「ルールに縛られない新たなスタンダードを創る」
これからの広告クリエイティブに求められるものは?

先日、サイバーエージェントが開催した広告クリエイター向け採用イベントにて、インターネット広告事業本部でクリエイティブディレクターを務める中橋と、3DCG関連のコンテンツ・広告クリエイティブの企画制作を手掛けるCyberHuman Productions 取締役の芦田が登壇。
「憧れを否定する、サイバーエージェントの広告クリエイターの姿」をテーマに、これまでの広告やクリエイティブの歴史を踏まえた上で、広告の未来や、サイバーエージェントが挑戦しているクリエイティブの領域についてディスカッションしました。
Profile
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CyberAgent Creative Director
CYPAR Chief Marketing Officer
中橋 敦
2008年サイバーエージェント⼊社後、営業を経てクリエイティブ・プランナーへ転籍。
2018年より現職。デジタルとフィジカルの融合をテーマとした企画、クリエイティブ開発を得意とする。ブレーン「いま⼀緒に仕事をしたいU35クリエーター」の⼀⼈に選出。2016年からデジタルハリウッド⼤学・⼤学院⾮常勤講師 -
CyberHuman Productions 取締役
芦⽥ 直毅
2013年サイバーエージェント⼊社。インターネット広告事業本部でプランナーを経て、2017年6⽉、3DCGを活⽤した動画広告クリエイティブ制作に特化した株式会社CGチェンジャーを代表取締役として設⽴。2019年8⽉より株式会社CyberHuman Productionsの取締役に就任。 現在は、インターネット時代の広告クリエイティブの「新しい作り⽅を創る」べく、3DCGクリエイター×デジタルコンテンツの最⾼のチームづくりに邁進。 -
株式会社サイバーエージェント 新卒採用人事 マネージャー
寺脇 英雄
2013年入社。インターネット広告事業本部へ配属。2014年にマネージャーへ昇格。2016年株式会社CyberBullへ出向。大手ナショナルクライアント・スマートフォンアプリ事業者の営業担当に従事。2019年10月よりサイバーエージェント新卒採用戦略本部へ異動。
これまでの広告、これからの広告

中橋
1945年以降のメディア・クリエイティブの変遷を簡単にまとめてみました。電波系メディアが主流になったのが1964年。ここからTVCMが長く広告業界を牽引していきます。


中橋
1990年になるとバブル時代が終わった頃でインターネットも普及し始めますが、まだまだマスメディア全盛期、花形ですね。2004年頃からソーシャルメディアが出始め、バナー広告というものができ、インターネットがどんどん頭角を表してきます。そして広告費でネットがテレビを抜いたのが2019年(※1)です。
ここで何が言いたかったかと言うと、時代に応じて人が最も触れているメディアが変わってきているということ。それに応じてできる表現や、コミュニケーションのつくりかた、クリエイターの役割が変わってきています。


寺脇
メディアが増えたことによってできることも広がっていったし、それと掛け合わせて何ができるかもイメージしていく必要が出てきたということですね。

中橋
J-POPを例に出します。クラスの全員が知っている曲っていうのは、何百万枚もCDが売れていた状況だと思うのですが、その現象があった時代というのは1990~2000年の10年にほぼ集約されているんですよね。
文化、カルチャーも含めてですけど、広告を出して、音楽番組に出て「みんなが知ってるあの曲」という現象をつくることができたのはその10年だけです。それが21世紀に入ると、“クラスのみんなが知ってるあの曲”というのはほぼ発生していないはず。
これは1つの現象で、趣味が多様化していたり、いろいろあると思うんですけど、この背景にはマスメディアの圧倒的な影響力やライフスタイルも影響していたと思います。

寺脇
なるほど。テレビ自体もメディアとして強かったし、“全員”に届ける・知ってもらう・使ってもらうというのが正義で、それを正しく使えていた時代ということですね。
その上で、「サイバーエージェントの広告クリエイティブって何ができるの?」という疑問を持たれる方も多いと思います。ここから当社の事例を紹介します。
進化するサイバーエージェントの広告クリエイティブ

寺脇
サイバーエージェントの広告クリエイティブ組織はどのような体制なのでしょうか?

芦田
様々なクリエイティブ専門チームがあるので、こちらのスライドにまとめました。


芦田
私はグループ会社でCG関連のクリエイティブを扱うCyberHuman Productions(画像の青色箇所)、中橋はサイバーエージェント広告事業におけるブランドクリエイティブ部門(画像の黄色箇所)と、グループ会社のCYPARにも所属し、それぞれ責任者として案件に取組んでいます。


寺脇
サイバーエージェント本体とグループ会社はどのように関わっていくんですか?

中橋
うちの特徴でもあるのですが役割を明確に線引きをしていません。最初から最後まで一緒に考えてつくる感じです。
広告を制作するプランニング~制作という過程で私はどちらかというと企画がメイン。一方、芦田がいる部門はCGを武器にしているので、CGを活用した面白い仕掛けをどのように制作するかがメインです。どこに比重をかけているかという違いですね。

寺脇
具体的な広告クリエイティブ制作の事例を教えていただけますか?

芦田
例えばこちらは今年の6~7月に実施したフル3DCGのバーチャル空間で行なったファッションショーの事例です。
新型コロナウイルスによって、エンタメ産業ではオフラインでのイベントやコンサートというものができなくなってしまいました。それをなんとかしてバーチャルで実現したいという想いから行った取組みです。


寺脇
ファッションショーとライブをバーチャル空間で実現したのですね。ランウェイはグリーンバック(真ん中)で撮影し、その完成形が一番左の画像ということですね。
バーチャルなスタジオをつくるのも芦田さんチームなんですか?

芦田
そうです。ステージの制作やライトなども含めた演出をCGでつくりました。(※2)
あと、世界でも最高峰レベルのクオリティを持つフォトグラメトリースキャンのスタジオを持っていて、短時間でスキャン・3DCG化し、「CG HUMAN」をつくることができます(※3)


中橋
CGやバーチャル撮影以外にも当社は様々なクリエイティブ手法に挑戦をしているんですが、最近は目に触れるものがどんどん動画化しているのもあり、広告や企業ブランディングに使われる動画制作は非常に力を入れています。
私が今回事例として紹介するのは企画・制作を担当した本田技研工業株式会社の創立70周年を記念したブランドムービー、「Honda “ORIGAMI”」です。
すべてを折り紙で制作し、1つ1つ手で動かしながら撮影したコマ撮り映像でCGを一切使わず、背景も含めてすべて折り紙で表現することに挑戦しました。


寺脇
案件に応じて、あらゆる手法の中から最も最適な手法を提供していて、その提供できるクリエイティブがたくさんあるというのがサイバーエージェントの強みなんですね。
憧れを否定しルールをつくる

寺脇
過去にどのようなことをやってきたのかという事例をお話いただきましたが、今後広告クリエイティブがどうなっていくのかという、未来の話をお話いただけますか?

中橋
あらゆるところに“ルール”ってあるじゃないですか。
例えばTVCMだと、尺が決まっていて、その中でいかに正しく面白く伝えるかというのを、半世紀以上も磨いてきました。
で、サイバーエージェントに求められている今後の広告クリエイティブというのは、まさにその新しいルールをつくっていくことを求められています。


中橋
TVCMだけがソリューションじゃない、様々な新しい手法や表現方法、新たな体験などがどんどん出てくるなか、「最も一番効果の出るものは何か」という視点でつくっていかなければいけないので、これまでのルールを疑い、ルールを壊しにいく必要がある。
そういう視点でクリエイティブに向かうというスタンスが大切だと思いますね。

芦田
そうですね。私はAI、CGに関わっていますが、“つくり方をつくれる”と新しい表現が生まれるんだろうな、と思います。

寺脇
“つくり方をつくる”んですね。

芦田
テレビ番組の「進め!電波少年」を例にすると、当時ハンディビデオカメラが出たばかりのタイミングだったそうです。
それまでロケというのはたくさんのテレビ部隊をつれていかないとできなかった撮影から、ハンディカメラ一台とスタッフと演者の方さえいれば撮影できてしまうという技術革新から生まれた番組だったそうで。結果ものすごい反響を生みましたよね。
そういった技術革新などによってつくりかたが変わると、今までみたことのないようなコンテンツがつくれるはずなので、どんどん挑戦していきたいです。

寺脇
ルールに縛られない広告づくりや課題解決というワードが出てきましたが、もはや“広告にも囚われない”というのが理想かもしれないですね。
ところで今回のタイトルにもなっている「憧れを否定する」というのはどういう意味なのでしょうか?

サイバーエージェントの広告クリエイターの姿

中橋
まず誤解しないでいただきたいのは喧嘩を売っているわけではないということです(笑)。
これは「憧れたら負け」ということです。“憧れ”というのはある種、過去を追いかけるような行為にもなってしまいます。それってフィニッシュラインが決まってしまうことなんですよね。その瞬間にダメだなと。
ではなくて、まず“憧れを否定する”。
過去をリスペクトしつつも、全く新しいところからつくりにいくんだと。そこはもう憧れる対象がないんですよ。なぜなら先例がないので。
自分たちに言い聞かせるという意味も持たせてこのタイトルを設定させてもらいました。

寺脇
これまでの正解はもちろんリスペクトは持ちつつ、憧れてる場合じゃない。もっと新しいものをつくっていかなければならないという覚悟を込めたコピーということですね。

芦田
ルールがない分、自分がフォーカスする場所、ここでは“プレイグラウンド(遊び場)”と表現していますが、それを自分で選べる時代になっています。
ただ、そのためには自分の意志が必要になってきます。「こういうことを実現したい」という意志がないと変化や尋常ではないアウトプットを生み出しにくいですよね。そういった想いや意志がある人に是非興味を持ってもらいたいですね。

中橋
これができるタイミングってまあそんなにないですよ。ラッキーな時代といっても過言ではないと思います。
いわゆるルールが定まっていて、ルール通りにやると効果の出る時代とは違う。プレイグラウンドを自ら選び、新たなクリエイティブに挑戦していくというのはチャンス以外なにものでもないです。
サイバーエージェントはそのプレイグラウンドの幅が広い。
よく言えば幅広く、悪く言えば自分で見つけてね、ということでもありますが(笑)
こんなラッキーなタイミングなので新しい表現にトライしていってもらいたいですね。
※2:撮影はバーチャルで実施可能 リアルタイムCG合成撮影システムを新たに導入し、次世代CG制作ソリューション「バーチャルプロダクション」パッケージの提供を開始
※3:3DCGで「CG HUMAN」を制作、AI×CGによる多種多量な広告クリエイティブ制作と広告運用に強みをもつ「株式会社CyberHuman Productions」 が始動
最先端の出張型3DCGスキャンカー「THE AVATAR TRUCK」で「CG HUMAN」を効率的に制作。撮影の地理的・時間的制約を解消し、どこでも高精細なフェイシャルスキャンが可能に。
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