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Interview

経営×エンジニア
~アプリボットで生まれた「技術ボード」~

今回は、子会社の経営ボードに参加していたエンジニアのエピソードを通して、エンジニアと組織のシンクロの大切さをお伝えします。経営目線のエンジニアが増えていくためには / エンジニア組織をつくる際のポイント / 職種間の摩擦に対してどうアプローチするかなど。組織が成長する過程でぶつかる課題について、CA8兼アプリボット代表取締役社長の浮田とアプリボットの技術ボード陣に迫ってみました。

Member

  • 浮田 光樹 (ウキタ コウキ)
    株式会社サイバーエージェント:取締役
    株式会社アプリボット:代表取締役社長
    株式会社VR Agent:代表取締役

    1986年生まれ。大学院でロボット工学研究後、(株)サイバーエージェントに入社。スマートフォンアプリを企画・開発する子会社(株)アプリボットの立ち上げを担い、2011年入社後取締役として開発部門を統括。2014年同社代表取締役社長、2015年(株)サイバーエージェント執行役員、2016年(株)サイバーエージェント取締役就任。

  • 幸津川 康徳 (サヅカワ ヤスノリ)
    2011年からサイバーエージェントで、iOSネイティブアプリ、Unity、Cocos2d-xとクライアント側のエンジニアリーダーやプロジェクトマネージャーとしてアプリ開発に従事。2014年からアプリボットに所属し、2015年10月~2016年9月に経営ボードに参加。2017年4月~経営ボードに再任。

  • 岩本 拓也 (イワモト タクヤ)
    2010年からサイバーエージェントで、サーバーサイドのリーダーや責任者、プロジェクト責任者としてサービス開発に従事。2013年からアプリボットに所属し、エンジニアのマネジメント体制の基盤をつくる。2015年10月~2016年3月に経営ボードに参加。

  • 竹端 尚人 (タケハタ ナオト)
    2011年からサイバーエージェントのサービス開発にサーバーエンジニアとして従事。2014年からアプリボットに所属し、サーバーエンジニアのリーダー、運用タイトルのエンジニア責任者を務める。2015年10月~2016年3月に経営ボードに参加。

経営ボードにエンジニアをアサイン

浮田:アプリボットには、役員5人に3~4人をプラスした8~9人で経営ボードを編成し、経営戦略や組織課題を議論する場があります。

そこにエンジニアの岩本、幸津川、竹端の3人が入っていた時期がありました。現在は3人とも経営ボードを抜けていて、技術ボードというエンジニアの横軸組織を運営し、技術的な組織課題や体制について、スピード感をもって進めてもらっています。

経営ボードにエンジニアが入ったことで、組織の何が変わりましたか?

浮田:3人が経営ボードに入ったことで、技術に専門性を持っていながら、経営のことを一緒に考えていける組織をつくれるようになりました。経営に参加するには、目線や考え方がシンクロすることが非常に大事だと思っているのですが、その点、この3人は全く心配がいらないくらいシンクロしてくれました。経営ボードで得た経験を活かし、この3人を中心に運営する「技術ボード」では、経営視点での技術に特化した課題や、技術者視点での組織課題に向き合ってくれています。

幸津川:技術ボードはこの3人プラス3人の6人で構成されていて、半年のサイクルでメンバーを入れ替えています。技術ボードでは、大小様々な議題が話し合われているのですが、定例ミーティングには現場をみている役員の黒岩と佐野に入ってもらって、その場で大きな決議もできる運用にしています。

浮田が「スピード感もって進んでいる」と言っていましたね。

幸津川:自分たち3人が経営ボードに参加していたことで、お互いの信頼が深まったことと、役員がMTGの場に参加して、その場で決議するというサイクルが上手く回っているのが要因だと思います。

例えば、どんな人を何人採用すべきかや、技術広報の方針、横軸で開催するMTGに参加してもらうメンバーを誰にするか等、エンジニアに関係することのほとんどは技術ボードで決めることができます。もちろん各プロジェクトの状況や本人の意向を加味した上で、ですが。

メンバーが経営目線とシンクロするためのコツを教えてください。

浮田:大事なのは(経営陣が)情報をメンバーにしっかり落とすことです。アプリボットはそこを徹底しているつもりなので、変に物事を隠す必要もなく、その経緯や背景なども含めて、全部知っていてもらいたいと思っています。

情報を知らなければ当事者意識はもてませんし、経営とシンクロもできません。そもそも情報を知らないと、動くべきかどうかの判断ができません。経営に巻き込むメンバーとの間で、情報格差をなくすことがポイントだと思っています。

役割や職種によって情報の落とし方に違いがあるのでしょうか。

浮田:数字や事業戦略、撤退や厳しい決断をしなくてはいけない事等についても、ほぼ全部の情報を落としています。やってしまいがちなのは、何か決めた後に「徐々に落としていこう」とか「一旦これはここで黙っていて」みたいな事です。もちろん、それをゼロにはできませんが、限りなくゼロに近くして良いと思っています。

エンジニアが経営ボードに入ったとして、そのエンジニアに技術に関わらない情報は落とす必要はないと考えるべきではありません。ポジティブなことも、ネガティブなことも会社で起こっている事をフラットに共有することが大事だと思っています。

僕も一応、元エンジニアの端くれとして思うのは、サイバーエージェントに限らず、エンジニアをエンジニアとして扱い過ぎているのでないかということです。エンジニアである前に1人の人間だし、1人の会社を支えるメンバーなので、情報の取捨選択をせずに、全て落とすべきだと思っています。

メンバーとして参加する側としてはどうでしょうか。

幸津川:自分の意見を通したいと思うよりも、まずは率直に自分の意見をぶつけることが大事だと思っています。そうすることで、様々な角度からの視点がある、と個人としても組織としても気づくことができます。私はどちらかというと物申すタイプなので、「空気を読まずに意見を言ってくれて助かる」と言われたりするのですが、さすがに8対1くらいで支持を得られなさそうな意見を言う時は勇気がいりますし、緊張します(笑)。ですが、自分の意見を通すことがゴールではないので、自分しか言わなさそうなことは、積極的に発言しようと意識しています。

エンジニア組織の立ち上げと成果

技術ボードを立ち上げるにあたって、経営ボードの経験はどのように活かされたのでしょうか?

岩本:技術ボードでは、エンジニア視点で建設的な意見を言える、と判断したメンバーを集めました。そのエンジニア達で何が大事なのか、というところから議論をしました。私達3人が経営に近い考えを共有できたことで、自然と議論の方向は、経営に寄り添う形になったと思っています。

浮田:技術の組織というのは、今この業界だと、どこの会社でもつくられていると思います。ですが、経営と距離があったり、「これがエンジニア側の意見です」と、意見を一方的に投げられるだけだったりとかが、ありがちですよね。もしくは、エンジニア組織に対して、お伺いを立てるみたいになるパターンもあります。

そのような組織になると、職種間の摩擦がどんどん強くなっていきますが、そうならないために、アプリボットの技術ボードはこの職種間の摩擦問題にも向き合ってくれています。

職種間の摩擦にはどう対処したら良いのでしょうか?

浮田:エンジニア, デザイナー, プランナーなどの職種間の摩擦と、そこへの相互理解というのは、永遠のテーマだと思っています。多様性を受け入れる文化だったり、相互理解に対して高い視点を持ってどの職種からも取り組んでいく文化、というのは絶対につくる必要があると思っています。

岩本:特に、プランナーとエンジニアは衝突しやすいですよね。開発が佳境を迎えてくると、職種間の摩擦は多くなりがちです。摩擦を減らすためには、本音の対話が必要です。

竹端:エンジニアがプランナーに、率直に言ったことが感謝される事もあります。
例えば、「どうしてもこのスケジュールでやりたい」と言われた時に、「このスケジュールだとそもそも間に合わないし、品質も悪くなります」と言ったとします。その結果「なぜスケジュールが大事なのか、仕様変更の余地がどれだけあるのか」等、本質に向き合って対話をすることで、チームとしての理想のゴールを話すことができます。
このような対話ができるチームは、お互いにリスペクトが生まれ、上手く回るようになると思います。

ただ、エンジニアの声が変に強くなってしまい、プランナーが萎縮して何も言わなくなってしまうと逆に良くないので、気を付けています。

浮田:技術ボードはそういう雰囲気とかを上手くキャッチアップして、経営にフィードバックしてくれています。

組織は当然100点を目指すべきですが、100点でない今を嘆いていても仕方がありません。
大事なのは、現状からどれだけ点数を上げていけるかです。理想と現実のギャップをどうやって埋めていくかというアプローチが求められます。

その点でもこの3人は、職種を超えて100点に近づけていこうとしてくれているので、本当に感謝しています。

エンジニアが抜擢されるためのポイント

エンジニアがボードメンバーとして抜擢されるためのポイントはありますか?

浮田:ボードメンバーは、その時に経営に巻き込みたいメンバーを選んでいます。この3人の時も、良いエンジニアだから経営ボードに入れたというわけではなく、そのフェーズでの人選を考えた時に、自然と頭に浮かんだから入れました。
(彼らは)話し方が違うんですよね。「エンジニアとして言わせていただきますけれども」といった第三者的な言い方がないところとか。

「このプロジェクトを本気で良くしたい、この組織を今後もっと強くしたい」と思って普段から発言していたのが印象的です。本気でそう思っているのか、自分都合で何かをしたい口実として言っているだけなのかは、話していれば必ず伝わってきます。

エンジニアとしての優秀さだけでなく、組織貢献がかなり重要視されているように感じられますが、アプリボットでのエンジニアの評価ってどうしているのですか?

幸津川:アプリボットでは評価の基準として、技術だけで評価することは一切やっていません。職種に限らず、必ず事業成果と組織貢献という2軸で評価しているので、技術力を活かしてどれだけチームや組織に貢献できたかが評価の対象になります。

竹端:他にも自主性や主体性など、自分から積極的に動く姿勢を評価しています。その辺りは「Applibot Engineer Vison」としてエンジニアとしての働き方、考え方を定義しています。

もし明日、自分がボードとして呼ばれたら

もし明日、自分がボードとして選ばれたら、まずどうすれば良いのでしょうか。みなさんのアドバイスを聞かせてください。

岩本:技術ボードでは、新しく入ったメンバーに必ず言っているのが「間違っていてもいいので、意見を言ってほしい」ということです。
なぜかというと、議題に対して、様々な視点で考えることが大切だからです。

竹端:異なる世代や技術領域、それぞれの目線から出る意見というのは、会社で起こっている事象の現れなので、その発言自体が貴重です。ボードの会議ではそういう様々な意見を求めています。

幸津川:自分が適任かどうかは、選ばれた時点で気にする必要はありません。ボードを経験したメンバーが、「自分はあまり役に立てませんでした、もっとがんばります」と話してくれることがあるのですが、「いや、でもあの場で意見を言っていたじゃん、あれが欲しかったから、あれでいいんだよ」と伝えたりします。

エンジニア組織の成功の秘訣とは

幸津川:技術的に何かすごいことをやっていくというよりは、当たり前のことを当たり前にやる、という文化が大事だと思っています。

岩本:アプリボットも昔からそれが出来ているわけではありませんでした。当時はエンジニアはただの作業者という意識が強く、私が異動して最初にやったのが、その意識改革です。

竹端:その後、技術戦略室というエンジニアの組織ができたり、横軸の動きが少しずつ始まりましたね。やはりエンジニア同士で集まると話が弾むので、少しずつ組織について話し、向き合う時間が増えていきました。

浮田:アプリボットでこの技術ボードが良い方向に向かっているのは、声を挙げる人たちがいて、声を聞いてくれる人たちが会社にいるからだと思っています。声を挙げずにためらっている人は勇気を出して声を挙げて欲しいですし、その声を聞く人はそれを真摯に受け止め対話するべきです。
アプリボットやSGE([Next] Smartphone Game & Entertainment)だけでなくサイバーエージェント全体でこういった文化が根付くと、どんどん良い組織が生まれ、活躍できる人が増えていくと思います。

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