Interview

数字に泥臭く向き合った
AbemaTVデザイナーの1年間

インターネット産業の変化にあわせて様々な事業を提供している当社では、多様な技術領域において若手デザイナーが日々活躍しています。FEATUReSでは彼らの活躍を連載形式でご紹介します。

今回は、AbemaTVでUIデザイナーをつとめる丸 匠です。AbemaTVのUIデザインを数字に向き合いながら日々改善。そのかたわら動画制作でも実績を重ねています。

参加したインターンで、徹底的にデザインの根拠を問われ、デザインに対するロジカルさを学んだ丸。
その重要性に本当の意味で気づいたのは入社後、AbemaTVに配属されてから
「デザインがプロダクトの業績にどう貢献するのか。」
それを知る指標の1つとして有効なのがWAUなどの「数字」指標。

定性的ではなく定量的にユーザーの反応を知ることで、プロダクト全体のクオリティを意識できたり、事業としての成果への責任感が生まれると、丸は話します。

UIデザイナーとして働きつつ、VJ活動をすることでクリエイティブ手法の幅を広げ、成長を続ける丸の1年間を振り返ります。

Profile

  • 丸 匠 (マル タクミ)
    株式会社AbemaTV 開発本部 デザイナー
    2017年 サイバーエージェント新卒入社。同年10月より株式会社AbemaTVに出向し、UIデザイナーとしてiOS、Androidアプリの開発に従事。

求められたのは「ロジカルさ」と「泥臭さ」

➖サイバーエージェントとの接点はどこからですか?

最初のきっかけは夏季休暇に参加した10日間ぐらいの短期インターンです。

大学でプロダクトデザインを専攻していたことと、個人的な活動としてVJをやっていたことから、メーカーに就職してプロダクトデザイナーを目指すか、映像の製作会社に就職先を探すかといった将来を就活中は考えていました。

そんな時に、デジタルプロダクトを数多く作っているサイバーエージェントでデザインのインターンがあると聞いて応募しました。自分のスキルが活かせそうな環境だと思うと同時に、自分はその環境で何ができるのか知りたいと思ったからです。

インターンに参加して強く印象に残ったのは「泥臭さ」です。

当時はサイバーエージェントに対し「キラキラした会社」というイメージを抱いていましたが、実際に現場で社員の方に接してみると「デザイナーはロジカルで泥臭い」と思ったことをよく覚えています。

ー「ロジカルで泥臭い」とは?

参加したのはUI系のインターンで、「ECサイトのスマホアプリをつくる」という課題でした。ユーザー調査や市場調査をして、ペルソナを立てて、そのペルソナに対してデザインを考える。そういう形で制作を進めていきました。

制作過程でメンターから「なぜそのデザインを選んだのか」というデザインの根拠を常に問われました。

つまり「なぜそのUIなのか。なぜその色・形をえらんだのか。」「(設定したペルソナに対して)そのペルソナならどういう雑誌を読んでいるのか」「そういう雑誌の購読層が好む色は?」というように、デザインの根拠について何度も「なぜ?」を聞かれました。決してその点をおろそかにしていたつもりはなかったのですが、より精密なロジカルさを求められました。

ー なぜそこまで「デザインの根拠」を問われる必要があるのでしょうか。

短期インターンという限られた時間の中では早く制作を始めないと間に合わない。でもデザイナーとしては綺麗に仕上げたいから時間もかけたい。その焦りからロジックを考えるよりも制作を進めることに気を取らます。

でも今ならわかりますが、きれいに仕上げればいいというものではないんですね。

メンターにも「ロジックの部分を突き詰めずに、見た目だけきれいに仕上げても意味がないよ」と何回も諭されました。
決して厳しく詰め寄られたわけではなく、寄り添うように丁寧に指導してくれて一緒に考えてくれたのですが、メンターの「クオリティのためには妥協はしない」という姿勢は一貫していて、それが強く印象に残っています。

ロジックの必要性が本当の意味で理解できたのは、実務に携わった時でした。実務となると、デザイナーだけではなくエンジニアやビジネスサイドの人がいて、何よりもユーザーがいる。そこに対して理由のないアウトプットは基本的にあり得ません。世の中には何かに困っている、何かを必要としているユーザーがいて、デザイナーはその人たちにとって有益なものを提供する必要があります。何が有益なのか?を突き詰めていくことがロジック、つまりデザインに根拠を持つということになるのです。

学生の時はどうしても自分が作ったものがユーザーの手に渡る経験が少ないので、泥臭くロジックにこだわる理由が本当の意味では理解できていなかったのですが、実務を経験することで「ああ、このためだったんだな」と腑に落ちました。

それに気がついたのが、入社して配属されたAbemaTVでのUIデザインの仕事でした。

➖具体的にどんな仕事が気づきにつながったのですか?

2017年12月に参加したiPadの最適化プロジェクトです。

ナビゲーションにタブバーを導入する大きめの改修ですが、先行してiPadに導入しました。その結果、視聴数や視聴時間という数字の部分で大きな効果があったことが確認できました。

このプロジェクトに携わる前の自分は「必要とされる画面やデザインを納期までに仕上げるのがUIデザイナーの仕事」というところまでしか意識できていませんでした。

しかしこのプロジェクトを経験したことで、UIデザイナーの仕事は数字に大きな影響をあたえる必要があり、そのためにも数字を意識してデザインする必要があることを実感しました。

ー 数字を意識した上でデザインをしていくとは?

まずUIデザイナはユーザーのアクティビティログからデータを把握し、数字に向き合うことが基本になります。そこから仮説と検証を徹底的に繰り返す。

例えば1個のモジュールがあり、視聴数が思うように伸びていないという現状があるとします。視聴する時はそのモジュールをタップするわけですが、そもそもモジュール自体があまり見られていないという数字も出てくるわけです。

その場合「このモジュールを目立たせることで視聴数が伸びるのではないか」という仮説を立てます。大量のデザインパターンを模索し、ビジネスサイドやエンジニアとすり合わせて、アウトプットして仮説を検証する。この繰り返しです。これこそまさに「ロジカルで泥臭い」作業と言えるかもしれません。

AbemaTVはユーザーのアクティビティログをとる環境が万全に整っています。A/Bテストの検証基盤も充実していて、仮説と検証もしやすくデザイナーが数字にコミットしやすい環境になっています。

ー デザイナーは数字を見ることが義務づけられているのですか?

というよりデザイナーを含む全職種のメンバーがWAU(週間のアクティブユーザー数)をはじめとする各指標を確認できる状態になっているので、当たり前のように数字を見て意識するという文化です。

ー 数字が可視化されることで、デザイナーにとってはシビアな現実に直面しませんか?

ありますよ(笑)。例えば定性的に「いいな」と思って制作したにも関わらず、数字が伸びないというケースも当然あります。

でも数字を見ない限り、デザイナーのアウトプットがプロダクトにどんな影響を与えたのか判断できないですよね。

良い悪いは主観でしかなくて、それを集めるためにユーザー全員に意見を聞くわけにもいかない。数字は1つの判断基準になります。

ユーザーが必要とするものを作るのがデザイナーです。だからこそユーザーがそのデザインに触れて、どうアクションを起こしたのか責任をもって知るべきです。その意味でデザイナーも数字に触れるべきだと考えています。

ただ、もちろん100%数字を追えばいいというわけではありませんし、数字さえ良ければいいというわけでもありません。コンバージョンが上がるからといって、ただ字を大きくしたり色を濃くすれば良いというものではないですし。

数字だけを意識するのではなく、プロダクト全体のクオリティや事業成果に責任を持たなければいけないということはデザイナーチームでも常に話し合っています。

クリエイティブの手段を広げることに積極的でありたい

ー 丸さんはUIデザイナーとして働きつつ、VJとしても活動を続けていますよね。

業務と全く異なるアウトプットをすること自体がメリットになっています。普段UIデザインではやらないようなゴツゴツした映像を作ったり、ハートをキラキラ飛ばしたりという、業務では使わない引き出しを開けることもあるし、新たなインプットを得ることもある。

あとは単純にものすごくストレス発散になります(笑)。映像を流すことがただシンプルに楽しくてやっているという面はあります。アウトプットが目の前で大きな形で出るので、大きい会場でVJをやるとすごく爽快感があるんです。

ー UIデザイナーの業務以外でも、映像制作の仕事もしていますね。

上司からある日「映像の仕事が1本あるんだけどやる?」と聞かれて「本当ですか!?やります!」と即答しました。僕がVJをやっていることを知ってくれていたのだと思いますが、これはチャンスだとすぐに引き受けました。

その時作った映像が「AbemaTV Developer Conference 2016」の告知映像です。告知映像なので目的が明確ですし、入れるべき情報もしっかり決まっていて、CMや広告ならではのルールもある。この辺りは普段僕がVJで作っていた映像と大きく違うところで、良い経験になりました。

ー まわりの反響はどうでしたか?

この仕事をやって本当に良かったのは名刺代わりになったことです。初対面で仕事する人でも「ああ、あの映像の」と覚えてもらえていたんです。名刺代わりになるとともに、自分に「動画をつくれるUIデザイナー」というタグが付いたことが大きかったです。

それ以降「そういうスキルがあるならこういう仕事があるよ」と振ってもらったり、社内で仕事の幅が広がりました。

ー デザイナーとしてこの先どうありたいですか?

正直なところまだ分かりません。僕は別にUIだけにこだわってデザイナーをしていくつもりはないからです。というよりも、サイバーエージェント自体インターネットに軸足を置きつつもどんどん新しいことをやっているので、デザイナーが担うべきこともUIにとどまらずどんどん広がっていくと思っています。

だからデザイナーとして扱える領域は広ければ広いほど良い。今やっているUIと映像に加え、それ以外のクリエイティブの手段についても広げることを厭わずにいたいと考えています。

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