恋愛の非効率性と向き合うAIへ。「タップルAI」構想が描く、伴走型AIのあり方とは

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マッチングアプリにおけるAI活用は、単なる自動化や効率化の段階を超え、体験そのものを進化させるフェーズへと入りつつあります。「タップル」では、安心・安全対策からマッチングの高度化、さらには会話支援に至るまで、恋愛体験をより良いものへと導くAI活用を進めています。今回策定された「タップルAI」構想が目指すのは、恋愛をAIに任せるのではなく、人の意思決定に寄り添うテクノロジーのあり方です。その背景や狙い、そして恋愛や出会いの場におけるAI活用への責任について、(株)タップル代表取締役社長の平松に話を聞きました。

Profile

  • 平松 繁和
    2006年にインフォコム(株)へ新卒入社後、モバイルサービスの開発に従事。2013年に(株)サイバーエージェント入社。同年に子会社として(株)プレイモーションを設立し代表取締役就任。マッチングアプリ「CROSS ME」を提供。2022年、(株)タップルによる(株)プレイモーションの吸収合併に伴い取締役就任。2023年11月、(株)タップル代表取締役社長就任。

「タップル」で進むAI活用の現在地

ー 現状、「タップル」では、現在どのような場面でAI活用が進んでいますか?

平松:大きく分けて3つの領域で活用しています。

1つ目が安心・安全対策です。不正利用者の早期検知など、サービスの信頼性を守るための取り組みにAIを活用しています。ここが揺らいでしまうと出会いの体験そのものが成立しなくなってしまうため、継続的に投資をしています。

 2つ目がマッチングの高度化です。ユーザーの行動や反応の傾向などを踏まえ、より良い出会いを起きやすくするため、お相手を表示する場面等で活用しています。

 3つ目がコミュニケーション支援です。マッチング後に始まる会話の最初の一歩をサポートするもので、初回メッセージ作成を補助する「AIメッセージアシスト」機能などが該当します。恋愛は、最初の一言でつまずいてしまうケースが少なくありません。そのつまずきを解消すると、出会いの機会や質の向上につながる可能性があると考えています。
 

「代行」ではなく「伴走」、ユーザーの意思決定を支える「タップル」独自のAI構想

ー 今回発表した「タップルAI」構想とはどういったものですか。

平松:ひとことで言うと、恋愛をAIが代替するのではなく、ユーザーの意思決定にAIが寄り添う構想です。
AIは非常に便利で、生活の大部分を最適化・効率化することができます。ただ、恋愛や人間関係はそもそも最適解が1つとは限りません。喜びがあり、迷いがあり、感情が揺れる…そこをただ一律に最適化・効率化しようとしてしまうことは、恋愛の本質とは異なると思うのです。

恋愛には、どうしても一筋縄では行かなかったり、悩んだりすることがつきものです。そこをゼロにするのではなく、前向きな一歩を後押しする。「タップルAI」はそのような方向を目指します。
 

ー プロフィール作成や返信文の作成は、汎用AIでもできると思うのですが、AI活用における「タップル」の独自性はどこにあるのでしょうか?

平松:おっしゃる通りで、文章を生成するだけなら今は汎用AIでも十分にできます。
「タップル」には、メッセージの返信率や「いいかも」を受け取れる割合など、ユーザーの行動から見えるさまざまな指標があります。こうした膨大な出会いの実例から導き出した成功の法則をもとに、コミュニケーションのつまずき解消を支援します。

私たちが目指しているのは、単に反応が良さそうな文章をAIに生成させることではなく、その提案がユーザーにとって前向きな結果につながっているかを見極め、より良い出会いへと磨き込み続けること。そこに、「タップル」ならではの価値があると考えています。

AIが提案した内容に対しては、ユーザーがどのような行動を取ったのかを検証し、改善を重ねます。この継続的なPDCAは、実際にサービスを運営しているからこそ実現できる取り組みです。
※AIの精度向上にあたっては、利用規約等に基づき適切な許諾を得たデータのみを対象とし、プライバシーに配慮のうえ、個人が特定されない形で統計的に活用しています。
 

コミュニケーション支援から倫理設計まで 人間らしさを守るAI活用の責任

ー 実際に「タップル」のAIはどのようなサポートをしてくれるのでしょうか?特にコミュニケーションに不安を感じている方も多いと思うので、その点について教えてください。

平松:コミュニケーションに悩む方にとって、特に最初の一歩は非常にハードルが高いものですよね。そのためにテンプレートでの提案は、そのハードルを低くするという面で重要な役割を果たしていますが、どうしても画一的になりがちで、相手に響きにくいという課題もありました。「タップル」のAIであれば、相手のプロフィールと会話の流れ、距離感を踏まえた上で、相手に合わせた伝え方を提案することができます。
たとえば「いいですね」という一言でも、「何が」「なぜ」良いと感じたのかが一文添えられるだけで、相手は「ちゃんと見てくれている」と感じられ、温度感が変わります。

私たちが目指しているのは、形式的なやりとりを増やすことではなく、テンプレートを出発点にしながらユーザーの気持ちに近い言葉へと変換し、相手への配慮が伝わるコミュニケーションを増やしていくことです。
その結果として、コミュニケーションに不安を感じている方でも自然に会話を始めやすくなり、より良い出会いにつながるサポートができると考えています。

ー 最近では、汎用AIに好みのキャラクター性を持たせて、自分に合った距離感で寄り添ってもらう使い方も広がっていますが、今後「タップル」のAIでもそのようなパーソナライズされた使い方は可能なのでしょうか?

平松:可能性は十分にあると考えています。恋愛における心地よい距離感や求めるサポートの形は、人それぞれ異なるからです。優しく背中を押してほしい方もいれば、状況を整理して客観的に考えたい方、時には率直なアドバイスを求める方もいます。

将来的には、支援スタイルを一つに固定するのではなく、ユーザー自身が好みに合わせて選択できる形も検討しています。たとえば、励ましながら後押しするタイプのAI、冷静に整理するタイプのAI、率直に助言するタイプのAIといった具合です。

ただし、誤解がないように明確にしておきたいのですが、AIがユーザーを一方的に導いたり、気持ちを傷つける方向に進むことは、私たちが目指す姿ではありません。あくまでも、ユーザーが自分の意思で選び、必要に応じて利用できることが前提です。

構想としては「AIの支援スタイルはユーザーが選択でき、不要な時はいつでもオフにすることができ、不適切な表現や相手を傷つける可能性のある提案を抑制するためのガードレールを設ける」という3つを軸にして、最初から多様なAIの支援スタイルを一気に実装するのではなく、まずはシンプルで無難な1つのスタイルから始め、ユーザーの反応や運用を通じた学びを踏まえて段階的に拡張していくのが現実的だと考えています。
いずれにせよ、「恋愛の主役はあくまでユーザー」という考え方が変わることはありません。
 

ー 一方で、恋愛という正解のない領域でのAI活用に対し慎重になる声もありますが、こちらにはどのように向き合っていますか?

平松:慎重になるのは当然だと思います。恋愛や出会いは、人生に与える影響が大きいですから。
まず大前提として、私たちはAIを「恋愛の代替」ではなく、あくまでユーザーの意思決定に寄り添う存在として位置づけています。その上で、実装において最も重視しているのが「ユーザーによる許諾と制御(コントロール権)」です。
具体的には、AIのサポートを受けるかどうかはユーザー自身が選択でき、必要なければいつでもオフにできること。また、AIの提案はあくまで「選択肢の一つ」であり、最終的にどの言葉を選び、行動するかはユーザーが決めるという状態を徹底して担保します。

こうした「自分で選べる」「いつでも止められる」という安全な設計を起点とし、ユーザーの反応を見ながら慎重に、段階的にサービスを磨いていきたいと考えています。

ー 最後に、「タップルAI」構想を通じて、ユーザーや社会に対しどのような責任を果たしていきたいですか。

平松:恋愛や出会いは、人生の幸福度に直結する大切な要素です。だからこそ、単に効率や「便利さ」だけを追求して突き進むのは危ういと考えています。
私たちが「タップルAI」で目指しているのは、恋愛を楽にしすぎることではありません。
出会いの入り口でつまずく人を減らし、誤解やすれ違いを減らし、相手への配慮が伝わるコミュニケーションを増やすことによって「出会いの質」そのものを高めることです。

また、私たちが大切にしたいのは、出会いの数を増やすことだけではなく、出会いの先で相互理解が進み、関係がより良い形で育っていくことです。恋愛は気遣いやすり合わせが必要で、ときに難しさもありますが、その過程で得られる気づきは大きいと思います。「タップルAI」構想は、そうした気づきに繋がる「補助線」として機能し、結果としてユーザーの恋愛体験がより前向きなものになれば嬉しいです。
 

(株)タップルは中途採用を実施しております。

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