CTOが語る「New Normal~コロナ禍を機におきた変化と未来のわたし達~」presentation by BIT VALLEY 2020

技術・デザイン

2018年からスタートした、サイバーエージェント、DeNA、GMOインターネット、ミクシィの4社が共催するテックカンファレンス「BIT VALLEY 2020」。3回目の開催となる今年は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて、全オンライン開催することが決定しています。9月19日(水)~12日(土)の本番を前に、先日共催4社のCTOがトークセッションを行い、「New Normal コロナ禍を機に起きた変化と未来とわたし達」をテーマに語りました。
 
※本記事は、7月22日に行われたトークセッションの内容を編集したものです。

Profile

  • 株式会社サイバーエージェント 取締役(技術管轄) 長瀬 慶重
    通信業界での研究開発を経て、2005年サイバーエージェントに入社。アメーバブログやコミュニティサービスなどの開発を経て、現在はビデオ&エンターテインメント「ABEMA」の開発本部長を務める。2018年に取締役に就任し、エンジニアの採用や評価制度に加え、技術者の環境づくりにも注力している。

  • 株式会社ディー・エヌ・エー 常務執行役員 兼 CTO  小林 篤氏(@nekokak
    法学部法律学科からエンジニアへ転身し、2011年にDeNAに入社。Mobageおよび協業プラットフォームの大規模システム開発、オートモーティブ事業本部の開発責任者を歴任。2018年より執行役員としてDeNAのエンジニアリングの統括を務め、2019年より常務執行役員 CTOとしてより経営レベルでの意思決定にかかわることと、技術・モノづくりの強化を担う。

  • 株式会社ミクシィ 取締役CTO 村瀬 龍馬氏
    2005年に株式会社イー・マーキュリー(現:株式会社ミクシィ)に入社。SNS『mixi』の開発に携わる。2009年に1度退職したが、2013年に復帰し、主に『モンスターストライク』の開発業務に従事。XFLAGのエンジニア全体を統括した後、2018年4月、執行役員CTO就任。2019年6月、取締役執行役員CTO就任。2020年4月より、取締役CTO(現任)

  • GMOあおぞらネット銀行株式会社 CTO 矢上 聡洋氏
    日本アイ・ビー・エム(株)入社後、カード・信販系のお客様担当エンジニア、SE、アーキテクトとして従事。その後、金融系チーフアーキテクト部門責任者として、金融全般のお客様におけるエンタープライズアーキテクチャ、インフラアーキテクチャ設計を推進。2019年7月よりGMOあおぞらネット銀行にて現職、「sunabar-GMOあおぞらネット銀行API実験場」開発をリード。

  • GMOペパボ株式会社 取締役CTO ペパボ研究所長 栗林 健太郎氏
    東京都立大学法学部政治学科卒業後、市役所勤務を経て、2008年よりソフトウェアエンジニアに。2012年よりGMOペパボ株式会社に勤務。2017年3月に取締役CTOに就任、テックカンパニー化を進めるかたわらで、2018年にはGMOペパボガーディアンを設立し、セキュリティ事業の立ち上げに取り組んでいる。

リモートワークは生産性が上がる?下がる?

(GMOペパボ栗林氏)
今日は「New Normal~コロナ禍を機に起きた変化と未来のわたし達~」というテーマで、withコロナ、またこの後IT業界がどう発展するのか、エンジニアのキャリアや働き方はどう変化するのか、このセッションを通じて各CTOの方から意見を伺いたいと思います。まず、今年はコロナウイルス感染症拡大の影響を受けて、働き方や社会も大きく変化していますが、皆さんの会社はどう変化していますか?
 
(DeNA小林氏)
DeNAでは2月から段階的にリモートワークを開始し、3月以降はその流れをより加速し、渋谷本社の出社率は現在まで10%以下で推移しています。現時点で生産性が落ちるようなことはなく、事業としては順調だと思っています。

(サイバーエージェント長瀬)
サイバーエージェントも4月以降は原則リモートワークでしたが、政府が緊急事態宣言を解除したタイミングで再度オフィスに出社することができる体制に移りました。現在は週に2回をリモデイとしてオフィスワークも取り入れながら、状況を見つつ定期的に判断を下しています。
(※感染者数が増加していることをうけて、7月27日週から再びリモート勤務を原則としています。)
 
(ミクシィ村瀬氏)
ミクシィも4月から、原則リモートとしていました。現在は週2日を出社日、それ以外をリモートというかたちで運用しています。今は状況に応じて、いかに柔軟に対応できるかが課題だと思っています。
(※感染者数の増加を受けて、8月は週4日のリモートワークを推奨しています。)
 
(GMOあおぞら銀行矢上氏)
GMOインターネットグループは1月27日から全社的にリモートワークを開始し、他社と比べて非常に早いタイミングで切り替わりが行われました。当初は「銀行がリモートワーク?」という空気もありましたが、徐々にリモートの体制を築くことができました。緊急事態宣言発令時は、一部のやむを得ない職種を除き、基本的に全てリモートの体制へ移行し、今も週2~3日のリモートワークを継続しています。
 
(GMOペパボ栗林氏)
皆さん、かなりリモートが進んでいるようですが、生産性の観点ではいかがですか?
 
(サイバーエージェント長瀬)
サイバーエージェントでは月に1度社内でアンケートを取っているのですが「生産性が上がった」という回答が多いです。Zoom会議の利便性、移動コストの削減、通勤ストレスの軽減などの理由から、生産性が向上しているという声が多くあがりました。
 
(GMOペパボ栗林氏)
ほかの3社はいかがですか?あまり変わらない?
 
(3社ともにうなずく)
 
(ミクシィ村瀬氏)
肌感覚では、大きく生産性が下がったことはないと思います。成果については今後あらわれてくるものなので、見極めていくのはこれからというフェーズかと思います。

コロナ禍における、ITのトレンド変化とは?

(GMOペパボ栗林氏)
この4社に限らず、働き方に関しては確実に大きな変化を余儀なくされましたが、ITトレンドに関してはいかがでしょう。技術や事業、世間の需要など、変わったと感じるところはありますか?

(DeNA小林氏)
DeNAは球団を保有していますが、ファンの皆さんの楽しみ方に変化があったように感じます。これまでは「球場に来て観戦や場の雰囲気を楽しむ」ことが一般的でしたが、それが叶わなくなったいま、オンラインでの楽しみ方は日を追うごとに多様化していると感じます。特に選手とファンの双方向のコミュニケーションという部分では、配信をうまく活用することでインタラクティブなやり取りが実現できるようになってきました。他には5GやVRを使って取り組みも、コロナ以前から検討していましたが、時代が急速に変化することで、その動きも一気に加速した感覚があります。
 
(GMOペパボ栗林氏)
コロナ禍がきっかけで、この先実現させようと言っていたことが、数年早回しになった、という話は結構聞きますよね。このあたり銀行さんはいかがですか?
 
(GMOあおぞら銀行矢上氏)
1番は、はんこレスでしょうか・・・(笑)
 
(一同)
(笑)
 
(GMOあおぞら銀行矢上氏)
GMOはこの4月に、グループ全体でハンコレスを宣言し、技術革新が加速したことは肌で感じています。もう一つは、銀行のオープンAPIについて。弊社では銀行APIを公開して各企業のサービスに組み込んでいただいていますが、物理的に動いて資金移動させることが困難になってきていることもあり、そうしたお問い合わせが増えています。。コロナを契機としてオープン化の流れは一気に加速したと感じていますね。
 
(サイバーエージェント長瀬)
サイバーエージェントでも、コロナ禍をきっかけに生まれた事業や社内プロジェクトがいくつか存在します。弊社では新規事業の創出や既存事業の見直しを行うための経営会議「あした会議」という取り組みがあり、役員がチームを作りアイデアを出し、社長の藤田がその場で決議していくのですが、4月に「オンラインあした会議」が開催されました。27案のうち16案が決議され、数週間後には、エンターテインメント産業における収益化のデジタルシフト支援を専門に行う新子会社株式会社OENや、薬局・ドラッグストアのデジタルトランスフォーメーション(DX)推進を専門に行う新子会社として、株式会社MG-DXが設立されました。頭を悩ませながらも、変化に立ち向かえる、スピード感ある環境が生み出せていることは大きな変化だったと思います。
 
(ミクシィ村瀬氏)
ミクシィの場合、友人や家族と楽しめるゲームやエンターテインメントを提供している「コミュニケーション」の会社なので、これを機に「コミュニケーションの在り方」を再定義しなければならないと感じています。改めて、今まで後回しにしてきたことや、新しいことに挑戦しなければいけないなと。コロナ禍による変化はスマホシフトと同じくらいIT業界に大きなインパクトを与えていると思います。

リモート時代、キャリア形成はどう変化するのか

(GMOペパボ栗林氏)
コロナをきっかけに働き方も大きく変化しました。特に今年の4月に社会人になった世代は「リモートネイティブ」とも呼ばれていますが、コロナ以前とコロナ後だと、キャリア形成はどう変化するのでしょうか?
 
(サイバーエージェント長瀬)
よく耳にするのは「ジョブ型雇用」で、成果を可視化して評価制度を変えていく企業が増えていく流れですよね。だからこそ働く人には、セルフマネジメントができて、期日通りに成果を出すことが当たり前に求められる時代になっていくと感じています。
 
そんな時代において、個人のタグ付けの重要性が高まっていくだろうと考えています。自分に何ができて、どの分野に対して求められた成果が出せるのか、明確に把握している必要があると思います。またリモートが中心になってくると、オンラインで自分をプレゼンテーションする機会が増えるので、結果的には、副業も含めて成長する機会やキャリアを描きやすくなる時代だと思っています。

(ミクシィ村瀬氏)
今年の「BIT VALLEY」もそうですが、世界各地で開催されるテックカンファレンスもどんどんオンライン化されており、インプット量を増やすチャンスでもあると思っています。うまく情報収集できればさらに強いスペシャリストになれるでしょう。
 
そして、スペシャリストになればなるほど、東京に暮らさなくても仕事を得るチャンスが増えるだろうとも。それぞれが、どんなキャリアを描きたいかを考えながら動かなければいけないのですが、現在、海外に行きたい人はそれが叶わない状況なので、戦術を変えなくてはいけないですよね。
 
(DeNA小林氏)
働き方の多様性はより広がると思います。通勤時間が減ることで自由に使える時間は増えます。さらに働く場所も問わないのであれば、副業もやりやすくなる。増えた可処分時間を自分に投資するのか、仕事に繋げるのか、プライベートに使うのか、時間の裁量の自由度が高い時代に変化したと感じています。
 
(GMOペパボ栗林氏)
時間や自由度が増えた分、それをどう活かすかは本人次第なのでしょうね。一方、成果についてマネジメント視点では、見えづらくなった部分もあるかと思いますが、いかがでしょう?
 
(サイバーエージェント長瀬)
「目標設定」の重要性をこれまで以上に実感しています。これはエンジニア、デザイナー、ビジネス関係なく、どういう成果を出すべきかをきちんと擦り合わせることはもちろん、設定された目標は正しいのか?注視しています。目標設定については、オンライン研修を行うなど、手厚くフォローしているところです。
 
(ミクシィ村瀬氏)
何を成果とするか、どう評価するのか、という点を見つめ直す機会になりましたよね。あとは喫煙所にいる時間とか、余計なものが見えなくなったおかげで、その人がちゃんと成果を出しているかどうかだけが見えている。それがマネジメント観点でいうと、純粋に測りやすくなったと感じています。
 
(GMOペパボ栗林氏)
なるほど、そういった良い面もありますよね。一方「フルリモートになってマネージャーはより大変になったのではないか?」という意見もありますが、いかがでしょう。
 
(DeNA小林氏)
メンバーの顔が見られないので、ちょっと悩んでそう、大変そうとか、雰囲気を察して声をかけるということはできなくなりました。だからこそ今まで以上に1on1を丁寧にやるなど、マネージャーの負荷は一定かかっていますよね。

エンジニアが挑戦できる環境

(GMOペパボ栗林氏)
最後に、「エンジニアが挑戦できる環境」というテーマで、これからエンジニアがチャレンジしていく上で大事なことを皆さんにそれぞれ一言ずついただきたいと思います。

(GMOあおぞら銀行矢上氏)
これはコロナの有無はあまり関係ありませんが、「前例のないことにチャレンジしていく」ことが重要だと思っています。0から1を生み出すような環境。前例のあることは、ほとんど機械学習などが代行できる時代で、人間が出来るのは前例がないものを作っていくことではないでしょうか。エンジニアに限らずビジネスに関わる人全員に求められることかもしれません。
 
(サイバーエージェント長瀬)
コロナ禍の影響で、より個人がフォーカスされる時代になりつつありますが、会社としては「チーム・サイバーエージェント」として組織の力を高めていきたいと考えています。具体的には、エンジニアのピープルマネジメントの分散を積極的に行っていまして、1000人以上のエンジニアがいるうち、200人ほどをマネジメントが出来る人材に育成するための環境を整えています。個人が活躍する時代の中で、組織に所属するエンジニアがしっかりと恩恵を受けられるような環境を作っていきたいと考えています。
 
(ミクシィ村瀬氏)
どの業界も試行錯誤中ですが、端的に言うと行動した人が強いのではないでしょうか。だからこそ、1人ではできないことを周りを巻き込んでチームで挑戦することで、この時代に即したマネジメント力やコミュニケーションスキルが身に付くのでは、と思います。
 
一方で個人の話になると、セルフコンパッションも大切にして欲しいと思っています。働く場所や時間を選べるということは、逆に言うと自分で選択する責任があるということ。その分の負担を自覚したうえで、休みと仕事、自分に向き合う時間のバランスをしっかり取れれば、エンジニアとしても人としても将来幸せになれるんじゃないかなと思います。
 
(DeNA小林氏)
自身の経験を振り返って見ると、リモートワークとオープンソースの取り組みって非常によく似ているなと。どちらも、目の前にいない人とやり取りをしながらプロジェクトを進めている。なので個人的には、エンジニアにはよりオープンソースのプロジェクトに関わってIT業界を盛り上げて欲しいと願っています。
 
また『Work from home』という言葉がありますが、私は『Work from anywhere』だと思っていて、どこにいても何にでもチャレンジしやすい時代なので、この可能性を最大限活かしてほしいと願っています。
 
(GMOペパボ栗林氏)
皆さん、ありがとうございました。「New Normal~コロナ禍を機におきた変化と未来のわたし達~」 というタイトルでお話しましたが、今日の話が、みなさんの今後のキャリアを考える上で何かしらヒントになれば幸いです。ご視聴ありがとうございました。

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