現場の「会社のフラッグシップを開発しよう!」という声が、エンタメDXを加速する「Fensi」を生みだした

技術・デザイン

株式会社CAMは「Fensi」というタレント支援サービスを提供しています。「CAMといったらこれ!」というサービスを作りたいという現場の声から始まった「Fensi」が、コロナ禍で苦境にあえぐエンタメ業界を支援するに至ったお話をお伝えします。

Profile

  • 江尻 幸生 (エジリ ユキオ)
    株式会社CAM Fensi Platform ソリューション マネージャー
    2012年株式会社CAMへサーバーサイドエンジニアとして入社。デジタル占い、アーティストファンサイトなどのメディア開発を担当。その後ネイティブエンジニアにジョブチェンジし、ネイティブ開発のグループ立ち上げを経験。2018年10月からはWebフロントエンジニアも兼務。CAM内でも有数のフルスタックエンジニアとして社内全体の技術者育成も担いながら、自身での開発も続けるプレイングマネージャーとして従事。

  • 岡田 徳貴 (オカダ ノリタカ)
    株式会社CAM Creative Division Fensi Service Group エンジニア
    2011年よりサイバーエージェントでサーバサイドエンジニアとしてコミュニケーションサービス、ソーシャルゲーム等の開発を担当。
    2017年にCAMに出向し、メディアサービスやリアルタイム通信/ビデオ通話などの基盤システムの開発を担当。

会社のフラッグシップサービスを開発しよう!

―「Fensi」を開発した経緯を教えて下さい。
 

氏名

江尻

「CAMと言えばこれ! と言えるフラッグシップ的なサービスを作りたい」という現場の声が多かった事がきっかけの1つでした。

CAMは毎年5本ほどのサービスを立ち上げているように、新規事業が活発な会社です。その一方、Web系の企業としては歴史が長く (2000年5月設立、2019年3月にシーエー・モバイルからCAMに社名変更) フィーチャーフォン時代から運用しているサービスも多く残っていました。

2016年頃にはサービス数が200を超え、サービスの運用管理を行なうエンジニアの負担が顕著な課題になってきました。

そこで、2017年頃から段階的にサービスを整理し、リソースの集約・最適化を図ると同時に、新たにCAMのフラッグシップとなるようなサービスの開発を模索してきました。

その結果生まれたのが2019年4月にリリースした「Fensi」という、タレントやアーティストの公式サイトを簡単に開設することができるサービスです。

氏名

岡田

2019年4月時点の「Fensi」はあくまで「タレントやアーティストの方が公式サイトを簡単に作れるサービス」でした。

その後も機能改善の開発を進め、リリースから半年ほどで「Fensiプラットフォーム」としてCAMが展開するサービスの共通基盤となるシステムを構築しました。

ノーコードで新規サービスが立ち上がる
「Fensiプラットフォーム構想」

― 「Fensiプラットフォーム」とは何ですか?
 

氏名

江尻

CAMの社員数は約250名、エンジニア/デザイナーの数は110名程で、開発メンバーは貴重なリソースです。タレントやユーザーがCAMのサービスを通じて価値ある体験を得るためにも、会社は開発リソースを適切に割り当てる必要があります。

例えば「月額料金を支払う」「会員登録をする」「会員に通知をする」など、CAMのサービスに必要となる基本的な機能は類似しています。にも関わらず、新規サービスを開発する度にゼロから開発するのは非効率的でしかありません。

そこで、どのサービスにも類似する機能を共通資産として統合し「Fensiプラットフォーム」に組み込むことで、新規のサービスを開発する時にも共通化された機能を活用する。そんな観点から「Fensiプラットフォーム」構想はスタートしています。

ー どんな会社にもある「共通ライブラリ」と何が違うのでしょうか。
 
氏名

岡田

もちろん社内には以前から、メール配信やユニークID払い出しに関するAPI基盤はありましたが、あくまでコアな機能を切り出しているだけで「会社によくある共通ライブラリ」に留まっていました。

「Fensiプラットフォーム」の大きな特徴は、新規サービス立ち上げ時に必要な機能をノーコードで提供できる点です。

氏名

江尻

例えば、タレントの公式サイト開設に際して、エンジニアやデザイナーの工数を割り当てると、一定の期間やリソースが必要になります。

新規でサービスを作る場合、コア部分には各APIを使うとしても、やはりサービスごとに作り込む必要はあります。

しかし「Fensiプラットフォーム」を導入した事で、今ではタレントの公式サイト制作を受注したチームがノーコードでサイト制作をする事ができています。プリセットに多少手を加える程度であればフロントエンジニアなしでもサイトを作れますし、タレントもクオリティに満足して頂けるケースが増えています。

InstagramやTwitter等のSNSを開設しているタレントは多いものの、SNSでは直接的な収益化は難しかったりもします。「グッズ販売をしたい、会費制の公式ファンクラブを作りたい」といった声は多く、ご自身の公式サイトを開設したいという需要は増加しています。

「Fensi」で制作した公式サイトを、各種SNSアカウントのハブとして位置付けるケースも増えているので「Fensi」で表現できることを機能追加しています。

2021年1月には1on1のビデオミーティング機能を追加しましたし、EC機能やオンラインサロンの機能も後から追加した機能です。

氏名

岡田

それともう一つ、「Fensiプラットフォーム」が解決した課題があって、それは「エンジニアの技術力や競争力向上」です。

サービスの運用期間が長くなれば、エンジニアはシステムのメンテナンスに工数をさかれます。中には、売上は出ているけれども、技術的にレガシーになり、技術的負債が膨らんでいるケースも多々ありました。

古いシステムの運用はエンジニアのモチベーションや成長機会を阻害しますし、社内外から技術者を採用する際もCAMの魅力を伝えるのは難しい。やはり、CAMのフラッグシップとなるサービスを目指すからには、アーキテクチャも最新で保守性があり、攻めたものである必要がありました。

エンジニアの技術力や競争力の向上という点でも「Fensiプラットフォーム」の開発は大きな意義がありました。

コロナ禍におけるエンタメ業界への貢献

― 新型コロナウイルスの発生から1年が経過しました。エンタメ業界と関わりが深いサービスを展開するCAMにとっても、その影響は大きかったと思います。
 

氏名

江尻

コロナ禍は「Fensi」のユーザー層であるエンタメ業界や芸能関係を直撃しました。

今も大変な事態であるのは変わりませんが、とりわけ発生直後は何ら代替手段もないまま、タレントがライブやイベントで収入を得る手段が断たれてしまいました。

「Fensi」のユーザーには大手の事務所所属ではなく、小規模で活動している方々や個人で活動している人もたくさんいます。そういった人たちを応援するために、プラットフォーム利用料や決済手数料を無料にしますというキャンペーンを実施しました。

氏名

江尻

この施策は業界から好意的に受け入れられ、ユーザー数も大きく増えました。中でも「オンラインを活用して生活の糧を得ることができた」という声が多く寄せられたのは印象的でした。

エンタメ業界のDX化を通じて多少なりともエンタメ業界をサポートできたのであれば、エンジニアとして嬉しいです。

氏名

岡田

1on1のビデオ通話機能も、もともとはコロナ渦の影響から搭載されることになった機能なんです。AWSのChimeという機能を使って実現しています。

―「Fensi」の今後の展望を教えてください。
 
氏名

江尻

これまで話してきた通り「Fensi」には公式サイト作成をサポートするBtoCサービスと、「Fensi」以外のサービスのシステム刷新に活用するプラットフォームという2つの軸があります。

後者の社内のシステムリプレース的なものに関しては、システムが古くなったサービスをゼロからリファクターするのではなく、フロント面を作り直しつつ裏のシステム部分を「Fensi」に移管していくことを考えています。

例えば、CAMにはインターネット占い事業というサービスがありますが、そのいくつかは既に移管を完了しています。公式サイト・ファンクラブ作成サービスというスタートから考えるとかなり幅広い分野を扱うことになりますが「Fensi」に乗り入れているものであればどんなサービスの形態であろうと使えるというのが理想形です。

その一例として「Fensi」を活用したオンラインで参拝や法要を実施できるサービスも2021年3月にスタートしました。

エンジニアのチャレンジを全力で後押ししてくれる企業カルチャー

― CAMで働いていて、どういう点が面白いと思いますか?
 

氏名

江尻

私はCAMに入る前は外回りの営業などをやっていて、実はエンジニアを名乗れる職務内容になったのは2012年にCAMに入社してからなんです。しかもCAMに入った時点でジョブチェンジをしているのに、そこからも色々チャレンジさせてもらっています。

PHPのバックエンドエンジニアとして入社し、ネイティブアプリをやり、ネイティブの部署を作りたいと言ってマネージャーをやり、今はWebフロントをやっています。

恐らくCAMの中で最も多くジョブチェンジとチャレンジをさせてもらっていると思います。組織としてそれを受け入れてくれる体制や風土がすごく好きで、楽しく働かせてもらっています。

氏名

岡田

私は江尻とは逆で、新卒から十何年間ずっとバックエンドエンジニアをやってきました。だから正直に言えばなんでも作れるだろうと自負していたのですが、そこで作れないものを言ってくるのがCTOの船ヶ山なんです。想像の斜め上のものを言ってくる。それが面白いと思っています。

氏名

江尻

Viron(ヴァイロン)GitHub)がまさにそうですね。

氏名

岡田

そう。「Viron」は「綺麗で使いやすい管理画面が簡単に作れる」ツールです。管理画面は見た目を作るのが実は結構大変なんです。にもかかわらずプロジェクトの工数からは漏らされがちで、一切考慮されないことも多い。

その結果とりあえず最低限の機能を実装した管理画面が作られ、運用フェーズに入っても「イケてない」管理画面を使い続けることになってしまいます。

「Viron」はその問題を解決するために開発されました。見た目の部分をオープンソースで公開し、一定のルールに則ってAPIサーバを用意するだけで使いやすい管理画面を作ることができるのが特徴です。

―若手にとって「Fensi」に関わるメリットは?
 
氏名

江尻

「Fensi」は技術的に最新な状態をキープするような環境になっています。加えてマイクロサービス化されているので、新しく付け加える機能が同じプログラミング言語である必要がなく、技術的制約もありません。リリースから2年弱でバックエンドもフロントも既に2世代から3世代ぐらい進化してガラッと変わっているところもあります。

氏名

岡田

ある機能の開発を丸ごと任せることもできますし、仮にそこで問題が発生しても「Fensi」全体には影響が出ないようになっています。

失敗を恐れず若手に大きく任せられる環境は与えられていると思いますし、実際に占いサービスのロジックの部分を若手だけで作ったりもしています。

氏名

江尻

CAMの事業はBtoCもあればBtoBtoCもあり、事業ごとの振り幅がとても大きい。その中で毎年いくつかの新規プロジェクトを立ち上げたりしているので、その振り幅やチャレンジを楽しめるような人にはやりがいがある職場です。

また先日別のインタビューで説明したようにCAMでは「Creative Division」という組織を作り、エンジニアとデザイナーが垣根なく1つの組織で一緒に開発に携わるような体制を取っています。こういった体制に面白さを感じる人にもいい環境だと思います。

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