tr?id=1308001332621334&ev=PageView&noscript=1
 
Interview

地方の就活から情報格差をなくすFLAT
~新卒採用の約半数を地方出身にした理由~

サイバーエージェントによる、地方就職活動生向けの就職活動支援パッケージ「FLAT」をリリースして1年が経過しました。そこで今回は、FLATで具体的にどの様な活動を行ってきたかを振り返りながら、地方における就職活動のリアルに迫っていきたいと思います。

地方就職活動生支援パッケージ FLAT

Member

  • 木村 祥子 (キムラ ショウコ)
    大阪出身。2007年新卒入社。入社後はインターネット広告事業本部に配属。広告運用、広告商品開発などを経て、2011年10月よりビジネスコース新卒採用担当に。地方就職活動生向け支援パッケージ FLATの立ち上げ、運営を行う。

  • 中村 俊介 (ナカムラ シュンスケ)
    福岡出身。2014年新卒入社。入社後は株式会社CyberZに配属。
    アカウントプランナーとして国内トップゲームディベロッパーを担当、当時最年少マネージャーに抜擢。現在はプレーヤーとして営業活動を行うとともに、新人育成や社内の活性化施策なども担当。

  • 永友 絢子 (ナガトモ アヤコ)
    鹿児島出身。2016年新卒入社。大学時代から、アプリの開発を多数手がける。
    入社後は株式会社マッチングエージェントに配属。
    恋活アプリ「タップル誕生」の企画開発を行う。

サイバーエージェントでの地方採用の実績

地方採用に力をいれることになった経緯をおしえてください

関西での採用活動は2003年頃から少しずつ行っていましたが、東京が全体の7-8割を
占めている状況でした。その中で見えてきた大きな3つのポイントがあります。

1.東京は会社も学生も多いが、もっと地方の学生に接触できるのではないかという問題意識

2.関西出身の社員の活躍実績が多数

3.関西内定者からのつながりで次の採用につながるケースが多数

このポイントを踏まえたうえで、サイバーエージェントとして地方採用を強化する戦略をたてました。その中で試行錯誤しながら生み出したのが地方就職活動生向け支援パッケージ「FLAT」になります。


FLATを運用して半年経過した実績をおしえてください

木村:2018年の新卒採用実績は、海外を含めて約160人を採用しました。地方の採用は70人で約43%。全体の半数近くがFLATで採用したメンバーです。

当社では事業に携わる社員の中から約300人が採用チームとして協力してもらっています。インターンのメンターや面接官、学生のキャリア相談など多岐にわたる採用活動に携わっていますが、その中で200人以上の社員が大阪や九州といった地方の採用活動に出張しました。


FLATは当初どんなことから始めたのですか?

木村:いきなり採用目的で選考を開催するのではなくて、まずは活躍するビジネスマンを知ってもらうことで、自身のキャリアイメージを膨らませてもらう為に、「リーダーシップ講座」「多角的キャリア講座」「経営力講座」「営業力講座」といったテーマで、ビジネススクール的な出張セミナーを開催していました。社員の働き方や仕事観などを知ってもらったという感じです。現地に行って、こういうキャリアの選択肢もあるんだよ」という気づきを与えるきっかけを作り、「話を聞く機会がない」という地方就職活動生の悩みに寄り添えるように、現場の社員と一緒に地方に行き、協力してもらいました。

永友:私も地方出身者として各地に出張しました。FLATの活動がきっかけで、サイバーエージェントのことはあまり知らなくても、「あんな大人がいるIT企業っておもしろそう」と興味を持ってくる学生が増えたと思います。出張セミナーに来てくれた学生のの何名かが選考会に来てくれるようになったのが初期の頃です。

東京だと、その手のビジネスセミナーは毎週のように開催されていますし、誰もが知っている会社や名だたる団体が開催していますが、地方だとそういった機会が少ないと感じます。

木村:地方の学生の方と話していると、IT企業は、エンジニアの様にスキルがある人のみを採用しているのでは?と誤解して「ITの知識がない自分には応募資格がない……」と判断している学生も多いです。総合職志望の学生から、「プログラミングが書けないのですが・・・」「ITに詳しくないですが、大丈夫ですか?」とよく質問されます。
それは都心部から離れるほど顕著で、就活における“情報格差”だと感じています。

地方での就活のリアル

おふたりは地方出身ですが、地元での就職活動をふりかえってどう感じましたか?

永友:あくまで自分の周りの体感値ですが、8~9割ぐらいが地元に就職する人が多いと思います。東京で就職してみたいと言う知人もいましたが「やっていける自信ないかも」という理由で、1社目に内定をもらった地元の企業に決めたケースもありました。もちろん今はその企業で活躍していますが、東京の企業も選択肢にあれば可能性を広げられたかもしれないと思ったりもします。

中村:就職活動で何をしたらいいかわからないといった相談もよく受けました。FLATのセミナーでは就職活動の軸とか、企業選びのポイント等を話す機会が多かったです。地元以外の情報を知ることで就職先の選択肢を広げるためにも、業界や企業の調べ方といったところからアドバイスしていました。

インターネットの利用率が向上しているにも関わらず、なぜ東京と地方で就活の情報格差が生じるのですか?

木村:確かにインターネットで企業や仕事の情報は得られます。ただ自分が働く会社を決めるために重要になってくるのは、そこで働く社員の声や会社の雰囲気、企業カルチャーといった、学生と企業のマッチングになってきます。それはインターネット上の情報だけでは判断できない。実際に働く人に会って、生の声を聞くこと、自身の肌で感じることが大事になってくる。そこで壁になってくるのが金銭面の問題です。

企業セミナーや勉強会などは東京開催に集中しています。でも地方学生からすれば情報収集のために東京に1回行くだけでも費用がすごくかかる。就職先の選択肢を広げたいと思ったとしても、お金の面で断念してしまうケースは、学生の声を聞いている限り企業側の想像以上に多いです。

永友:都心部に住んでいる学生が数百円の電車賃でセミナーに参加できるのに対して、地方は数万円の飛行機代がかかるケースもあります。「就職活動のために50万貯めろ」というのは地方ならではのセオリーです。実際に自分も事前にバイトして50万円を貯めましたし、親に借金している知人も普通にいました。

中村:ホテル代が捻出できないのでマンガ喫茶で夜を明かしたりとか、できるだけ交通費のかからない高速バスを利用して何時間もシートに座って過ごして、地元に戻るとすぐにバイトに入るとか。今となってはいい思い出ですが(笑)。当時としては金銭面は本当にきつかったです。

交通費や宿泊費のためにお金が必要だけど、就活を頑張れば頑張るほど、今度はバイトする時間が無くなるという「負のサイクル」が続くみたいな声も聞きますね。

木村:サイバーエージェントも今でこそ、エントリーシートをオンラインにしていますが、数年前までは紙の履歴書を必須にしていたほか、説明会イベントに参加することが必須になっていたので、東京か大阪に来ないと選考ステップに進めないという仕組みを長年続けていました。

でも地方の学生の話を聞いていくと、東京に来ないと選考を受けるチャンスすら得られないという声が多いことに気づき、企業の都合を優先して学生の負担を大きくしてしまっている事実に気付きました。この仕組が理由で泣く泣く諦めてしまい、選択肢を減らしてしまうことになった学生も多かったと感じます。

私自身も、生まれも育ちも関西。学生時代も関西の大学に通っており10年以上前に就職活動を関西拠点を中心に行った、地方就職活動生の1人。

当時、大阪でサイバーエージェントが説明会を開催していなかったら、この会社のことを知ることすらできなかったと思います。正直、毎回イベントの為だけに、東京に行くほどのお金も時間も当時の私にはありませんでした。正直きつい・・・というのが本音です。


FLATに書かれていた「就職活動における情報格差」とはお金の問題が多い?

木村:それがFLATをつくった理由のひとつです。「交通費が負担になるならば、私たちから会いに行きます!」と、地方各所での選考会開催もこの1年は増やしました。情報格差、機会格差は、学生の金銭的負荷が要因になっているところが見えてきたので、そこを含めてフラットにするという目的で、気軽に会いに行くというスタンスが、この活動の背景にあります。

FLATは格差をなくすフラットの意味合いはもちろんのこと、聞きたいときに企業の話が聞くことが出来る、友人に会いに行くような感覚でふらっと・・・気軽に立ち寄れる様な、そんな場を様々な形でサイバーエージェントが提供したいという想いから名付けていたりもします。

地方の学生の特徴

実際に各地に行ってみて、東京の採用と感覚が違いましたか?

中村:社会人と会う一回一回の機会をすごく大事にして取り組んでいる印象が強いです。普段聞けない話を聞きに行こうとする姿勢は、質疑応答にもあらわれていて質問のレベルも回数も非常に高い。必然的に、質疑応答も質の高いものを求められるので、我々も勉強になりました。

質疑応答になると質問が途切れないので、地方のセミナーの場合は質疑応答時間をたっぷりとっておくとか独自のスケジュールを組んだりしていました。

永友:東京は何でも情報が整っていて、いろいろなことが不便なく生活できます。だけど、東京に比べると、地方にはまだまだ情報足りません。だから自らキャッチアップして、学生の頃から具体的な活動をしてきている人も多くいます。例えば、「サイバーエージェントに入社したら、地元で経験していたことをこういう風に会社に活かしたい」と具体的な提案をしてくれる子も少なくありません。


東京でも事業を起こしている学生は多いですが、違いがあるのですか?

永友:地方の場合は、機会や情報が「ないからつくる」というスタンスが多いです。例えば、住んでいる地元にファッションショーが無いから自分で企画し、スポンサーから資金を募って、100名規模で開催していた学生とか。地方では、自分の身の周りに課題がたくさんあって、それを実直に解決してきたという学生が多いです。

中村:就活の情報がないことそのものを課題として、学生発の事業にしているケースが多かったです。就活情報が少ないなら、自分たちで就活情報を学生に渡す就活団体を作ったり。他には、学生による学生マーケティングみたいな感じで、インフルエンサー事業を起こしたり。学生ならではの事業がとても印象的でした。

アイデア自体は、東京とそこまで変わらなくても、自ら実行している子が多く、アウトプットのクオリティが高いと思いました。「ないから作る」ために地元の企業を口説き落としてスポンサーになってもらったり。必要に駆られて自分でやっているからこそ言葉の使い方が印象的だったり、実績に重みがあったりもします。

地方の就活で強みを活かす

地方の学生ならではの特性は、入社後の仕事のあり方にも影響していますか?

永友:就活が人を成長させることはあると思います。機会や情報さえあれば、成長するポテンシャルの高さみたいなのは地方の学生が秘めている強みだと感じます。「東京へ出てきたからには一旗上げてやるぞ!」といったように覚悟を持って入社してくる学生は多いかもしれません。

木村:永友は地元でサービスを開発・運用して実績があった上に、説明会イベントに巨大なスーツケースを転がしながらやって来たので、社員の間でも話題になっていました。「このサービスを作ってるのは、あのいつもスーツケース転がしているあの女子か!」みたいな。こういう風に話題になる、名前を覚えられるということは就職活動においてアドバンテージになると思います。

永友:地元では大きな山があるのが有名なので「あの山があるところだよね?」「そうなんですよ(笑)」みたいな共通の話題でアイスブレイクが進んで、いろんな人に覚えてもらえましたね。特に、大きなスーツケースを持ってやって来たのはインパクトがあったかもしれません。

木村:永友のように地方ブランディングをうまく活用すればチャンスに変えられるんじゃないかなと思っています。東京で「サービスをつくっています」という学生は多いですが、地方で「地元にないから作りました」と言う学生はそんなに沢山いるわけじゃないので、そういった“タグづけ”をうまく活用すれば武器になると思います。

地方の情報格差を埋めるだけでなく、地方の学生の強みを活かすということですか?

永友:地方の強みを活かすためには行動を起こさなくてはいけない。その一歩を踏み出すきっかけを企業が作ってあげることで、地方の学生の可能性や選択肢を広げることにつながると感じます。

だけど学生も、そこで“受け身”になり過ぎると良くない。企業が交通費も宿泊費も負担するからとフレームに乗っかって受け身でいると、気づいたら特定の業界や企業の情報しか知らない、なんてことになる。

明らかに浮き彫りになっている学生の金銭面の負担や情報格差お金の問題といったことは、サイバーエージェントの社員が会いにいくことで解決したいと考えていますが、FLATではバランスを大事にしています。学生の負担と情報格差をなくすための機会は用意するけど、最終的に就職先を選ぶのは自分なんだよというスタンスは大事にしていきたいです。


最後に、これを読んでいる地方の学生に伝えたいことがあればお願いします。

木村:これは学生からよく聞く声ですが「東京の子に比べて、そもそものスタートが遅かったから心配」とか「情報格差のせいで入社後に活躍できないんじゃないか」「東京でやっていく自信はないかも」といったことを相談されることが多いです。

自分がそうだったから気持ちはとてもわかるのですが、そこで変に萎縮しないで、一歩前に踏み出してみてください。未経験の分野でもハングリー精神で食らいついて実績を出している地方出身の社員がサイバーエージェントにはたくさんいます。

地方出身だからIT業界には不利みたいなのものは全くありません。地方の学生は、素直で成長ポテンシャルの高い人材が多いので、スポンジのように多くのことを吸収すれば、可能性は無限大だと思います。

地方の優秀な人材に会うために、サイバーエージェントはこれからもFLATを推進し、これからもたくさんの地方の学生に会いに行きたいと考えています。。FLATは、地方の就職活動生の生の声を取り入れて、より良いものを一緒に創っていきたいと考えていますので、ぜひお待ちしています。そして、現地でぜひお会いしましょう。

参考リンク

地方就職活動生支援パッケージ FLAT
FLAT 現地開催 会社説明会兼選考会
FLAT Facebookグループページ

執筆:清水 良一
撮影:杉 麻子
イラスト:布施 勝大
撮影場所:CyberZ

Page Top