世界のトップクリエイターとコラボできるコンテスト「CG Grand Prix “3D Cross” powered by CyberAgent」。初の受賞者にインタビュー
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次世代を担う3Dデザイナーを発掘するコンテスト「CG Grand Prix “3D Cross” powered by CyberAgent」。第一線で働くデザイナーの方々を審査員に迎え、異なる世代の才能が交差することで生まれる新たな可能性の追求を目的として開催しています。
本コンテスト最大の特徴は、3Dコンセプトアーティストであり、特別審査員の岡田恵太氏が本コンテストのために特別製作した、3Dモデルとの"コラボ”をお題としていること。参加者には、岡田氏の3Dモデルと関連する形で作品を制作いただきます。さらにキャラクターモデリング、背景モデリング、キャラクターモーション、エフェクトと4つの部門があり、それぞれ岡田恵太氏、鈴木卓矢氏、若杉遼氏、秋山高廣氏らが審査員として参加しています。
今回は、本コンテスト第1回目の参加者で、キャラクターモデリング部門優勝、そして全部門でのBEST CROSS賞(視聴者投票賞)を受賞した丹野 肇さんに、ゲーム事業部の3Dの責任者である庄司がインタビュー。応募しようと思ったきっかけや、作品への思いについてお話を聞きました。
Profile
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インタビュアー:庄司 拓弥(ショウジ タクヤ)
2009年入社。複数のゲーム開発を経て現在はゲーム事業部の3Dの責任者兼、株式会社QualiArtsの執行役員、クリエイティブの責任者としてゲーム開発、組織づくりに従事。 -
インタビュイー:丹野 肇(タンノ ハジメ)さん
東北芸術工科大学デザイン工学部 映像学科 3年生
「CG Grand Prix “3D Cross” powered by CyberAgent」キャラクターモデリング部門優勝、BEST CROSS賞同時受賞。高等専門学校の建築デザイン学科を経て東北芸術工科大学映像学科に在学中。クリーチャーや神性を主軸に3DCGで作品を制作している。
プロの3Dモデルを生で見たかった。
── 本日は、キャラクターモデリング部門優勝、そして全部門でのBEST CROSS賞(視聴者投票賞)を受賞された丹野さんに来ていただきました。よろしくお願いします。
本日はよろしくお願いします。
── まず、著名なクリエイターとのコラボが課題として出される「CG Grand Prix “3D Cross” powered by CyberAgent」に、参加しようと思ったきっかけは、どんなところでしたか?
いままで独学で3DCGを勉強してきたので、プロが使うようなモデルが実際どのようなものなのかわかっていなかったんです。SNSで、世界で活躍されている岡田さんとコラボできるコンテストがあることを知って、これに参加したら、プロの方の3Dモデルを見られる機会がつくれると思い応募しました。また、将来自分が3Dアーティストとして活動していくと想像したときに、知名度も高めていきたいと思ったのも、理由のひとつです。
── 独学で勉強しているんですね。CGをやりはじめてどれくらい経ちましたか?
1年と…4、5ヶ月くらいですかね。
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── その期間でここまでいけるんですね。
元々のベースはあったと思います。幼少期から、よく粘土や切り紙で遊んでいましたね。怪獣映画や恐竜が好きだったので、そのようなモチーフの絵もたくさん描いていました。そのあと、スポーツにも興味が出て、10年間ほど柔道の方に集中していました(笑)。デジタル上ですが、再び絵を描きはじめたのは、19歳くらいからです。
── また絵を描きはじめようと思ったきっかけは、何かあったのですか?
有機的なもののデザインをしたかったんです。高等専門学校の建築デザインに進学したのですが、力学や物理といった要素も多くて。本当にやりたいことはこれではないなと思ったことが大きかったと思います。
── そこから本格的にはじめたんですね。
最初は2Dの絵を描くことからスタートしました。1日3時間くらい通学の電車の中で、クロッキーをしていたと思います。しばらく経って「よし、本格的にやるぞ」とエンジンがかかってきた時に、3Dの作品もつくろうと思いました。小さい頃から好きだった怪獣やクリーチャーも今では3Dでつくれる時代だよなと思って。著名な方の作品を見て、なにからやってるんだろうと調べたりして、作品づくりをスタートしました。その流れでコンテストにも参加するようになりました。
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お題という制約が、
ユニークな作品をつくり出すきっかけに。
── 今回コンテストの作品をつくってみて、自信はありましたか?
ほかのコンテストと違って、岡田さんの飛竜のモデルとコラボさせるといった明確なお題があったので、それに合わせて新たにつくりだす必要がありましたが、最初から優勝を狙って制作していたので、自信はありました。ぱっと見た時に他の参加者の作品よりも目を引く画作りにして差別化をしようと決めていたので、評価してほしいところを評価していただけて嬉しかったです。
── 具体的にどのようなところを、他の参加者と差別化しようと思ったのでしょうか?
いろんな応募作品が並ぶ中で、サムネイルでも映えて、さらに細部まで見たときに満足感があるものが一番いいと思ったので、その中でオリジナリティを出そうと思いました。引きで見たときの迫力感は出したかったので、ドラゴンを画面いっぱいにダイナミックに配置して見せようと決めました。
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── 顔が大きいところは、僕も印象的でした!迫力がありますよね。大きくしようと思った理由はあったんでしょうか。
岡田さんは、有名なアーティストの方ですので、岡田さんの3Dモデルを尊重しつつも、パワーバランスを考慮して、サイズなど同等のクリーチャーをつくろうと最初は思ったんです。岡田さんのつくった赤褐色の飛竜と対峙させるなら、同じような大きさの感じで、長い海竜をつくるのがいいのかなと。それを念頭に置いて、最初はドラゴンに龍が巻き付いているようなものをつくったのですが、少しイマイチだなと。
── そこからどのように、変えていったんですか?
「自分の好きなようにやってみよう!」と気持ちを切り替えました。思い切ってドラゴンの顔をドアップにした構図にして、岡田さんの飛竜は全面に出ているドラゴンの距離感やサイズ感の演出の一部として使用させていただきました。
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── それがとっても新しいと言いますか、ほかの作品と差別化ができていてよかったと思いました。やっぱり岡田さんの飛竜を主役にしすぎないところが、自分のしたい画作りをしてきている感じがしました。
最初は、僕もそうしようと思いました。でも、最終的には自分のしたいことと、岡田さんのモデルを組み合わせて、相乗効果を狙ったほうが、良い作品が生まれると思ったんです。
── 著名な方と丹野さんの思考が交差することになりますしね。
他の方の作品と掛け合わせてつくるからこそ、ひとつの静止画として、どうしたら両者がうまくはまるのか思考を凝らすことができる。自分の世界観の中に、別の方の世界観が入ってくることは、自分の思考をさらに上の段階に引き上げてくれるきっかけになると思うんです。そこまでいってこそ、意義があると言いますか…。今回は、岡田さんの飛竜のモデルとのコラボというお題の存在が、僕の中で軽い制約になっていて。そして制約があったほうがユニークなものって生まれるなと、コンテストを通して実感しました。
── それは同感です。完全に自由ではないということが、作品づくりにおいて大きく影響を与えますよね。
先日の「2 daysタイムアタック!3Dモデリングコンテスト『3D Fusion』by CyberAgent」でも感じたのですが、テーマがあるからこそ、曖昧な解釈を参加者に持たせることができると思うんです。それぞれの解釈を、どのように調理して作品に映し出すのかが肝になる。それがとてもおもしろいと感じましたね。
自問自答を繰り返して、成長していきたい。
── 丹野さんは、普段キャラクターやクリーチャーをつくるとき、最初に筋肉や骨の成り立ちなどを考えてつくっていますか?
そこはかなり重視しています。できるだけファンタジーに寄せようと思っても、モデルの関節の構造がどこか現実の動き方に合っていないと、作品の魅力が半減してしまうと思うので。それはデフォルメされているキャラクターだとしても、変わらないです。いままでやってきた柔道やトレーニングのおかげも多少あって、身体の重心、動き、筋肉の構造など理解できている部分は多いので、作品をつくっているとき、違和感に気づきやすいと思います。そういった直接作品に関わらないところからも解剖学的な知識が身についているのかもしれませんね。
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── 丹野さんの場合、独学でやってるからこそ、出てくる「これで合っているのかな?」といった怖さなど、そういうのはありますか?
それはずっとあります。だからこそ造形に関しては、正直誰よりも厳しい目で見るようにしています。3Dを抜きにして、立体物や生き物として成立できているのか、とても注意して見ています。作品が良くなるように、とにかく自問自答の回数を増やして確認して、気に食わなかったら、とにかく直す。これを繰り返して進めています。
── 最後に、いまつくっている自分のジャンルをもっと変えたいなど今後の展望について教えてください!
比較的エンタメ寄りのクリーチャーをメインとして製作しながらも、自主制作の中では、もっと造形寄りの作品にも挑戦してみたいと思っています。クリーチャーだけに興味があるわけではないので、いろんなものを組み合わせて、もっと形として良さを感じるものをつくっていきたいです。ゲームの世界に登場しそうなクリーチャーや、すごいリアリティを持たせた生物だけでなく、より彫像としての要素が強いものもつくってみたいですね。ただ、足りない部分はまだまだいっぱいあるので、そういったところも埋められるように、今より成長していきたいです。
プロがつくったデータを生で触って、プロの作品とコラボする。それを体験できる機会はあまりないのではないでしょうか。他者と自分の異なる世界観をどのように作品に交差させて生み出すのか、それを深く思考できることが、本コンテストの醍醐味だと取材して思いました。
「CG Grand Prix “3D Cross” powered by CyberAgent」では、第2回目の参加者を募集中です。プロの方からのフィードバックをいただくチャンスもありますので、挑戦したい方は以下よりご応募ください!
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