若い人たちも競輪を楽しむムーブメントを起こす。
―業界初のスマホ決済サービス導入の舞台裏―

テレビ&ビデオエンターテインメント「ABEMA」にて配信中の「競輪チャンネル」と連動した競輪投票サービス「WinTicket(ウィンチケット)」。
サービス開始後から、3四半期で取扱高が約4倍になるなど大きな成長を遂げる「WinTicket」は、競輪の勝者投票券(車券)を購入できるインターネット投票サービスのほか、AIや、競輪選手データ、レース予定・結果など投票に役立つデータを提供。現在ファンである方はもちろん、これまで競輪にあまり触れることの無かった若い世代の方にもその面白さを伝えることを目指してきました。
今回のFEATUReSでは、2020年4月の1周年を迎えるにあたり、競輪業界初となるスマホ決済サービス導入の舞台裏を、「PayPay」オンライン営業本部 部長の高木寛人氏と(株)WinTicket代表佐野との対談を通し、「WinTicket」のこれからに着目していきます。
Profile
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PayPay株式会社
高木 寛人(オンライン営業本部 オンライン営業部 部長)
2001年新卒にて株式会社インテリジェンス入社、
新規事業開発部長、戦略人事統括部長、メディア事業営業本部長などを担当。
2018年7月 PayPay株式会社創立と時を同じくしてPayPayの立ち上げより参画。
営業企画本部エンタープライズ営業推進部長を経て2019年11月より現職。 -
株式会社WinTicket
佐野智宏(代表取締役)
2013年新卒にて株式会社サイバーエージェント入社、
ゲーム事業部のアプリボットに配属後、プロデューサーなどを経て、同社取締役に。
2018年11月 株式会社WinTicketを設立、代表取締役として2019年4月にWinTicketを立ち上げ、現職。
わずか3四半期で取扱高4倍に急成長した「WinTicket」が、競輪業界初のスマホ決済導入
――競輪業界としては初となるスマートフォン決済サービス「PayPay」導入にいたった背景をお聞かせください。

佐野
元々若い人たちにも競輪を楽しんでいただきたいという思いから始めた「WinTicket」も、サービス開始から4月で1年を迎え、事業が拡大フェーズに入ってきました。事業拡大の戦略の中で互いに連携することで相乗効果が得られそうな様々な業種のパートナーの方にお声がけをさせていただいておりました。
当時は、ネット決済がまさにトレンド、そして「WinTicket」でも投票するにはポイントを購入が必要ということもあり、ユーザーにとって非常に大きな役割を持つ決済手段についてのアンケートを取ったんです。
その結果、55%の方から「PayPay」を利用したいと回答があり、ネット決済、そして「PayPay」の需要の大きさを感じ、お話をさせていただいたのが始まりです。

高木氏
お話をいただいた当初は、正直言うとピンとこなかったです。「PayPay」として“決済があるところではどこでも使えるようにする”というミッションがあるのですが、日常的に決済が使われるところを優先的に進めていました。
わたくし自身があまり競輪をやらないということもあり、競輪で使うというようなことをあまり想定してなかったんです。もちろん、広くみるとどこでも使えるようにするという「PayPay」のミッションの範囲に入るわけですが、日常的な場所というところに優先順位をつけながら戦略的にやっている中では、すごく遠いところにあると感じていました。

――遠いところにあった中、導入を決めたのはなぜですか?

高木氏
アンケートを取っていただいて、「WinTicket」ユーザーの55%が「PayPay」の導入を要望してくださったというのが大きかったです。
そもそも、「WinTicket」と同様のサービスからもお話はなかったですし、「どの決済手段を使いたいですか」という部分に着目して、調査をしている事業者さんもなかったですしね。
正直に申し上げると、公営ギャンブルや、ギャンブルに対する抵抗感みたいなものも当然社内にもあったかと思います。でも「PayPay」の目的である「決済があるところはどこでもPayPayが使える」「どこでもPayPay」という点、そして「WinTicket」においては競輪という娯楽を若い方により広めていこうという、ビジョンもあるということもあり、ユーザーの希望があるところに導入すべきではないかと考えました。
娯楽化が進む“公営競技×インターネット”で、新たな価値の創出
――娯楽系でいうと、ゲームとか以外で、ある種初めてネットの娯楽サービスに参入するという点はいかがでしたか?

高木氏
オンラインサービスの営業を始めたのが昨年の年末くらいからで、Yahoo!ショッピングなどのグループ企業のサービスで、でいくつかチューニングして、それ以外のサービスに提供していくという順番で進めています。
当初からマーケットを見た時に、わたしの頭の中では、デジタル、いわゆる携帯ゲームはマーケットも広いし、ユーザーも多くいるということもあり、優先的に取り組もうという方針でした。
でも“公営競技×インターネット”が娯楽化している、という点はわたしの頭の中には着想がなかったので、御社の調査をもとに気づかせていただきました

高木氏
私自身は正直あまり試していないんですが、同じオンライン営業本部の江森が使っており、社内で相当プレゼンしてくれました(笑)。
AIをつかった予想や、UIが今っぽくて手軽感もあるし、実際にチャージして使ってみると、このサービスで「PayPay」が使えるようになるとかなりいい、入れるべきだという話になりました。
ちなみに「WinTicket」を始めようと着想するに至ったきっかけは何だったのですか?


佐野
公営競技でみると市場が5兆円くらいあるという点、そして「ABEMA」というサービスを使って市場を伸ばす余地が大きそうなのが競輪だったというの一番大きいですね。
市場の大きさ、サイバーエージェントグループの開発力を活かせば、この市場の中で新しい価値を提供できるんじゃないか、新しい流れを作れるんじゃないかと考えました。

高木氏
そう聞くと、ユーザーアンケートをやった、じゃあすぐやろう、というシステム改修を含めたところのスピード感とかを続けてこられたという部分が、他社への優位性の一端を担うかもしれませんね。

佐野
はい、お客様の声をサービス運営に反映させる姿勢は大きいと思います。
実際にアンケートをとって直接意見を聞くこともありますし、サービスの中でのお客様の動きを分析してお客様が本当に求めてる情報、UXはなんだろう?と間接的に把握することもあります。
「WinTicket」はもともと、競輪をやっている方ではなくて、やったことがない方をターゲットにしていたので、その方たちが日常的に使っているアプリなどを研究し、それらのアプリに遜色ないクオリティのサービスを創りたい、という思いが強いです。
「PayPay」を導入させていただいて、より使いやすいサービスになるように助けていただけたと思っています。

若者へのアプローチで、競輪をもっと身近なエンタメに
――今回の取り組みによって期待していることはありますか?

佐野
お金を入れる、というアクションが、競輪をやったことない方々にとって最大の心理ハードルになると考えています。
ですので、自分たちが使っている決済手段が使える、そこの面倒くささはないな、という状態を作ることができれば今以上に、「じゃあやってみよう」という若者もどんどん増えるのではないかと考えています。
さらに「PayPay」を経由して競輪をやったことのない方たちが、「ABEMA」で、お酒でも飲みながら競輪を観て、競輪の魅力に触れていただく機会が増えてくるといいなと思っております。

高木氏
もともと御社のユーザーにニーズがあったということなんですが、裏を返せばまだ「WinTicket」を利用するけど、あと45%の人たちが「PayPay」を要望してない、と言えるとも思っておりまして、今回の取り組みをきっかけに、御社サービスを利用していて、「PayPay」に親和性のない方にも「PayPayはこういうところでも使えるんだ」と、有用性を感じていただきたいというのが一つあります。
もう一つとしては、時勢的になかなか外に出られない状況になっていて、娯楽も家でできるものに限られる、とういう中で、「WinTicket」のようなサービスが、ちょっとした息抜きになったり、先ほどの家の中でお酒でも飲みながら、といった機会を広めることになるという点で、後ろ支えになるようなツールになればいいなと思っています。
――最後に、今後の展望や取り組みなどをお聞かせください。

佐野
1周年を迎える「WinTicket」としては、競輪のリブランディング、つまりイメージ改革をしていきたいです。
競輪はどこか近寄りがたいイメージがあると思うんですが、若者もスマートフォンで簡単にアクセスできる、身近な新しいエンタメとしてのムーブメントを創っていきたいですね。
その一つである「ABEMA」はもちろん、今回の「PayPay」での決済手段導入など、もっともっと身近なものにしていって、若い人たちが競輪をすごい楽しんでいる未来を作っていけたら本望ですし、そこを目指して頑張りたいです。

高木氏
わたしたちの部門がオンラインでの決済を担っていることもあり、リアルの買い物が、オンラインにシフトしていくという流れの中で、キャッシュレスの代名詞だったクレジットカード以外の決済手段で買い物がより便利になっていく世界を創っていきたいですね。
今回「WinTicket」に導入していただくんですが、元々のクレジットカードのユーザーが「PayPay」に移行するだけでは価値がないと思っていて、「PayPay」を導入したことによって、「こんなところでもPayPayが使えるんだ」とユーザーが増えたり、「PayPay」が便利だからより多くの人が使うようになるとか、そういう世界を提供できるように、わたしたちのサービスを磨いていくことが必要だと思っています。
今回のお取り組みをきっかけに、「WinTicket」からもユーザーのフィードバックもいただきながら、お互いのサービスを磨き合うような関係性を作れたらいいなと思っています。
WinTicket(ウィンチケット)
公営競技の投票がスマホで簡単!レース動画も高画質

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