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電通とAbemaTVの両社社長が語る、「AbemaTV」のこれまでとこれから
山本 敏博 × 藤田 晋

インターネットテレビ局「AbemaTV」の開局から2年半が経った頃、株式会社電通が「AbemaTV」に出資をするというニュースが駆け巡りました。以来、広告拡販やコンテンツ調達などでも多大なご協力をいただいていますが、さらにサービスへの理解を深めていただくことを目的に、電通社員の方向けに電通山本社長、AbemaTV代表の藤田による対談が行われました。

※この記事は、電通社員向けイベント「Dentsu AbemaTV DAY」で行われた対談の模様を一部編集したものです。

Profile

  • 株式会社 電通 代表取締役社長執行役員 山本敏博 氏
    1981年入社。コミュニケーション・デザイン・センター長などを務め、2014年に取締役執行役員、2016年に常務執行役員に就任。2017年より現職。

テレビが新しい未来を切り拓く挑戦には、いつだって電通も関わっていたい

ー早速ですが、なぜ電通は「AbemaTV」に出資を決めたのでしょうか?「AbemaTV」に期待することがあれば教えてください。

山本氏:僕は、「日本のテレビの未来はどこにあるのか?」ということにずっと関心を持っていました。海外と比べても日本のテレビはとてもポテンシャルが高く、素晴らしいものだと思っています。ただ、正直に言うと「このままではダメだ」という気持ちもある。日本のテレビが新しい未来を切り拓くためには、やはりインターネットとの融合が不可欠だと思いますし、そういった挑戦には、どんな取り組みであれ電通も関わっていたいと思っています。

そういう考えから、「AbemaTV」が開局して間もない頃、テレビ朝日さんに「電通からも出資をさせてほしい」と伝えたんですね。そうしたら、「うちは良いけど、サイバーエージェントの藤田さんが難色を示している」と言われまして(笑)。よくよく聞いてみると、「お話は嬉しいけど、少し待って欲しい」と仰っていることが分かりました。

山本氏:それから2~3年経ち、昨年の秋、藤田さんとお食事をご一緒する機会がありました。大変失礼だとは思いますが、当時の僕は「AbemaTVはまだどうなるか分からない」と感じていたこともあり、ざっくばらんに知りたいことを質問したんですね。そこで、「AbemaTV」をこう成長させようとしている、という藤田さんの肌感覚みたいなものにすっかり感じ入って、「ネットによってテレビが新たな未来を切り拓いていく現場で、同じ方向を向いて一緒にやりたい」と改めて強く思いました。

だから再度、「藤田さん、ずっと断られているけど、電通にも出資させてくださいよ」と伝えたところ、翌日に「テレビ朝日の早河会長と話しました。よろしくお願いします」というメールをいただきました。このスピード感はやっぱりすごいなと思いましたね。

ー藤田さんはなぜ、出資の打診に対してストップしていたのでしょう?受け入れた理由についても教えてください。

藤田:ネットテレビを立ち上げるベンチャー企業は過去に何社も現れて、例外なく失敗してきました。でも、せっかく出資していただくなら「AbemaTVも一応、おさえておこう」というポジションでは物足りない。「放っておけない」と思われるメディアになるまでは自力で頑張りましょうと、テレビ朝日さんに伝えていました。

それから年月が経ち、出資を受け入れるきっかけになったのが、僕がチェアマンを務める麻雀の「Mリーグ」に電通さんが参加してくださったことです。これが、本当に嬉しくて(笑)。その頃、山本社長とお食事した際に再度出資の打診をいただき、次の日に出資をお願いしました。

ブランド広告主が安心して広告を出せる場所を、ずっとつくりたいと思っていた

ーなぜ、「AbemaTV」はオンデマンドではなく、リニアでサービスを始めたのでしょう?

藤田:僕自身が広告事業を経験して強く感じているのが、受け身視聴をつくってこその広告である、ということです。SNSやポータルサイトでも、ユーザーが何となく開いて眺めるサービスは、広告効果が高くなるんですよね。「AbemaTV」も受け身視聴のリニアで始めることは最初から決まっていました。

山本:私は藤田さんと食事をしたときにこの話を聞いて、本当に衝撃を受けましたよ。あのサイバーエージェントの藤田晋が、「広告、特にブランド広告は、やっぱりリニアで、受け身視聴でなくては効果がない」と言うんですから。

藤田:いやいや(笑)。加えて、多くの人に見てもらわないと広告として売れないという課題もあります。ブランド広告主がネット広告にそれほどシフトしていかないのは、広告を出す場所がないことが大きな原因だと思います。ネットでは、広告主の好感度やブランド力を上げるような出しどころがすごく少ない。このことから、コンテンツのクオリティが管理できて安心できる場所をつくりたいと思っていました。

ーYouTubeや、Netflix、TVer等多くの動画プラットフォームが存在する中で「AbemaTV」の勝機をどう見ていますか?

藤田:乱立しているように見えるかもしれないですが、「AbemaTV」は全く違うサービスを提供しているつもりです。

その理由の一つが、数ある動画サービスの大半はオンデマンドであり、テレビをリプレイスしているものは存在しないということです。僕自身もテレビにはすごく可能性があると思っていますが、テレビのメインコンテンツであるニュースやスポーツを放送しているサービスはほとんどありません。それに比べて「AbemaTV」は、緊急ニュースや大相撲、格闘技といったスポーツなど、長尺の中継コンテンツを流すのに適しています。

二つ目の理由は、多くの動画サービスが有料のサブスクリプションモデルなので、同時に多数の人に見てもらうのが苦手だということ。「AbemaTV」は、アニメ作品の初回を放送する場所として選ばれることが多くなっていますが、これは、全国の視聴者に届けることができ、かつ無料のメディアであることに期待を寄せていただいているからです。ほかにはない「AbemaTV」の特長だと思っています。

山本氏:「AbemaTV」の開局から3年経ち、毎日あれだけのチャンネル数を放送していると、藤田さんのテレビに対する造詣がこれだけ深くなっているんですよ。「放っておけない!」という感覚になりますよね(笑)

ー当初目標にしていた1000万WAUが見える世界になってきて、黒字化についてはどのように考えていらっしゃいますか?

藤田:"1000万WAU”という数値は、これが達成できないようではメディアとしてギブアップだと思って目標に掲げていました。メディアというのは視聴習慣が非常に大切で、それをつくり上げるには長い年月がかかる。僕は腰を据えて粛々とやるつもりです。

ネットの歴史を見ても、大きく成長したGoogle、Facebook、YouTubeなどは、マネタイズより規模を大きくすることを優先していました。そして、一定の規模に達したところで、検索連動型広告(Google)やTrueView広告(YouTube)など、徹底的にスケールできる広告商品を生み出しています。「AbemaTV」も、広告効果が高くてスケールできる商品があれば、何とかなる手応えはある。電通さんと一緒に商品開発もやっていきたいと思っています。

その新しさ、破天荒さ、革新性を、これからも心して見ていきたい

ー電通とサイバーエージェントは競合関係にもあるわけですが、ぶっちゃけ・・・電通は「AbemaTV」をセールスして良いのでしょうか?

山本氏:広告会社という意味では競合ですが、「AbemaTV」というメディアに何かの可能性があると思うなら、あるいはクライアントにとって必要だと感じたなら、当たり前のようにセールスするべきだと思っています。「AbemaTV」という新しい可能性のあるメディアの未来を一緒に切り拓き、マスメディアとして成立した暁には、広告会社という舞台で競合として堂々と戦いたいですね。

ー電通の山本社長からは、サイバーエージェントはどんな風に見えていますか?

山本氏:サイバーエージェントさんは広告主でもありますから。とてもお世話になっています(笑)。競合としては、脅威ですね。この若さ、新しさ、破天荒さはちょっと真似できない。でも、そう思える存在がいるのは刺激になります。やり方は違っても、より革新性のあることをやっていかないといけないと思わせてくれますから。これからも、心して見ていきたいと思っています。

ー藤田社長は、電通をどう見ていますか?

藤田:電通さんは、僕の中で「こんな会社をつくりたい」と目標にしている数少ない存在で、ずっと憧れていました。社員が自由に働いているのに、結束が固く、会社に対する愛社精神、帰属意識が強い。この規模になっても優秀な人材を集められているのは、率直にすごいなと感じます。個人的にも好きな会社ですし、この機会に電通さんとさらに距離を縮められたらと思っています。

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