「18年のキャリアにフルレバレッジかけて挑戦する」
サイバーエージェント初の医療業界へ参入

サイバーエージェントのカルチャーに欠かせない要素が「挑戦」。
若手だけでなく、役員やベテラン社員が率先し失敗と挑戦を繰り返し、持続的な成長を続けています。
今年、ベテラン社員によるサイバーエージェント初の医療×ITという新たな挑戦がはじまりました。4月にオンライン服薬指導などをはじめとした調剤薬局やドラッグストアのDXを推進する新会社「MG-DX」の設立です。同社代表を務めるのは2003年新卒入社の堂前。
「今、18年のキャリアの全てをかけた挑戦をしている」と話す堂前のキャリアをご紹介します。
目次
「会社に期待しない」マーケットの成長をダイレクトに感じた貴重な若手時代
「正しいことを、正しく真剣にやる」サイバーエージェント流ビジネスのプライド

株式会社MG-DX 代表取締役社長 堂前紀郎
2003年サイバーエージェント新卒入社。複数の子会社や事業を立ち上げた後、株式会社CAリワード(現:株式会社CA Wise)を創業、代表取締役社長に就任。2019年AI事業本部アドテクDiv統括を兼任後、2020年5月より現職。
「会社に期待しない」マーケットの成長をダイレクトに感じた貴重な若手時代

編集部
就職活動してた2001年~2002年は、ネットバブルが崩壊してサイバーエージェントの株価や時価総額はどん底、いわゆる”暗黒時代”ですよね。その会社に入ったことが最初の「挑戦」じゃないですか?

堂前
正直、入社するつもりなかったんです。あの頃のサイバーエージェントに大きな魅力を感じて入る人ってあまりいないんじゃないかな。現在のように独自のカルチャーや事業内容で学生を惹きつけらるようになったのは、私が入社した後のことです。

編集部
「21世紀を代表する会社を創る」というビジョンや、ミッションステートメントを明文化したのは、2003年以降。社内の雰囲気が好転し始めたタイミングですね。

堂前
新しい技術は好きでしたし、これからインターネットが産業の中心になっていくという確かな期待はありました。でも、私自身「広告」にはまったく興味がなくて。入社するまで電通や博報堂という社名も知りませんでした。


堂前
ただ、当時から能力とやる気のある人達が自由闊達に働いている印象はありました。会社というよりフリーランスの集まりに近いというか。その雰囲気が自分には合っていると思ったんです。

編集部
将来、探偵になって独立しようと思っていたと聞きました(笑)

堂前
はい、探偵会社にエントリーシート出したりしました(笑)。
とにかく何かを自分でやりたかったんです。だから、最初から会社に期待してなかったんですよね。仕事を教えてもらおうとか、環境を与えてもらおうとかそういう風に考えたことは1度もないです。
仕事も人間関係も全てそうですけど、期待から入るといいことないです。

編集部
新卒研修もなかったんですよね。「仕事は自分で創るもの」という意識が自然に備わったと2004年入社の小倉も話していました。

堂前
当時の社内は混沌としながらも底知れぬ勢いがありました。ハードワークでしたが、マーケットの成長をダイレクトに感じられた貴重な経験。
ネット広告なんて売れない、モバイルで物なんて売れない、なんて世間からは否定されながらも、インターネットの発展という期待できる明るい未来があって、それを信じて挑戦を重ねていた時代です。
「走りながら考える」で積み上げた18年のキャリア

編集部
どんな新人時代だったんですか?

堂前
インターネット広告事業本部の営業に配属されましたが、まったく成果が出なくて。営業ランキングでは常に最低位、初受注を獲得したのも同期の中で1番遅かったです。

編集部
え! なぜ”ダメ営業マン”だったんでしょう?

堂前
全く営業してないからです!
アポ電するのも、かかってきた電話とるのも怖かったんです。


編集部
でも、3年目の2006年に全社MVPとってますね、一体どんな変化が?

堂前
先輩から引き継いだ健康食品のクラインアントがあって、そこの社長に育ててもらいました。お金の稼ぎ方を徹底的に教えていただきましたし、ネット広告のことも一緒に学びながら仕組みを理解していきました。
その後、利益性を高めるために初めて自社の広告商品を作ることに。その立ち上げメンバーになりました。メンバーといっても、先輩と私の2人だけでしたけど。

編集部
入社前からやりたかった事業の立ち上げですね!

堂前
このことが、社会人としての最初のターニングポイントになりました。
いわゆる0→1の世にないものをカタチにする難しさたるや。そして、自分ではこんなに価値があると思っていても、その商品の良さを人にわかってもらうことの大変さを知りました。

編集部
実績が出る前の新しい商品を売るにはその魅力を相手に理解してもらわなければいけない。どうすればいいのでしょう?

堂前
様々な苦節の末、夢を語るしかないということにたどり着きました。「将来はこういう明るい未来が待ってる」とわかってもらえるまで何度でも伝えどんな時も逃げない、そうして信頼を積み重ね、その未来に共感してもらうしかないんだ、と。


堂前
新たなビジネスというのは、ビジネスモデルとかクオリティも勿論大事ですけど、まずは誰かの共感を生まないと絶対に立ち上がらない、これを身をもって学びました。

編集部
共感を生んだことで自ずと成果もついてきたんですね。

堂前
「走りながら考える」というやり方が昔からサイバーエージェントにあるじゃないですか。スピーディーに変化に対応する実行力と、失敗を恐れず次に挑戦するバイタリティ。
この時から、これが私の仕事のスタンダードになりました。新人の時に成果がでなかったのは、考えすぎて思考や手が止まっていたと今ならわかります。
「正しいことを、正しく真剣にやる」サイバーエージェント流ビジネスのプライド

編集部
事業立ち上げで成功体験を得て、その後は順調にキャリアを重ねていきました?

堂前
最初に「会社に期待しない」って話しましたが、それ故に周りを巻き込むことが極端に苦手でした。それが自分の成長のボトルネックになっていたと思います。
社長の藤田に「堂前くん、僕のこと嫌いだよね」って言われたことも(笑)。それくらい全然相談にも行かないし、頼らないんですよ。

編集部
人に頼らなくても自分で出来ちゃうんでしょうね。

堂前
幼少期や新人営業時代の経験がコンプレックスで、自分のやり方で成果を出して、世に知らしめたいという意識がすごく強かったんです。
人の手を借りて達成してもそれは自分の成果ではない、0から100まで全部自分でやらないと本当の実力の証明にはならないと考えてました。

編集部
ストイック・・。でもそれが原動力となってこれまでの成果に繋がってたんですね。

堂前
でもそのやり方だと、ある程度の利益は出るんですけど、続かないんですよ。躓くたびに事業内容ややり方を変えてやってました。どんなことをしてでもとにかく稼いで、成果を出したいと思ってましたから。


堂前
私の考えるサイバーエージェントのいいところは「儲かる・儲からないは大事。でも正しいことを、正しく真剣にやる」これをビジネスのプライドとしてしっかり持っているところ。この会社が20年以上ずっと成長し続ける所以です。

編集部
「儲かればいい」だと単発なんですね。それだと長くは続かない。

堂前
「21世紀を代表する会社を創る」ためには、事業が成長しそれに伴って人も成長することが重要。この2つの成長曲線を描くには、1.事業を大きくとらえること、2.正しくやること、が不可欠です。

編集部
たしかに当社は人材の成長=企業の成長と捉えていますし、それが競争力になってますね。

堂前
正直これまで会社を大きくするという概念をあまり持てていなかったんですけど、今回の新会社「MG-DX」での挑戦が、発想を大きく変える転機となりました。
もう個人の力で太刀打ちできるレベルの規模じゃないし、会社のフェーズとしても世の中を巻き込んでいくべきなんだと強く感じました。
「持続的な成長にビジネスで貢献したい」サイバーエージェント初の医療業界への参入

編集部
オンライン服薬指導などデジタル化の推進を行う「MG-DX」は、「オンラインあした会議」での決議案。サイバーエージェント初の医療業界への参入ですね。

堂前
これまでも小売業界をはじめとした様々な業界においてデジタルシフトの支援を行ってきましたし、既存事業との相乗効果もある分野です。
社会的に意義のある未来をつくる事業。大きな挑戦に、襟を正して取り組んでいます。


編集部
多岐にわたる事業展開や研究開発、今のサイバーエージェントには活用できる資産がたくさんありますね。

堂前
そうですね。デジタル領域の知見やAI・ブロックチェーン技術を活用して、デジタル化を促進することで、社会や業界の持つ課題を解決できると考えています。


堂前
ただし、インターネット産業の発展には、利便性や効率化を追求するあまり、既存のビジネスやサービスを淘汰し成長してきた側面もあります。
でも医療の分野で同じやり方を用いてしまうと、産業の構造自体を狂わせてしまう可能性があるんです。効率化のみを追求してコストを下げても、クオリティが落ちてしまっては結果的に医療従事者や患者のためにはなりません。

編集部
なるほど。

堂前
日本の医療制度は諸外国と比べてとても優れています。それをふまえてサイバーエージェントらしいやり方で、この産業の持続的な成長に、ビジネスという分野から貢献したいと思っています。

編集部
前述の「正しいことを、正しく真剣にやる」ですね。

堂前
4月末の会社設立以降、多くの問い合わせをいただいています。業界未経験だからこそ、その一言一言が凄く学びになっています。私たちの事業に共感し、応援者がいることがとてもありがたいです。
「次の20年へ向けて新たなスタートラインをきった」ベテランならではの挑戦

堂前
20代で入社して今年40歳になります。仮に60代で定年だとすると、ちょうどキャリアの真ん中です。この世代だからこその役割や挑戦があると思ってます。

編集部
サイバーエージェントはポジションが上がるほど働いているし、役員が1番挑戦してると言いますね。

堂前
私たちベテランの仕事は後輩の後ろに回って育てる・教えるだけじゃない。もちろん育成も大切ですけど、ベテランとしての信頼残高をフルレバレッジかけて、最高レベルの挑戦をする、これがベテランとしての正しい姿なんじゃないかな、と。

編集部
ベテラン社員が「今が1番楽しい」と仕事に取り組む姿はいいでよすね!

堂前
「MG-DX」のビジョンは「未来に期待する社会を創る」です。
入社以来、様々な経験や尊敬できる人との出会いを繰り返す中で、物質的なものを追い求めると一生満たされない人生になるという気付きがありました。


堂前
その結果、20年前に自分がインターネットに明るい未来を感じたように、多くの人が未来に期待できる社会をつくりたいと、心から思うようになりました。
これまでの知見や、テクノロジーの力でそんな未来の一翼を担えたら嬉しいです。
次の20年へ向けて新たなスタートラインをきったという気概を持って取り組んでいきます。

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