内定者が人事トップを逆面接してみた。

就職活動において、避けては通れない道。
面接。
面接とは、
直接人に会うこと。特に、入社試験・入学試験などで、直接会って人柄などを知ること。
(大辞林第三版より)
基本的に、面接は「面接官が質問し、学生が答える」という一方的なもの。面接官の質問の意図がわからず、ただ答えるのに精一杯な学生も少なくない。
しかし、学生としては逆に人事に対して質問したいことが山ほどある。
そこでFLATALK編集室は、「就活生が感じてきた疑問・不安を直接人事のトップに聞くのが手取り早いのでは!?」と考え、本企画へ着手するに至った。
この記事は、内定者の3人が面接官となり、人事トップに対し臆することなく質問をぶつけ、面接の真理を探究していくヒューマンドキュメンタリーである。
・なぜ〇〇のような質問をするのですか?
・第一印象で決まるって本当ですか?
・何が合否を分けるのですか?
このような疑問を解消していきたいと思う!
(取材・文:19内定者)
目次
面接官紹介

黒瀬 元紀
株式会社サイバーエージェントの内定者。2019年入社予定。北海道大学法学部4年。岡山県倉敷市出身。面接官になることを試み、前髪をあげスーツを着てみたが、結局就活生感をぬぐえず。革靴で雪道をまともに歩けた試しが一度もない。

三浦 拳利
同じく内定者。2019年入社予定。立命館アジア太平洋大学4年。徳島県出身。生粋の田舎少年。いつもかぼすポン酢を持ち歩いており、「これ、鍋にめっちゃ合う」と宣伝している。

近藤 百合菜
同じく内定者。2019年入社予定。同志社大学商学部4年。愛知県出身。ミュージカル・美食・日本文化が大好き。服装指定がない選考会には基本私服で乗り込んでいた強者。自分以外全員スーツだったことも。
取材対象者

曽山 哲人
株式会社サイバーエージェント取締役人事統括。1999年当社入社。良いと思ったことには迷わず「いいね!」と言いグッドポーズ。
コンコンッ(ドアをノックする音)

黒瀬
どうぞお入りください。


曽山
失礼いたします。

黒瀬
どうぞ。
まず初めに簡単な自己紹介をよろしくお願いします。

曽山
曽山哲人と申します!
株式会社サイバーエージェントで取締役をしております。また、人事統括として採用や社内制度整備などに携わっております。本日はよろしくお願いいたします!

人事本部長が面接中に見ている“1つ”のこと

黒瀬
それではさっそく質問に移りたいと思います。
「第一印象で合否が決まる」とお聞きしたことがあるのですが、本当でしょうか?

曽山
結論から言うと、ないです。
むしろ、そうしないようにしています。ただ、第一印象を持つことは確かです。だからこそ、その第一印象について深堀することもありますし、一方で第一印象では見えない部分を話してもらえるように努力しています。
例えば学生が赤い靴を履いていたなら「(赤い靴履いているな。)その赤い靴いいですね!」と口に出すこともあります。そこから会話が続いて、お互いリラックスした状態で面接に移ることができるので。

三浦
面接のときは相手のどういうところを見ているのですか?

曽山
面接に対する姿勢ですね。
「背筋がぴしっと伸びているか」というわけではなく「どんな想いで面接に臨んでいるのか」を見ています。心配する人も多いのですが、口は達者じゃなくていいですよ。ゆっくりでも緊張していても、自然とその人の姿勢は伝わってくるので。

三浦
なるほど。
では曽山さんが面接で意識している“質問の軸”はありますか?

曽山
質問の軸は2つあります。
まず1つ目は「その人自身のこと」です。
当たり前ではありますが、その人を採用するか否かを決めるためには「その人の情報」を少しでも多く集める必要があります。人となりや能力、考え方などを知るために、過去・現在・未来の観点から質問をするようにしています。
2つ目は「サイバーエージェントに対する印象」ですね。
例えば、「会社にはどんなイメージを持っていますか?」「社員はどんな印象でしたか?」などです。
「その人自身のこと」が分かっても、結局大切なのは“どうサイバーエージェントと結びつくのか”ということなので。


三浦
たしかに。どれだけ優秀な人材だとしても、会社との結びつきがあまり見られないのでは採用することは難しそうですね・・・。
数多くの面接を経てたどり着いた、
ひとつの“境地”

黒瀬
そういえば実際に曽山さんに聞かれて「どきっ」とした質問があります。
「あなたにとって人生の“転機”はなんですか?」
この質問にはどういう意図があったのですか?

曽山
“転機”を聞くと、その人がどういう人間なのかの情報が多く手に入ります。
どんな時にどんなことを感じ、学ぶことができる人なのかが伝わってきます。“転機”という単語を使っているのにも理由があります。
単に「成長した瞬間」って聞くと、ポジティブな答えが返ってきますが、相手にとって話しやすいぶん、その人の人となりが伝わってきづらいんです。
「転機」と聞くと、ポジティブなことだけじゃなく挫折やネガティブな答えも返ってきます。そういう話しづらい内容にこそ、その人のリアリティが詰まっている時があります。

黒瀬
なるほど、その人のことがよりわかるようになる、と。

曽山
いや、結局のところ面接でその人のことはわからないですけどね。

黒瀬
(な、なんだって…!!?面接の存在を否定するような発言だ…!)
「面接でその人のことはわからない」ってどういうことですか!!


曽山
正確に言うと「面接だけでその人のことが全てわかるとはいえない」です。
たった1度の、しかも30分やそこらの会話だけでその人のことを全部理解しようというのは無理があります。何年も同じサークルにいても、よくわからない人がいるように。
人ってそんなに単純ではないですよね。

黒瀬
それは…そうかもしれませんけど…!
じゃあそれでも面接をする意味を教えてください!!

曽山
面接で質問をすることで、相手についての情報量を増やしているというのが大事な点です。
限られた時間の中では、その人の本当の姿まではなかなかわからない。
だから「この人はこういう人だ」と“決めさせてもらっている”のです。
相手の情報を引き出し、「一緒に仲間として働きたいか」の“経営判断”をする機会、それが面接だと思っています。

黒瀬
“決めさせてもらっている”・・・。
なるほど、たしかに。

面接は“極端な空間”

近藤
学生が面接までにしておいたほうがいい準備を教えてください!

曽山
社会人と話す機会をたくさん経験するのが一番オススメです!
社会人と話すことに慣れておらず、面接で緊張している学生をよく見ます。
緊張すること自体は悪くないですが、そのせいで自分のことを十分に伝えきれないと元も子もありません。
OB訪問でもいいし、大学の先輩でもいいです。話す機会の硬さ・柔らかさは問わないので、とにかくたくさんの社会人と話すことです。

近藤
面接のときってどうしても緊張してしまうんですよね…。

曽山
緊張してしまうのも無理はないです。面接というのは“極端な空間”ですからね。
社会人になったら1対1でじっくり話すことはなかなかない。
「面接官」と「就活生」の二人だけの空間。
学生は「好印象の就活生」を、面接官は「魅力的な社会人」を、お互い演じながら会話しています。この状況下だと就活生はなかなか“自然体”の自分を出すのは難しいです。
だからこそ社会人と話す経験をたくさんし、できるだけ“自然体”の自分で面接に臨めるようにした方がいいと思います。
サイバーの社員が学生と面談するときに話がそれたり雑談が多くなったりすると思うのですが、それは少しでも学生に緊張をゆるめてもらうためとも言えますね。

近藤
なるほど…。
自然体で臨んで落ちたのなら就活生の納得感も違うと思います。

就活生への切なる願い

黒瀬
それでは、最後に何か言いたいことはありますか?(急な面接官感)

曽山
就活生には、可能性を安売りしてほしくないです。
就活で会社や職種などの考えを決めすぎていると「もったいないな」とか「君の可能性はもっとあるのに」などと感じることがあります。
色々見たり聞いたりして絞り込むこと自体は全く問題ありません。それでも日本だけでも何百万という会社があって、業界や事業も多岐にわたっているのに、狭い視野で完結するのは非常にもったいない。自分自身、就職活動はいろんな業界を見るようにしましたが、振り返ってみればそれでももっと見ておいてもよかったなと感じるところがあります。自分の視野は広げられるだけ広げて欲しいと本当に思います。
あと、楽しそうな大人がいる環境を選ぶことをオススメします!
理由は単純で「自分も楽しい大人になれるチャンスがあるから」です。
社会に入ると挑戦する中で大変なことや苦労することもあります。
その中でも楽しそうに仕事と向き合っている人たちがいる環境で働くことで、自分も楽しさを見出せる可能性が高くなりますよ。


黒瀬
ありがとうございました!

曽山
こちらこそありがとうございました!

黒瀬
それでは、曽山さんの合否を発表したいと思います。
(※お忘れかもしれませんが、これは“逆面接”です)

曽山
ごくっ・・・。
・・・。
・・・・・・。


黒瀬
三浦
近藤
・・・内定です。

曽山
・・・ありがとうございます!

黒瀬
三浦
近藤
いえ、こちらこそいつもありがとうございます。

大切なのは、面接官の視点を持つこと
今回は“面接”に一点集中した記事となった。
人事統括の曽山さんのお話で印象的だったのは、
「面接の短い時間でわかるほど、人間は簡単じゃない」
「相手がどういう人か“わかろうとする”のではなく“決めさせてもらっている”」
というもの。この視点を就活生は持つべきだと感じた。
相手に自分のことをわかってもらおうとしゃべりすぎるのは、逆効果かもしれない。
「面接官にはこう感じて欲しい」という自分なりの“自分像”を持つこと。
そしてそれを過不足なく伝えるためにはどうしたらよいか考えることが大切だと思う。
もちろん、“自分像”は偽りのものではなく、しっかり自己理解を深めたうえで決めて欲しい。
就活をしていくうえで避けては通れない道。
“面接”
ここまで読んでくださった就活生にとって、この記事が面接について考えるきっかけとなること、そして一人でも多くの人が最高の結果を手に入れられることを願っている。

FLATALK編集室一同
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サイバーエージェントには「ABEMA」や「Ameba」など自社メディアから得たデータを活用し、大規模データ解析基盤「Patriot」の構築・運用や、自然言語処理、情報推薦、マルチメディア解析、データ分析などを担当する専門組織「秋葉原ラボ」が存在します。今回はこの「秋葉原ラボ」の設立者であり室長を務める福田一郎に本組織の取り組みや、これからのAI/ML人材に求められることを聞いてみました。
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