藤田晋が語る
新しい時代にイノベーションを起こす覚悟と執念

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創業当初からサイバーエージェントに根付く、事業を生み出し続けるカルチャー。

先月発表したパーパス「新しい力とインターネットで日本の閉塞感を打破する」にもあるように、インターネットでイノベーションを起こすことは当社の競争力でもあります。

会社の規模がどれだけ大きくなっても、挑戦を絶やさずに走り続ける組織の風土について、社外取締役を務める高岡氏(ネスレ日本元CEO)が、代表藤田へ聞きました。

※本記事は、アンカー・デジタル・イノベーション・サロン(ADIS)にて行われた対談の内容を編集したものです。
 

イノベーションとは、それまでの‘当たり前’から脱却すること

高岡氏:私は昨年サイバーエージェントの社外取締役に就任して、驚いたことがあるんです。それは、会社全体で新しいことにチャレンジする雰囲気。どのような努力の上に挑戦する社風が成り立っているんですか?

藤田:そもそも、インターネット業界に身を置いていると、我々自身にイノベーションが起こりやすいんですよ。この業界では目の前の現実がコロコロと変わるので、過去の成功にすがっていると生き残れない。つくりあげた売上にしがみついてはいけない、イノベーションを恐れてはいけないと、自分自身に常に言い聞かせている感じですね。

高岡:イノベーションを生み出す制度や仕組みは、具体的にどんなものがありますか?

藤田:色々試してみましたが、一番機能しているのは「あした会議」です。役員がそれぞれチームをつくって新規事業などを提案するんですが、目を皿のようにして新たな事業の芽を探すんですね。そうすると、やり残しは少なくなる。今年9月に開催した「あした会議」では、新規事業が10個ほど決議されました。

昨年よりオンラインで実施している「あした会議」
昨年よりオンラインで実施している「あした会議」

高岡:イノベーションの定義ってあってないようなものだと思うのですが、藤田社長が考えるイノベーションとはどのようなものでしょう?

藤田:新しい環境や技術を積極的に使って、より便利に、より簡単にすること。それと同時に、既存のものがいらなくなることがイノベーションだと思います。最近でいうとハンコをなくすとかですね。それまでの当たり前から脱却する覚悟を持つこと。それが一番大切だと思います。

高岡:では、どうして大企業ではイノベーションが起きにくいと思いますか?特に日本で、イノベーションを阻んでいるものは何でしょう?

藤田:大企業では、組織や事情が複雑に入り組んでいることがイノベーションが起きにくい要因の一つかもしれないですね。社内の色々な人を調整することが大変で、そのうちに立ち消えてしまう。でも、そんなことをやっていたら日本の産業は遅れてしまうし、大企業は取り残されてしまいます。

そうならないために必要なのは、リーダーシップ。組織をまとめて一つの方向に導くのは、やはり強いリーダーシップを持つ人だと思います。そういう意味では、私は創業社長という立場もあって、大きな経営判断でも組織を動かしやすいという点はありますね。

「会社が倒産しない程度に張れるもの全部張ろう、8割勝つから」

高岡:変革のできる経営者は、圧倒的にオーナー社長に偏っていると私も思いますね。ただ、藤田社長は強いリーダーシップをとりつつ、非常にソフトな印象もあります。ワンマン経営ではなく、会社全体に権限移譲しているように見えるのはどうしてでしょうか?

藤田:私がサボりたいからというのはあると思います(笑)。基本的には任せて伸ばすという考えがベースにあって、私は会社全体をまとめる役割。その中で、「ABEMA」だけは細かいところまで見ています。

よく、広告やゲーム事業は人に任せているというと、社外の方から「嘘でしょ?」と言われますけど、本当に全然見ていないですね。高岡さん、社外取締役だから分かりますよね?

高岡:はい、驚きました(笑)。任されている自覚もあってか、社員の皆さんもいきいきと仕事していますよね。ちなみに、これまでの経営の中でこれは失敗したなというエピソードはありますか?

藤田:一見失敗に見えることは結構していますね。例えば、スマホがこの世に登場したとき。

当時サイバーエージェントでは、スマホシフトを掲げて大号令を出したんですね。全事業部から200名くらい社員を集め、「総張り戦略」と伝えてゲームやコミュニティサービスなど、スマホに関連するものは全てつくりました。そのなかで、収益をあげられるものの大半はゲームだとわかった。それで、いまの会社の柱となるゲーム事業ができたんです。

これってほとんどのサービスが失敗したようにも見えますよね。でも、全ての可能性を探ったから、一つ当てることができた。色々つくったから技術力がついて、伸びそうな分野にさらに人を張る体制がとれた。ガラケーがスマホに置き換わることは誰の目にも明らかでしたが、こういう大きな方向転換って、意外とやらない会社が多いんです。新しい現実が目の前にもう現れているのに。

高岡:成功している経営者は、そういう変化を見る能力がありますよね。可能性のあることに必ず手をつけている。

藤田:8割うまくいく可能性がある事業って、ものすごいチャンス。「会社が倒産しない程度に張れるもの全部張ろう、8割勝つから」そういう感覚でやってました。
 

中途半端な投資は失敗の要因。ネット業界はやりきったところが生き残る。

高岡:スタートから5周年を迎えた「ABEMA」の手応えはいかがですか?

藤田:開局当初、まずは1000万WAUを目指すという話をしていましたが、それは昨年クリアして。コロナ禍のステイホームなども起因して、直近のWAUは1800万を記録するところまで伸びてきました。

※WAU:1週間あたりの利用者数(Weekly Active Users)

高岡:最近はリモコンに「ABEMA」のボタンがついているテレビも増えましたよね。視聴の方法が広がってきたのはユーザーとしては非常に便利だなと。

藤田:「ABEMA」はテレビのイノベーション。テレビを再発明するということです。「時間と場所からの解放」を掲げて、様々なデバイスに対応し、「追っかけ再生」やタイムシフトなど、視聴者の好きな時間に見られるようになっています。

一方で、テレビの良さはやはりあります。日々最新の報道が届くことやスポーツ中継の生放送、無料で見られるのもテレビならでは。そういった良さを残しながら変革するのが「ABEMA」の基本コンセプトです。

高岡:今後の「ABEMA」の展望はどのように考えていますか?

藤田:引き続き、サービスとしての使いやすさは追求していく予定です。さらに、コンテンツの拡充は至上命題になっていますね。単純なコスト競争では、巨額の投資をする会社には勝てない。でも、勝てる分野では十分なコストを払わなければいけないので、そういう意味では体力勝負だなと。このドメインは、それなりの資金を投下できる会社しかやりきれないと思っています。

高岡:投資をし続けないと、「ABEMA」そのもののバリューはあげられないということですね。

藤田:中途半端な投資は失敗の要因になるんです。ネット業界はやりきったところが生き残る傾向にある。全てやりきる前に中途半端なところで損益分岐点を狙いにいくと、そのまま事業が終わってしまいます。「ABEMA」もその状況になることが一番怖かったけど、当面は大丈夫かなと。腹をくくってやり抜こうと思っています。

高岡:当然ながら株主から厳しい目で見られることもありますが、現時点ではトータルでサイバーエージェントの業績そのものや、「ABEMA」の価値について納得されているんじゃないかなと、社外取締役として見ていて感じますね。「ABEMA」のさらなる成長に、今後も期待しています!

 


 

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