就活のゴールは就職ではない。大手志望から一転、ITベンチャーに入社を決めた子会社社長が話す“働く意味”とは?

今回ご紹介するのはポイントサービス事業の株式会社ドットマネー代表取締役社長の鈴木英。司法の道を志していた大学時代から一転、ITベンチャーへ入社を決めた彼のキャリアについて話を聞きました。
Profile
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株式会社ドットマネー 代表取締役社長
鈴木英
2013年新卒入社。Ameba事業本部でプランナーを経験後、ポイントプラットフォーム事業の立ち上げメンバーとしてプランナー/営業を担当。2015年に事業責任者になり、2016年株式会社ドットマネー代表取締役社長に就任。
「長所」とは作り出すものである
──就活生向けのキャリア講座なので、学生のみなさんに鈴木さんのキャリアをお話してもらいたいと思います。
よろしくお願いします!
──鈴木さんは現在株式会社ドットマネーの代表をされていますが、最初から社長になりたいと思っていたんですか?
いえ、社長になりたいと思ったことはなかったですし、ましてや事業やチームの責任者も目指していたわけではありません。キャリアには全くと言っていいほど興味なかったんです。目立った実績を残したというわけでもありませんでした。
──え!入社当初から輝かしい実績を残し、その上での抜てきではないんですか?
入社時の研修では同期最下位で、正直4年目まではこれと言った実績もなかったので、名前を知ってもらう機会もほとんどなかったと思います。
──意外です。
「プラットフォームビジネスをしたい」という理由でサイバーエージェントに入社をしてメディア事業に配属されたのですが、その当時のサイバーエージェントは「Ameba」をスマートフォンシフトするタイミングで「スマホアプリを100個つくる」と社長の藤田が宣言した時。そのため、同期は「サービスをつくりたい」と言って入ってくる人がほとんどでした。今だから言えることですが、私はサービスに興味があったわけではなく、あくまでも構造に興味があったので、自身のiPhoneにはほとんどアプリが入っていませんでした(笑)。だから、研修で課されたサービスの改善案なども全く案も思い浮かばず、いつも最下位だったんですよね。

──そこから何か変えたことがあったんですか?
センスや知識で勝てないのであれば、とにかく行動しようと決めました。ただ、達成した記憶はほとんどありません。
しかし、入社して一年半してから、ドットマネーの前身であるポイントサービス事業を立ち上げるというタイミングで声をかけてもらいました。
──何が評価されたのでしょうか?
“ガムシャラに頑張る”点だと思っています。自分ができないことを行動量でカバーすることで、「あいつは頑張る」という評価をしてもらったんだと思います。配属直後は何もできず、「社会人人生終わった」とまで思いましたが(笑)、それを凌駕するだけの努力を評価してもらえたことで、、長所は自分で作り出せるんだなと思いました。そして、そこからドットマネーの事業が立ち上がり、そこでも声を掛けてもらいました。ただ、そこから2年半は鳴かず飛ばずでしたね。
──変わったタイミングがあったんですか?
ドットマネーを立ち上げた責任者の先輩と、四六時中行動を共にしながら全力を注いでいたのですが、その先輩が異動することが決まり、そこで責任者を任されました。しかしその後、一度撤退の方向で話が進んだんです。その時に、担当役員の小池が「あと半年だけやってみたら?だめだったらまた考えよう」とチャンスをくれたんですよね。そこで、行動量とスピードを倍にして、できる施策を全て実行しました。その結果、業界最大規模のポイントプラットフォームに成長し、その後の「あした会議」で子会社化が決定しました。
──すごい。有言実行ですね。
もうやるしかないな、という気持ちですよね。その先輩と創り上げた事業を絶対に潰したくないと。子会社社長になったことは自分のキャリアの中でターニングポイントになりました。それまでも責任者とはいえ、後ろには先輩社員がいてくれていたんです。そこから会社を任せてもらうという立場になったので、“意思決定をする”ということにとにかく向き合うようになりました。
自己分析は、長所と短所を探すのではなく、
自分が夢中になることを考える
──そもそもですが、なぜプラットフォームビジネスをやりたいと思っていたんですか?
私が就職活動していた時は、ちょうどiPhoneが流行し始めた時で、そこでふと「なぜアプリは全てApp Storeを経由するのか」というのに疑問を持ったのがきっかけです。また、それを調べる過程であるIT企業の社長のお話を聞く機会があったんです。「これからスマートフォンの時代が必ずくる。プラットフォームビジネスこそ向こう10年で世界No.1が狙えるビジネスです。あなたの20代をどこに投資しますか?」と。今でも明確に覚えています。人が集まって、それによりいいコンテンツが集まり、そこにまた人が集まり・・と無限ループに入るプラットフォームビジネスには無限の可能性があると思いましたし、とても面白いと思いました。これがIT業界で働く決定打となりました。

──それまでは違う業界を志望していたんですか?
法学部に所属し、学生時代はダブルスクールに通いながら司法書士を目指していました。所属していたゼミ生の半分が司法の道、もう半分は名だたる大企業を目指しているようなコミュニティにいたのもあり、当時の価値観としては、就職=大企業に就職するということ。そのため就職活動当初は金融、商社、総合代理店などのインターンシップに参加していました。その後にサイバーエージェントに決めたので、最初は親から反対されましたね(笑)。
──そうなんですね!なぜ反対されたのでしょうか・・?
兄が日系大手に就職していたのもあって、いわゆる大手企業に勤めることが当たり前の家庭だったからです。また、当時のサイバーエージェントは設立14年ほどで、売上も今の4分の1程度。「大丈夫か?」と心配されましたね。
──そこからなぜサイバーエージェントに入社を決めたんですか?
「働く」って“好きなことに夢中になること”だと思っています。毎日働くのに「働きたくない」と思いながら出社するのって嫌じゃないですか。私にとって夢中になることが「プラットフォームビジネス」でした。上述したように当時、サイバーエージェントの決算発表で代表の藤田がスマホサービスを100個つくり、スマホのプラットフォームをつくることを宣言していたんです。それにすごく感銘を受けてこの会社で働きたいと強く思いました。
──「夢中になること」と言われても、なかなか探すの難しくないですか?
なんでもいいんですよ。例えばうちの社員には「サッカー日本代表をワールドカップで優勝させる」と言って入社した人もいます。なので、“就職活動”というのは、自分が好きなこと、本気で人生をかけられることを探すことだと思うんですよね。自分の目指すことに対して、その会社に入ることが最短距離になり、それで自分が腹落ちできるかどうか。よく自分の長所と短所を考えるような自己分析をする人もいますが、それは間違っていると思うんです。自己分析は、自分が夢中になることを考えることです。それを成し遂げるために仕事があって、それが将来に繋がっていると思うと、働くことが楽しくなりますよね。
FinTechをサイバーエージェントの第4の事業柱にする
──今後の鈴木さんの目標を教えてください。
会社としては、FinTechをサイバーエージェントの次の事業柱にすることです。サイバーエージェントを今後さらに大きくしていくために必要なのは金融領域だと思っています。その柱をつくるために株式会社ドットマネーがあり、それを中心にどんどん展開させていく必要があると思っています。
個人としては、育成にコミットすることです。サイバーエージェントは宣言する文化が強いですが、私は自己主張ができるタイプではなく、そこまで発信はできていなかったと思います。しかし、周りには見てくれている役員や先輩がいて、自分の行動を評価してもらって抜てきしてもらいました。次は自分が下の代に還元する番だと思っています。そのため、「YMCA」の理事長となり、若手が活躍し続ける会社にし続けることを担っていきたいと思っています。
──ありがとうございます!それでは最後にどのような人と一緒に働きたいかを教えてください。
「夢中になれることがある人」、あとは「努力を惜しまない人」ですね。最初からできる人はもちろんいないと思うので、できないことに対して机上の空論ではなく、しっかりと行動できる人と是非一緒に働きたいと思っています。
──鈴木さん、ありがとうございました!
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「チャレンジを応援する社風が後押ししてくれた」
周囲へ宣言し続けることで切り拓いた、
フルスタックエンジニアとしてのキャリア

サイバーエージェントでは、グループ全体で挑戦する人を応援するカルチャーが根付いており、その社風を後ろ盾に様々なキャリアを切り拓くエンジニアが多くいます。子会社 CAM、シロク、タップル等においてWebフロントエンド領域の責任者を担いながら、開発も行うエンジニアマネージャーである江尻もその一人です。バックエンドエンジニアとして入社後、ネイティブアプリ、Webフロントエンドと次々にキャリアチェンジを図ってきました。マルチなキャリアを構築することになったきっかけやキャリアの転換点で出会った尊敬する上司の存在、新たな挑戦への想いを聞きました。