全社2000人の技術者が選んだ
「最優秀ベストルーキー」

技術・デザイン

~「OPENREC.tvと未踏IT人材発掘・育成事業」の並行開発にチャレンジした1年間~

Profile

高専プロコンで知った
「プログラミングで世の中の課題を解決」

―― 在学中から様々なプログラミングコンテストに出場していますね。エンジニアになろうと思ったきっかけを教えて下さい。
 

高専3年生の時に「高専プログラミングコンテスト」(以下、高専プロコン)に参加したのをきっかけに、プログラミングに没頭していきました。

高専プロコンには計2回参加し、2014年の一関大会で、光るマンホールが災害時に避難経路を指示してくれる「Man-Hold ―町を守る近未来マンホール―」を開発。2016年の鳥羽大会で、気軽にダンスを練習できるARスマートミラー「舞鏡」というプロダクトを開発しました。

実際にプロダクトを開発したことで「世の中の課題がプログラミングで解決できる」事に面白さを感じ、プロダクト開発にのめりこむようになりました。

高専卒業後は、大学院進学を見据えて筑波大学の3年次に編入しました。しかし、大学でもプロダクト開発やプロコンへの参加を続けるうちに、研究よりプロダクトを開発するほうが自分には向いている気がして、大学院進学ではなく就職を選びました。

ところが、いざ就職活動を始めてみると、想像以上に苦戦しました。
 

―― 苦戦とは?
 

何社受けても内定がとれなかったんです。企業から面接のフィードバックを受ける機会がありましたが「君は将来何がしたくて、今何ができるのかわかりづらい」と言われることが何度かありました。

確かに、特定の技術を掘り下げて習得するよりも、プロコンやプロダクト開発など技術的な好奇心を感じたものに幅広く手を出してきたので、経歴を見ても「強みがわかりづらい」学生に見えたのかもしれません。

サイバーエージェントを受けたのも、半ば記念受験みたいな気持ちでエントリーしました。インターンが活発なサイバーエージェントですが、私は採用シーズン後期の本選考にエントリーしました。

複数社の採用面接を受けるも不採用通知が続く中、サイバーエージェントから内定をもらえたことに驚きすぎて、なぜ受かったのかわからなかったくらいです。
 

―― サイバーエージェントの採用担当者からはどんなフィードバックを受けましたか?
 

面接があった当時は、Androidのための開発言語「Kotlin」に触れたばかりの時期で、自分にしっくりくる言語に出会えた嬉しさにテンションが上っていました。そのため、一次面接では「Kotlin」への愛をひたすら語っていたのを覚えています。採用担当の方もエンジニア出身で、技術的な話に興味をもってくれたのか、すぐにエンジニア社員の面談を設定してくれました。

後日、先輩社員から聞いたたのですが、2018年当時のサイバーエージェントは「技術的な変化対応力」を技術組織として進めていた時期だったそうです。私がやってきた「いろんな技術に幅広く触れる」という方向性がマッチしたのかもしれません。

内定承諾後は、アルバイトとして株式会社CyberZの「OPENREC.tv」でWebアプリケーションの開発業務に携わりました。

自分が作ったプロダクトで、
多くの人を熱狂させられる

――サイバーエージェントには様々なプロダクトやサービスがある中、なぜCyberZの「OPENREC.tv」で働くことに決めたのですか?
 

サイバーエージェントは、新卒の配属について適材適所を考慮しながら、最大限 配属希望を聞きいれてくれる企業カルチャーです。

CyberZへの配属希望は、内定者バイト時代に関わっていた「OPENREC.tv」のプロダクト開発を通して「技術カルチャーが自分に合っている」と思えたことが大きかったです。
 

――どういう部分が「合っている」と思ったのですか?
 

「OPENREC.tv」は月間アクティブユーザーが300万人を超える国内最大級のゲーム動画プラットフォームです。

内定者バイトでは、配信者が動画にエフェクトをつけられる「OPENRECキット」というツールの開発に携わりました。

ゲーム動画配信プラットフォームにとって、配信者向けのツールは非常に重要です。月間300万人が利用する「OPENREC.tv」のような大規模サービスで、内定者に重要なツールの開発を任せてくれることに、やりがいを感じました。

同時に配信者から「このツールのこういうところが使いやすい」「このエフェクトはもっとこういう風に使いたい」といった率直な反応が得られることも刺激になりました。

配信者が「OPENRECキット」を積極的に使ってくれて、そのエフェクトを見た視聴者の反応をコメントで見ることで「自分が作ったプロダクトが目の前で使われ、多くの人を熱狂させている」という実感を強く感じることができました。

高専の頃から「ユーザーの日常が楽しくなるようなものを作りたい」という思いを抱いていたので「OPENREC.tv」における、ユーザーの熱狂と一体化しながら開発するスタイルが自分に合っていると思いました。

入社1年目でAndroidのアーキテクチャ移行を主導

――開発スタイルが合っているとは?
 

私が入社した2019年は「OPENREC.tv」が、iOS, Android, Webと幅広くリニューアルしていく重要なフェーズでした。

OPENRECは生まれ変わります

このリニューアルでは、Androidチームのテックリードを任されました。

「OPENREC.tv」のAndroidアプリは2015年1月にリリースされ、5年間は大きく設計の変更等を行わずに運用されてきました。その一方、Androidの開発環境はこの5年間で大きく変化してきました。今後も継続的に開発を行うために、アーキテクチャの刷新を「OPENREC.tv」のリニューアルに合わせて行うことを提案しました。

具体的には、MVCからMVVMへの移行で、開発言語もJavaからKotlinに変更しました。また、段階的な移行を実現するため、Android Multi Moduleを活用し、旧設計への依存を減らす工夫も行っています。

マルチモジュールでandroidアプリを救う | Scramble Tech #0

「OPENREC.tv」は月間300万人が利用し、5年続いているサービスです。システム的な障害が発生すれば、ビジネスに即直結するため「新卒1年目にリアーキテクチャを任せるのは不安かも」という懸念は当然あったと思います。しかし「OPENRECキット」の開発に一緒に取り組んだ先輩が「森なら大丈夫です」と太鼓判を押してプッシュしてくれたこともあり、リアーキテクチャに踏み切ることになりました。

初回のリリースがあったのは2019年12月で、その日はとても緊張したのを覚えています。「OPENRECキット」の時はユーザーから反応がかえってくるのが嬉しかったのですが、今回はリアーキテクチャという重大さと、改めてユーザー数の多さを、プレッシャーとして実感しました。

サイバーエージェントでは「裁量と責任はセット」という言葉がありますが、こういうことなんだと思いました(笑)。

そんな時は同期に悩みを聞いてもらったりしました。細かい設計の相談や「ABEMAではどんな感じでやってるの?」と聞いてみたり。技術的にも参考になりましたし、気持ち的にもだいぶ楽になったので、同期には本当に感謝しています。

現在もリニューアルプロジェクトは進行中ですが、順調にJavaからKotlinへの移行も進んでいます。

このリアーキテクチャでは副次的な効果もありました。2月から新たにAndroidエンジニアの内定者バイトを受け入れることができました。新しい開発環境のもと、自分がトレーナーとして迎えることで「OPENREC.tv」を、更に内定者の育成に適した育成環境にできました。

仕事をしながら「未踏IT人材発掘・育成事業プロジェクト」を並行する生活

――入社してすぐに、IPA(独立行政法人情報処理推進機構) の2019年度「未踏 IT人材発掘・育成事業」に採択されていますね。(※)
 

未踏IT人材発掘・育成事業:2019年度採択プロジェクト概要(大峠・森PJ)

きっかけは、筑波大学で同じ研究室だった友人が「SNSに投稿する動画に、自動でテロップをかぶせるプロダクトを作ってみたいから一緒にやろう」と声をかけてくれたことです。技術的なおもしろさを感じ、好奇心が湧きました。

「未踏IT人材発掘・育成事業プロジェクト」はエンジニアやクリエイターのアイデアに対して、資金の支援とメンターからのフォローを得られるのが魅力的で、採択されたプロジェクトについて学生の間で話題になったりしました。何より25歳未満という年齢制限があるので、今しかできないチャレンジだと思い、友人の誘いを受けることにしました。

企画書を提出したのが入社直前の2019年3月。6月中旬には採択通知がきましたが、配属されて1ヶ月弱のタイミングです。1年間の長期プロジェクトになるわけですが、仕事の両立は・・・まぁなんとなるだろうと思っていました(笑)。

「OPENREC.tv」技術責任者の中村に「未踏IT人材発掘・育成事業プロジェクト」に採択されたことと、仕事と両立させながらプロジェクトを続けたいという相談をしました。在職中に「IT人材発掘・育成事業プロジェクト」に採択されるケースは多くはなかったみたいで、始めは驚いていましたが、「IPAの事業は社会貢献度も高い。何より森くんのチャレンジを応援したい。」と快諾してくれました。

会社のバックオフィスのみなさんも協力してくれて「IT人材発掘・育成事業プロジェクト」の副業申請を済ませ、晴れて会社公認でプロジェクトの開発に着手しました。

技術職を対象に新副業制度「Cycle(さいくる)」を導入 ~グループ内副業を推進、社外に発注していた業務のグループ内循環へ~
 

――「機械学習を用いたSNS向けテロップ自動生成」での役割は?
 

友人は筑波大学の修士課程で機械学習の研究をしていたので音声認識等の自動生成部分を担当しました。私はクライアントのUIなどアプリ開発を担当しました。が、担当分けをしていたのは最初だけで、プロジェクトが進むにつれ、役割関係なくやれるところをやっていたという感じです。

音声認識から文字起こしを実装してみると、言葉の区切れやタイミングの認識が難しく、学術的な観点からアプローチをしました。また、自動認識した音声には誤認識があるので、簡単に編集できるUIなども注力しました。

――仕事と「IT人材発掘・育成事業プロジェクト」の両立は難しくなかったですか?
 

CyberZで19時まで勤務して、自宅に帰って「IT人材発掘・育成事業プロジェクト」の開発をしていました。文字通り「寝ても覚めてもコードを書いている生活」です(笑)。

正直なところ、その生活に違和感や負担は感じませんでした。もともとプログラミングをするのが大好きで、学生の頃からそのような生活でしたから。

高専の時は、授業に出席しながらコンテストに出すためのコードを書いていました。内定者バイト中も渋谷で19時まで仕事をしてから、筑波の自宅に帰宅し21時くらいから夜通しコードを書いていました。内定者バイトや授業のない日は、友達の家に泊まり込みで開発して、朝7時にみんなで松屋で牛丼を食べたのは良い思い出です。

ただ誤算もありました。
 

――誤算とは?
 

やはり仕事のプレッシャーが思った以上に大きかったです。ユーザーを背負っているサービスならではの責任の重さを実感しました。特に、運用中のサービスを停止させずにリアーキテクチャ後のシステムに刷新するのは難易度が高かったです。不手際でクライアントをクラッシュさせてしまうバグを出した時は、ユーザーやプロジェクトに関わる人に申し訳なくて胸がつぶれる思いでした。

多くのユーザーがいて、会社のビジネスの軸になっているプロダクトにおけるプログラミングは、やはりプログラミングコンテストでは得られないプレッシャーがあり、仕事としての責任の重さを感じました。

――このプロジェクトで得た成果をおしえてください。

つい先日のことですが、幸運なことに2019年度未踏IT人材発掘・育成事業の「スーパークリエータ」17名に認定して頂けました。1年間とりくんできた成果がこのような形で評価して頂けたのでとても嬉しかったです。

2019年度未踏IT人材発掘・育成事業の「スーパークリエータ」17名を認定 (情報処理推進機構)

全社2,000人の技術者が選ぶ「CA BASE AWARD」で最優秀ベストルーキー賞

――全社2,000人の技術者が選ぶ「CA BASE AWARD」で最優秀ルーキー賞を受賞しています。サイバーエージェントの新人賞は本気で目指している人が多く、競争率も高いですよね。
 

投票期間に「投票したよ!」と声をかけてくれた方々がいたので、もしかしたらノミネートされるかもと思っていました。「OPENREC.tv」のリアーキテクチャは大きいプロジェクトでしたし、結果を伴う達成感も感じていました。

ただ、最優秀ベストルーキー賞に選ばれるとは思わず、びっくりしました。

当日は、リポーターとカメラの一行がオフィスにやってきたのですが、本当のテレビみたいな演出に驚きました。中継を見ていたのですが、自分の席にやってくるのがわかってドキドキしました。

社長の藤田から表彰してもらったり、周囲の人にお祝いされたりで嬉しかったです。

後から「新人賞は審査員の間でも特に議論がヒートアップしてたから選ばれたのはすごい」と言われて、全社から選ばれることのありがたさを実感しました。

この賞に恥じることのないよう、技術的なチャレンジを続けていきたいと思います。

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