GOODROID世界累計6億DL 「カジュアルゲーム」で切り拓く、グローバル展開の新たな勝ち筋
現在、世界中のユーザーに、最も親しまれているゲームジャンルの一つが、カジュアルゲームです。サイバーエージェントのゲーム事業においても、主力タイトルの海外展開とともに、より多くのユーザー接点を生み出す戦略的な領域となっています。
本記事では、提供タイトルが世界累計6億ダウンロード※を突破し、海外売上比率が90%を超える子会社(株)GOODROIDの戦略に迫ります。
※2026年2月時点
市場の変化と、グローバル展開でのカジュアルゲームの役割
世界のモバイルゲーム市場は高い成長率を維持しており、2028年にはアプリ内課金収益が1,000億ドル※1を突破すると予測されています。主要地域別ではアメリカ、中国が市場を牽引し、日本はこれらに次ぐ世界第3位に位置しています。特に最大市場の一つである北米では、短時間で手軽に楽しめるカジュアルゲームがランキング上位を占めるなど、ユーザーニーズの変化が顕著です。
※1 Sensor Tower「2024年世界のモバイルゲーム市場予測」
現在、当社のゲーム事業では、オリジナルIPと他社の有力なIPを両軸としたビッグタイトルの創出を目指していますが、海外での幅広いユーザー接点の獲得に向け2025年12月には、グローバル市場を中心に展開する(株)Litpopを設立するなど、カジュアルゲームも戦略的に強化。機動力を生かした開発体制でさらなるユーザー接点の創出を図っています。
提供タイトルの全世界累計6億ダウンロードを突破し、同領域で着実に実績を積み上げる(株)GOODROID。 彼らはいかなる戦略で世界と対峙しているのか。代表取締役社長の松田に、その最前線を聞きました。
「データと再現性に挑み続ける」 ── 世界累計6億DLの先に見据える、日本発スタジオの挑戦
【Interview】(株)GOODROID 代表取締役社長 松田和彬
─ 提供タイトルが世界累計6億DLを突破していますが、グローバル市場におけるGOODROIDの現在地をどう分析していますか。
拡大を続ける海外のモバイルゲーム市場において、気軽に短時間で楽しめるカジュアルゲームの勢いが増しています。当社はいち早くこの領域の成長可能性に着目し、2014年から同事業に参入しました。
2019年からは、直感的に遊べる手軽さを入口に、広告収入を主軸に老若男女幅広い層へアプローチする「ハイパーカジュアル」へも領域を広げ、現在では同事業売上の90%以上を海外が占めるまでになりました。アプリ内の広告収入を得るこのモデルは、圧倒的な拡散力が重要です。世界には年商500億円を上回るパブリッシャーも存在しており、私たちは日本発のスタジオとして、それら世界の競合と方を肩を並べられるよう、さらなる成長を目指しています。
北米を中心とした巨大なマーケットに挑む中で、私たちの武器となっているのはUI/UXを含めた「手触り」や「遊び心地」への徹底したこだわりです。日本のものづくり特有の繊細な感性をプロダクトに落とし込むことで、当社開発の『Hexa Away』は、Google Playの無料パズルゲームランキングにおいて全米2位※3を記録しました。
一方で、組織的なマーケティング運用力にはまだ「伸びしろ」がある。世界のトップ水準を目標に、独自のノウハウを蓄積している段階です。
※3 data.ai by SensorTower調べ
─ 年間19本※4というリリースの速さを維持しながら、どのようにヒットの再現性を高めているのでしょうか。
特徴的なのは、リリースの判断基準とサイクルの速さです。数年かけて作り込む大規模開発とは異なり、まずはコアとなる楽しさを凝縮した最小構成で市場に出し、ユーザーの反応を定量的に測ります。
検証の密度には徹底的にこだわっており、1タイトルにつき100回近いA/Bテストを行うこともあります。これは「どうすればもっと心地よく遊んでもらえるか」というユーザー体験の解像度を、極限まで高めるためのプロセスです。いち早くお届けし、ユーザーの反応を取り入れながらプロダクトを磨き上げていく。この「高速な検証と改善」こそが、私たちのスタイルです。
また、これを支えるのが、職種の垣根を持たないフラットな組織です。
海外の大手パブリッシャーは分業化が進んでいますが、当社ではエンジニアがマーケティング視点を持ってクリエイティブ制作に深く関与するなど、職能を越えた連携が日常的に行われています。職種に関係なく全員が数字(ユーザーの反応)を自分事として捉え、高速で改善を繰り返す。このサイクルを回し続けることで、個人の主観ではない、経験則に基づいた確かなセンスが組織全体に蓄積されています。
※4 2024年度実績
─ 近年は、「ハイブリッドカジュアル」にも注力していますね。
手軽さとゲーム性を兼ね備えた「ハイブリッドカジュアル」は、大きな成長領域です。広告収入に加え、アプリ内課金を組み合わせることで収益性を高めるこのモデルは、幅広い層を集客しつつ、ゲームユーザー寄りの深い遊びも提供できるのが特徴です。2025年12月に提供開始した『FAIRY TAIL 魔導士クロニクル』は、まさに有力IPとこの手法を掛け合わせた好事例となりました。
こうした有力IPとの協業においては、開発実績への信頼はもちろん、アニメ製作などを手掛けるグループ全体の総合力も大きな強みです。
ただ、どれほど体制が整っても根底にあるのは開発者の純粋な熱量。現場の担当者が作品への深い愛とリスペクトを持って向き合うことで、IPホルダーとのパートナーシップが実現しています。
©真島ヒロ・講談社/フェアリーテイル製作委員会・テレビ東京 © GOODROID,Inc. ALL Rights Reserved. CyberAgentGroup.
─ 統合報告レポートでも明記している「多層的な成長戦略」において、カジュアルゲームはグループ内でどのような役割を担っていると考えていますか。
ゲーム事業全体としては、じっくりと最高品質のプロダクトを磨き上げる、大規模タイトルの創出が戦略の柱です。一方で、開発サイクルが長期化するなか、短期間で数多くの打席に立てるカジュアルゲームの領域で新たな勝ち筋を切り拓くことは、グループ全体の戦略的な厚みに直結すると考えています。
現在は、グループ各社がそれぞれのフィールドで「正解」を模索し、多様な成功モデルを積み上げているフェーズ。GOODROIDでの判断経験を持つ人材や、培った知見は、将来的に大きなシナジーを生む源泉になると確信しています。
─ 今後の展望、およびゲーム事業の強靭さを高めるための挑戦について聞かせください。
今後は「ハイパーカジュアル」と「ハイブリッドカジュアル」の2軸を並行して伸ばし、世界中でのユーザー接点をさらに広げていきます。将来的には、自社発のオリジナルIPを世界で通用させるレベルまで昇華させたいですね。
また、累計6億DLを突破し、数億人規模のユーザー接点を持ってきた知見は、ゲーム以外の領域にも転用可能です。例えば越境ECなど、培ったマーケティングの強みを生かして新しい事業にも積極的にチャレンジし、グループ全体の成長に繋げていきたいと考えています。
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