度上げ以上の事にも活用していきたいです。
武田 栞奈
── 制作した絵本のポイントはどこですか
幻想的で不思議な世界観作りです。画像生成AIならではの独特な創造性を最大限に活かす為に、この世界観を選びました。画像生成AIだからこその絵本が作れたと思います。
── 「Adobe Firefly」を使用してみてどうでしたか
想像通りの画像を生成してもらう為のプロンプトの工夫が大変でしたが、コツを掴むとスピーディーに思い通りの画像を生成ができるようになりました。
考えをすぐに形にでき、且つ生成される画像のクオリティーも高いため、使いこなす事が出来ればとても便利なツールだと思います。
また、想像以上のもの、意表を突くものが出てくる事もあり、フレキシブルで自由なアウトプットがとても刺激的でした。これに関しては、運任せでもあるので再現性はないものの、アイデアをジャンプさせるツールとしてはとても魅力的なのではないかと思います。
── 「Adobe Firefly」を今後どのように活用していきたいですか
考えを瞬時に形にできることから、チーム内での共通認識の為のコンセプトボード制作や、ラフ制作などで活用できそうだと思います。
また、画像生成AIならではの独特な創造性を上手く活用して、時にはアイデアや思考を飛ばすための道具としても使っていきたいと思います。
多田 有希
── 制作した絵本のポイントはどこですか
実写らしさがありつつ、非現実で幻想的なイラストです! 割とお堅い内容のストーリーだったので、このテイストにこだわりました。特に後半にかけて、シーンの色をより引き出すイラストになったと思います。
── 「Adobe Firefly」を使用してみてどうでしたか
画像生成のための最適なワーディングが分からず、最初は数打てば当たるという精神で、自分のイメージに近い単語をやたらめったら打ち込んでいました。ただ、それだとどうしても時間がかかってしまって。どうすれば効率化できるのかを考えた時に、自分の専門分野であるシナリオの知識が役に立ちました。シナリオによってはト書きといって情景を描く箇所があるんですが、「シーン中で伝えたい物をできるだけ絞り、その上で目を引く順に書くと伝わりやすい」と以前に教わったことがありました。その考え方が今回の研修に活かせるんじゃないかと思ったんです。実際に、目を引く順に整理して言葉を置いていくとすごく上手くいって、それからはどんどん楽しくなっていきました。結果的に「この絵いいでしょ?」と自慢出来るような画像が集まったと思います!
── 「Adobe Firefly」を今後どのように活用していきたいですか
「Adobe Firefly」によって日々の創作活動のハードルがぐっと下がるような気がしています。今回の研修のように絵本がたった2日で作れたり、シナリオにおいても自分のあやふやなイメージを補完してくれるので、より完成度の高い初稿を出せるようになると思います。そういった形で、「Adobe Firefly」を利用して業務内外でアウトプットの効率と精度を上げていきたいです。
今後の生成AIとクリエイティブの未来
今回の制作を通して、AIの活用方法次第でクリエイティブの創造性の拡大にも繋がり、個性が発揮されることが分かった研修になりました。
また、どのような業務で使えるかを体験したことにより、今後、生成AIのさらなる進化によって、AIをどのように活かしていくか感じ取ることができたのではないかと思います。
今回入社した24名の新卒クリエイターが、常に新しいことにチャレンジし「Always Fresh」を体現するクリエイターとして成長し、その創造力で番組制作やサービス運営、ゲーム開発などの場でその創造力を発揮してくれることを楽しみにしています。
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