少子化に新たな一手、地域に寄り添った出会い・結婚支援を

サービス

【対談】三重県×タップル

男女の出会いのきっかけとして近年利用者が増加している、マッチングアプリ。
三重県は、都道府県として初めてマッチングアプリ事業者と連携協定を締結しました。㈱タップルと「出会い・結婚支援に関する連携協定」を結び、結婚を希望する人の多様なニーズに応じた出会い支援に取り組んでいます。
三重県の少子化対策の取り組みについて、三重県子ども・福祉部次長の西﨑水泉様とタップル代表平松が対談を行いました。

地域の特色を生かした支援で『恋愛総量の最大化』を

西﨑様(以下敬称略):少子化問題の要因として未婚化や晩婚化が挙げられますが、県ではかねてより少子化対策の総合計画「希望がかなうみえ 子どもスマイルプラン」を策定し、結婚・妊娠・子育ての希望がかなうよう、ライフステージごとに切れ目のない支援を実施することとしています。そのなかで、結婚の希望がかなうよう、出会いの支援に取り組んでいます。

具体的には、「みえ出逢いサポートセンター」を平成26年度に設置し、相談支援や婚活イベント等の出会いの機会に関する情報提供などを行っています。

ただ、近年はコロナ禍の影響もあって婚姻件数が明確に減少しており、県として結婚支援に更なる取り組みが必要だと感じていました。令和4年10月に策定した県の中期戦略計画「みえ元気プラン」や令和5年8月に策定した「人口減少対策方針」においても、出会い支援の取り組みに力を注ぐこととしています。

      三重県子ども・福祉部 次長兼子ども政策総括監 西﨑 水泉(ニシザキ スイセン)  
 三重県に入庁、県内の保健所、児童相談所等において保健師として勤務。 
2020年 子ども・福祉部子育て支援課 課長、2022年 子ども・福祉部 次長を経て、2023年4月より現職。
  三重県子ども・福祉部 次長兼子ども政策総括監 西﨑 水泉(ニシザキ スイセン)
三重県に入庁、県内の保健所、児童相談所等において保健師として勤務。
2020年 子ども・福祉部子育て支援課 課長、2022年 子ども・福祉部 次長を経て、2023年4月より現職。

─ タップルと連携協定を締結した背景を教えてください。

西﨑:
県の調査では、未婚の方のうち、20代では8割、30代では約6割が「いずれ結婚するつもり」と回答していますが、結婚していない主な理由として「出会いがない」「理想の相手に出会えていない」が挙げられています。これらの結果から、結婚の希望をかなえていただくためには出会いの機会を増やすことが重要だと考えています。

一方で、最近ではさまざまな結婚支援サービスが登場しており、マッチングアプリをきっかけとした結婚の割合が高まっています。行政では若い世代の結婚観や具体的なニーズの把握が難しいため、特に若い世代に浸透しているマッチングアプリ事業者の協力を得て若者のニーズを把握しようと考えました。

─ 実際に結婚支援を希望される方はどのような方が多いですか。

西﨑:
仕事が忙しく出会いを求める時間が取れない男性が相談に来るケースが多いです。
アンケートを取る中でも、特に男性において結婚を希望する一方で出会いが少ないことがわかっています。三重県では20~30代の働く世代の女性が少なく、高校卒業後に県外の大学に進学し、そのまま三重に戻らずに県外で就職・結婚するケースが多いという調査結果もあり、三重県内の未婚者の人口比率は、20歳から49歳の女性1人に対して男性が約1.4人となっています。

─ タップルが自治体連携を行う背景を教えてください。

平松:
コロナ禍で飲み会などの出会いの場が減少し、より多くのお客様にタップルを使っていただけるようになったことで、社会的責任が大きくなっていると感じています。
そういった流れの中で私たちはパーパス、つまり当社が果たすべき社会的な使命として『恋愛総量の最大化』を設定し、改めて少子化問題の解決に貢献することを掲げました。

『恋愛総量の最大化』を達成するためには、直接お客様へアプローチするだけでなく、市町村・都道府県レベルで自治体と一緒になって調査研究し、地域に合わせた取り組みをしていく必要があると感じ、自治体連携に取り組んでおります。

      株式会社タップル 代表取締役社長 平松 繁和(ヒラマツ シゲカズ)  
 2013年2月株式会社サイバーエージェントに中途入社。同年12月、株式会社プレイモーションを設立、代表取締役社長に就任。マッチングアプリ「CROSSME(クロスミー)」を開発・運営。2022年8月より株式会社タップルの取締役を務め、2023年10月より代表取締役社長に就任。
  株式会社タップル 代表取締役社長 平松 繁和(ヒラマツ シゲカズ)
2013年2月株式会社サイバーエージェントに中途入社。同年12月、株式会社プレイモーションを設立、代表取締役社長に就任。マッチングアプリ「CROSSME(クロスミー)」を開発・運営。2022年8月より株式会社タップルの取締役を務め、2023年10月より代表取締役社長に就任。

実際に、三重県内で人気のデートスポットに足を運んだところ、土地によって恋愛・結婚の環境や価値観が違うことを感じました。

例えば伊勢市にお住まいの方に伺うとデートスポットといえばイオンで、車で集合して駐車場があるところへデートをすることが多いようです。

東京では電車で目的地に集合することが多いですから、初対面のデートでお相手の車に乗るのは防犯上危ないと言われることが多いですが、三重だとまた違った考え方があるかもしれません。
そういったリアルな事情も情報交換しながら、地域のお客様に最適な取り組みを一緒に探っていきたいです。

「県民接点の再デザイン」のための共同プロジェクト

西﨑:県としても、地域の特色を生かした取り組みはぜひ進めていきたいと思っています。
三重県は伊勢神宮をはじめ観光スポットが多く、食材も豊かな県です。私自身も三重県出身ですが、人口が密集していない分、ゆったりと生活できますし、将来は地方で子どもをのびのび育てたいと思われる方にはあっていると思います。
タップルと協力して出会い支援の取り組みを実施する中で、こうした地域の魅力も発信し、県外の方からも興味を持っていただけるのではないかと思います。

安心安全な結婚支援を目指して

─ 様々なマッチングアプリがある中で、タップルと連携協定を組んだ背景を教えてください。

西﨑:
マッチングアプリを活用する方が増える反面、アプリによるトラブルも報道されています。
何よりも県民にとって安心安全であることを重視して、安全性を考慮したサービスと連携を組みたいと考え、インターネット型結婚相手紹介サービス業認証制度(以下、IMS認証制度)の基準をクリアした事業者さんを選定いたしました。

平松:IMS認証制度は、身分証による年齢確認と本人確認はもちろんのこと、卑猥な表現や誹謗中傷を規制するシステムや24時間365日の有人監視を配置することなどの、安全水準を満たしたマッチングアプリを認定するもので、安心安全を認められたサービスの証です。

タップルでは、業界内でも特に安心安全に注力しており、技術を活用した安全対策も実施しています。例えば、芸能人の写真やSNSから拾ってきた写真が勝手に自分のプロフィールとして使われないように、空港での顔認証に使われるシステムを導入して、スマートフォンのカメラで自撮りした写真、プロフィール写真、そして本人確認書類の顔写真が一致しているかどうかをチェックしています。

また、タップルでは業界で唯一サービス内での連絡先交換を禁止にしています。
実はマッチングアプリを経由した犯罪やトラブルは、アプリ内ではなく、アプリで出会った人と個別にSNS等の連絡先を交換した先で起きることが多いです。実際に会って信頼できる相手だと確信できるまでは、なるべく目の届くアプリ内でやりとりをしていただくことを推奨しています。

─ 連携協定の取り組みの第一弾として、婚活に関するアンケートの実施を予定していますが、実施の背景を教えてください。

西﨑:
若者の20%以上がマッチングアプリを使用しているという調査結果がありますが、県独自の調査ではこうした若者の価値観やニーズを掴むのが難しいと感じていました。多くの若い層を利用者とするタップルと連携することで効果的にニーズを把握でき、今後の取り組みの参考としたいと考え、まずはアンケート調査を実施することになりました。

平松:タップルでも、アンケート調査で得たデータをサービス開発に活用し、より使いやすいアプリにすることを目指しています。

タップルでは、プロフィール欄に結婚の希望と希望時期を記入することができますが、三重県ユーザーの回答結果を集計したところ、東京に比べて結婚への意識が芽生える時期が早く、特に女性ではその傾向が強くなっていました。こうしたデータを活用したお取り組みができればと考えています。
 

県民の希望に寄り添って少子化問題に貢献する

─ 今後実施予定の取り組みについて教えてください。

平松:
県主催のマッチングイベントで、タップルからアプリの安全な利用方法についてのセミナーを実施します。
自己PRに課題を感じる方も多いので、リアルの婚活イベントですぐ使える自己PR術もレクチャーします。マッチングアプリではプロフィールの印象が重要なので、どんな写真やメッセージが好印象といったところもお話できたらと思っております。

─ この連携協定を結んでの展望を教えてください。

西﨑:
結婚したいという希望がかなう地域社会の実現を目指して、結婚を希望する方のニーズに寄り添った支援を実施していきたいです。
県では、今年度から新たに、県が認定した地域のボランティアが、結婚を希望する方同士を一対一で紹介する「みえの縁むすびマッチング」という事業を開始するなど、出会いを結婚に結びつける後押しを始めています。
タップルと連携することで、多様な出会いの機会を提供し、ご自身に合った方法で婚活に臨めるよう支援に取り組んでいきたいと考えております。

平松:マッチングアプリを提供するやりがいは、お客様それぞれの結婚の価値観に寄り添うことだと感じています。県と連携した調査を進めて、地域の特性を理解した上で、三重県民の皆さまの恋愛・結婚の課題に取り組んでいきたいです。将来的には、三重県との取り組みを踏まえ、知見をどんどん全国に広げて、日本の恋愛総量の最大化に貢献したいと思っています。

この記事をシェア

公式SNSをフォロー

  • Facebook
  • Twitter
  • Instagram
  • Line

記事ランキング

神奈川県とタップルが目指す新しい結婚支援

サービス

【対談】神奈川県×タップル

2023年11月、神奈川県とマッチングアプリ「タップル」は若い世代の結婚支援に取り組むため「マッチングアプリの適正利用促進に関する連携協定」を締結しました。※1
2023年に結婚したカップルが出会ったきっかけの25.0%が「マッチングアプリ」※2だという調査結果もあるほど定着したアプリ婚。本記事では、神奈川県がマッチングアプリと連携して目指す「若い世代の結婚支援」について神奈川県青少年課伊藤里佳子様にお話を伺いました。
(聞き手:タップル 浦辻 本インタビューは2024年2月に実施しました)
※1  マッチングアプリの適正利用促進に関する連携協定
※2  2023/11/16  明治安田生命「いい夫婦の日」に関するアンケート調査より

Page Top