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Interview

好奇心とチャレンジがスキルを磨く。
「アドテクスキルアップゼミ」が
生み出すカルチャーとは

アドテクスキルアップゼミは、サイバーエージェントグループのアドテクノロジー分野における各サービスの開発を行うエンジニアの横断組織、アドテクスタジオが発足した半年後から開始され、約3年半続いている社内施策です。

スキルアップゼミは参加自由の勉強会とは異なり、大学における研究室やゼミのように少数メンバーにてゼミテーマにそって研究を行います。実施目的の1つとして、研究を通して得られる成果(技術力や知見の向上)を事業に活かすことを挙げており、業務時間の一部を使ってゼミ活動が可能です。

年々、ゼミ数・参加者共に増加し、現在はアドテクスタジオに所属するメンバー約300名のうち1/4が参加する規模へ。アドテクスタジオの組織文化を代表する施策のひとつへと成長しています。

では、スキルアップゼミが生みだしているカルチャーとは?
アドテクスタジオのメンバーにインタビューしました。

アドテクスキルアップゼミ ≠ 勉強会

どのような背景でスキルアップゼミが始まったのでしょうか

田爪:きっかけは、もっと組織・個人ともにスキルをあげていきたいという現場エンジニアからの提案です。アドテクサミット(アドテク版あした会議)で提案され決議されました。アドテクスタジオは横断組織なので、設立当時は他のプロダクトが何を作っているのかすらお互いにわからない状態でした。所属メンバー同士の横のつながり強化も必要だし、知識や技術向上も施策が必要。スキルアップゼミは、別部署での経験が長い私とエンジニアの雄作さんとで運営チームを発足し仕組みを考えていきました。

渡邉:以前から社内外の勉強会に参加したり、社内勉強会を主催していましたがもっと面白いことができないかと考えていました。ビジネスプランコンテストは収益化や販路を考える必要があるので、それとは別にエンジニアならではの「技術」で貢献できる仕組みが作りたい、且つ短期的な収益に因われない中長期で取り組めるものが必要だと思っていました。

勉強会は意欲のある人が参加する点が良いところですが、せっかくなら勉強した結果を活かす場があるともっと良いのに、と感じていました。ただ、勉強会においてその後のアウトプットを強制するとそれはもはや任意参加ではなくなってしまいます。一方でエンジニアからはもっと腰を据えてテクノロジーを研究したい、検証したいという声が出ていました。

 田爪 裕子: アドテクスタジオ 経営本部 
広告営業・Amebaを経て、経営管理や技術広報など担当。ゼミ運営チーム
田爪 裕子:アドテクスタジオ 経営本部

広告営業・Amebaを経て、経営管理や技術広報など担当。ゼミ運営チーム

スキルアップゼミをはじめる前、運営面で意識したことはありますか?

渡邉:大学の研究室を参考にし、ゼミの研究に対して会社が「投資」を行うというスタンスにしました。
・主催者(ゼミ長)には中長期の研究・分析・検証の成果の説明と予算獲得のプレゼンスを求める代わりに、時間・予算(お金)・人の裁量を与える
・ゼミ参加者にはゼミ主催者の目指す成果に貢献する責任を求める代わりに業務時間を充てる裁量を与える

スキルアップゼミは勉強会ではないので、明確なコミットメントを求めていますがその代わりに大きな裁量が与えられます。コミットメントは中長期(2年~3年でも可)でも構いません。ゼミにおける半年ごとのゴール設定はゼミ長自身が「本当にやりたいこと」を最優先に設定しています。僕はエンジニアの立場から技術面におけるゴール設計をゼミ長と共にブラッシュアップしていくのですが、「この技術が好き」を突き詰めたときに、まずは半年でどこまでもっていけるかを一緒に考えます。ゼミでは、来期予算を獲得できるようなプレゼンスが重要だからです。メンバーのファシリテーションに振り回されていたり、単純な学習や育成が目的になってしまっている場合は、ゼミではなく勉強会の開催を促すこともあります。

 渡邉 雄作: 新規事業開発室 事業責任者 
シンガポールにて新プロダクト開発中。プロダクトマネージャー ゼミ運営チーム
渡邉 雄作:新規事業開発室 事業責任者

シンガポールにて新プロダクト開発中。プロダクトマネージャー ゼミ運営チーム

田爪:また、ゼミ長と運営チームで半期ごとに面談を行っています。期初に立てた活動計画の進捗、ゼミの様子や研究への意欲などを確認します。ゼミのゴールがもし途中でブレていたら再度一緒に見直し案を考え、活動休止状態だったりこれ以上の成果が見込めない場合には投資をストップ、ゼミのクローズも判断していきます。

また、運営チームから研究成果のアウトプット先や社内外カンファレンスへの参加や登壇を促すこともあります。やるからには大きくチャレンジもしてほしい。

もちろんゼミ生にも活躍を期待していますので、ゼミや会社に対し貢献が大きく活躍している場合は業務と同様にプラス評価となるよう、上長に向けて運営チームからゼミ活動のフィードバックを行っています。

渡邉:ゼミに対し裁量は与えつつも、気軽にゼミを立ち上げることができないような仕組みにすることによって、今では洗練されたゼミが開催されていると思います。

※1年のサイクルでゼミ広報誌を作成。各ゼミの成果・活動報告を行っている。現在は13のゼミが活動中。
※1年のサイクルでゼミ広報誌を作成。各ゼミの成果・活動報告を行っている。現在は13のゼミが活動中。

志を同じくする少数精鋭のメンバー構成が、自立した活動を生む

実際にゼミ長、ゼミ生として現在活動されている方にお話しをお聞きしていきます。

スキルアップゼミが始まってから、長くゼミ長として活動されていらっしゃいますが、良い点や課題など教えてください。
 
横道:僕は今のゼミのテーマが「エンジニアリング・マネジメント」なので、こういった取り組み自体を検証することがあるのですが、本当に良い制度だな、と最近改めて再認識していたところです。

ゼミ長もゼミ生も立候補制であり、成果の宣言と決裁の元、十分な権限も与えられる制度のため、自然と内発的動機を元にしたコミットメントが引き出されています。
トップダウンな要素はなく、その代わりに運営の方々からのゼミ長へのアドバイスや、成果の発信のサポートがあったり、うまく持続させるための取り組みがあるのも素晴らしいです。

僕は 3 年近くゼミ長をやっていますが、今の仕事の成果の80%くらいは、志を同じくするゼミ生と切磋琢磨しながら、ゼミに取り組み続けてきたおかげだと思っています。
取り組んできたテーマが「開発プロセス」であったので、仕事にすぐ活かせたという点も大きいですが。
果たして投資に見合う成果が出せているのだろうか、と常に悩み続けて苦しかった時期もありましたが、そういった自身へのプレッシャーが自分なりの最善を生む結果となり、今の自分の糧になっています。

 横道 稔: AI Messenger 開発責任者 
「エンジニアリング・マネジメントゼミ」ゼミ長 前期は開発プロセスのゼミを実施
横道 稔:AI Messenger 開発責任者

「エンジニアリング・マネジメントゼミ」ゼミ長 前期は開発プロセスのゼミを実施

黒崎:僕は自律分散ゼミのゼミ長を神田から引き継ぎました。ゼミ長になることでマネジメント等をして大変になるかと思っていたのですが、全くそんなことはありませんでした。勉強会と違い、教えてもらいたい人ではなく自分でやりたい人が集まっているので、各自が自立して共通の課題に対して取り組んでいます。少数精鋭のメンバーで開設されているのがポイントだと思います。

以前所属していたIoTゼミでは技術成長の早さを目の当りにしました。ゼミ開始当初は、安価で小型かつ電池駆動ができるセンサーモジュールが広く売られていなかったので自作する価値がありましたが、その半年後には同様な量産品が安価に手に入るようになっていました。市場も急成長しているので技術の成長もとても早いなというのを体感したことを覚えています。

僕はゼミにおいてハードウェアをよく扱っていて、通常業務ではなかなか触れる事のない領域にチャレンジしています。まさかサイバーエージェントに入社してマイコンやデジタル回路、はんだ付けのスキルが生きるとは思ってもいませんでした(笑)
自律分散ゼミのテーマはドローンを赤外線カメラでトラッキングし、自律飛行させることなので、他のゼミと違って実験をするためにはある程度の場所の確保も必要です。こういった点でも会社のリソースを使わせてもらって活動できるのはゼミ制度があるおかげですね。

 黒崎 優太: Dynalyst  サーバーサイドエンジニア 
「自律分散ゼミ」ゼミ長 ドローンや自律走行ロボットを使い活動中
黒崎 優太:Dynalyst サーバーサイドエンジニア

「自律分散ゼミ」ゼミ長 ドローンや自律走行ロボットを使い活動中

社内ならではのデータがある。研究者だからこそ、面白いデータがあるなら料理してみたい。

他部署から異動後、すぐにデータ分析をテーマとするゼミ長に立候補。チャレンジしようと思った理由は何ですか?

大田:前の部署ではサーバーサイドエンジニアとして様々なサービスの基盤システム構築に携わっていました。業務とあまり関連のない分野に関する勉強会などの発足も少なくはなかったのですが、やはり足元の業務や突発的な対応に時間を取られ、その流れで勉強会が自然消滅してしまう経験もしています。

今回、ゼミ長に立候補して「画像・会話データゼミ」を発足したことについては、同じく研究分析活動を業務としているメンバーと事前に話していたことにより、現在の業務ともリンクした研究ができる確証があり、うまく活かせばゼミも業務もお互いに相乗効果を起こせるのではないかと考えたことが大きいです。また、ゼミをきっかけに他部署と会話データについて議論する機会を設けたのですが、それは全社的に見ても面白いつながりを生むきっかけになったと思っています。

ゼミの活動でメンバーにお願いしていることは、活動した日にはちゃんと専用の Wiki に記録を残してほしいということのみです。ゼミ生の人数が比較的多く、研究テーマや活動的に自分で考え結果を出していく作業が主のため、オンラインかつ非同期にメンバーの状況が把握できる場を設けました。そのままゼミの成果報告にも繋がるのでとても重宝していますし、メンバーの活動状況に応じたフォローもできていると感じています。AWSやGCPなど実験環境のリソースに予算を充てられるのも嬉しいですね。いい研究結果を出さねば、という気になります。

 大田 和寛: AI Lab リサーチャー 
広告クリエイティブの分析と自動生成を研究。「画像・会話データゼミ」ゼミ長
大田 和寛:AI Lab リサーチャー

広告クリエイティブの分析と自動生成を研究。「画像・会話データゼミ」ゼミ長

社内ならではのデータがある。研究者だからこそ、面白いデータがあるなら料理してみたい。

大学の助教という異業種からの転職、入社後すぐにスキルアップゼミに参加してみたきっかけはなんですか?実際に活動されてどうでしょうか。

山口:私は前職が大学だったので、スキルアップゼミという仕組み自体にはとても親和感がありました。新しい課題について興味を持ったグループで挑戦するというのは研究室での研究活動にもよく見られるものです。社内で業務時間を使って自身のスキルアップと探究心を満たせる機会があるというのは素晴らしいことだと思いますし、大学での研究経験のある人にはすっと入って違和感なく取り組める制度だと思います。今回はたまたま業務も同じチームで隣席の大田さんが自身のこれまでの研究に関連の深いゼミを主催するというので気軽に入ってみることにしました。

今回参加したゼミは画像と会話データの分析に取り組むものです。社内限定のデータを取り扱っていますが、学術研究では目にかかることのない生の大規模データにワクワクしますね。もともと大学にいた時もWebのデータを勝手にクロールして分析していたことが多かったのですが、収集の手間をさほどかけずに分析が始められる社内ゼミ環境というのはとてもやりやすいです。日本では機械学習に使える大規模データはなかなか入手できないので、今回のゼミのデータはどうやって料理しようかと想像力を掻き立てられます。画像データって眺めているだけでも楽しいものなんですが、そこに自分なりの分析手段で味付けをして新しい知見を導き出すのはもっと楽しい作業ですね。いい素材データがあったら料理してみたくなるのが研究者なんですね。

社内には色々なデータが転がっていますし、ゼミで確立した分析レシピを今後プロダクトにも応用できたら素晴らしいと思っています。

 山口 光太: AI Lab リサーチャー 
機械学習を用いた画像の認識・理解技術を専門に研究。2017年まで東北大学助教
山口 光太:AI Lab リサーチャー

機械学習を用いた画像の認識・理解技術を専門に研究。2017年まで東北大学助教

テクノロジーに触れることは面白い。この世界の住人になっておくことが大事。

ビジネス職・エンジニアの枠を超えて、エンジニアリング領域のゼミに果敢に挑戦していますが、実際に活動がはじまってどう感じていますか?ビジネス職が故に大変なことはありますか?

吉田:事業を創っていく上でプラスになるスキルを学ぶ機会があるのであれば、それを利用しない手はない。僕がエンジニアリング領域のゼミへの参加を決めたのは、そのような思いからでした。

現在、「アドテク史」「データソリューションゼミ」「実践機械学習ゼミ」に参加しています。たとえば、実践機械学習ゼミでは、各自が持ち寄った課題や研究テーマに取り組みつつ、分からないところがあれば、ゼミ長の谷口くん中心にゼミメンバー同士でアドバイスを出し合う形で進めています。17新卒のメンバーも複数人加わり、和気あいあいとした雰囲気です。

ゼミを通して感じるのは、まず、純粋にテクノロジーに触れることは面白いということです。もちろん、分からないことだらけで、高校数学の復習から入る部分もあったりと大変です。それでも、Python で類似度判定のコードを書いてみたり、Tensorflow のデモを動かしてみたり、実際に技術に触れてみると、シンプルに「これはすごいな!」と、子どものように興奮している自分がいました。

また、こうして優秀なエンジニアメンバーと一緒に活動していること自体が、僕にとっては何よりの学びとなっています。どのような領域でも、深く知りたければ、まず「その世界の住人になること」が大事だと思っているのですが、ゼミへの参加はその住人になる第一歩としてぴったりかもしれません。「こういう技術すごいね」といった話を浴びていると自然とアンテナが立ってくるものです。

たしかに、ビジネス職がエンジニアリング領域のゼミに参加することは、まだ前例も少なくハードルが高い面もあるかもしれません。ただ、1人で学ぼうと思ってもそう簡単にできることではないですし、日々の業務をこなす中で時間をとろうとしても継続できる人は限られるでしょう。だからこそのゼミです。今後、ビジネスサイドから、テクノロジーへのチャレンジが少しずつでも増えてきたらいいなと思っています。

 吉田 基紀: 新規事業開発室 事業責任者 
新規広告プロダクトの立ち上げを担当。3つのゼミに参加中。
吉田 基紀:新規事業開発室 事業責任者

新規広告プロダクトの立ち上げを担当。3つのゼミに参加中。

やるからには成果を出したい。
アドテクスキルアップゼミから組織の競争力へ。

今後、スキルアップゼミを通して実現したいことはありますか?

黒崎:アドテクスタジオの競争力になり得る成果を出すということもそうですが、シンプルに外部発表した時にインパクトのある成果を出したいですね。「アドテクスタジオのエンジニアってこんなこともできるのか!やっぱ技術力が尖っている人が集まってるね!」と言われるのを目指しています。

大田:メンバーへは文字通りスキルアップも念頭において活動してください、と伝えてあります。とはいえ、ゼミで取り組んでいる分野は流行りの人工知能に直結しますし、やはり対外・社内向けに何らかの研究成果をお伝えしてはいきたいですね。現状取り扱っているデータの公開に関するポリシーも定めていかなくてはなりませんが、学術目線では論文、エンジニアリング目線では OSS プロダクトなどで成果を残していければと思っています。

山口:それなりに時間を使って活動する以上、きちんと成果を出したいですよね。できればゼミ発で学術論文も出していきたい。社外向けの成果の公開は権利関係がネックになるのですが、ここはできる限りオープンにできるように努力したいと思っています。

横道:今は「エンジニアリング・マネジメント」をテーマとして、 Management 3.0 などを学び、実践しているので、「次世代的なエンジニアリング・マネジメントといえば CA のアドテクスタジオだよね」と社外からいってもらえるレベルまで、成果を伴った実践をしていきたいと思っています。

吉田:ゼミで学んだことを、事業成果に結びつけていければと思います。ビジネスの職の人間としては、数字を作ってなんぼの世界なので、そこにつなげていきたいです。
また、「ビジネス職がテクノロジーに詳しくなるためにはどうすればよいのか?」という課題は認識しているので、そこに対するソリューションとして何かできたらいいなとは思っています。

好奇心がスキルの向上へ

田爪:「アドテクスキルアップゼミ」の仕組みをつかって新しい技術にチャレンジするメンバーが本当に増えました。自身のスキルアップとゼミとしての成果、事業貢献をワンセットで考えることができる文化へと成長し根付いてきていると実感しています。
投資は期待。その期待に応えようとチャレンジするメンバーの後押しをしていきたいと思っているので、好奇心がスキル向上へとつながる制度として改善と工夫を続けていきたいと思っています。

スキルアップゼミでの研究や活動をきっかけに、新しいプロダクトが生まれたり未来につながる研究成果がでたらとても嬉しいです。

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