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REBORN, CyberAgent

サイバーエージェントのロゴが、新しく生まれ変わる

2015年、初春。社員はおろか役員ですら、詳細を知り得ないという超厳戒体制の中で、着々とブランディング・プロジェクトは進行されていた。

ファッション界で活躍しているデザイナーNIGO®氏が、企業のロゴを制作することは異例といえよう。

藤田晋の統制の元で進行中のプロジェクトの真相を解き明かすべく、インタビューを慣行。

創業から18年目を迎えてもなお、ベンチャー精神を失わない貪欲な成長へのこだわりを象徴する、

新しいロゴマークの意味。そして、サイバーエージェントが焦点を定めて突き進む、新時代の未来像に迫る。

2015年、初春。社員はおろか役員ですら、詳細を知り得ないという超厳戒体制の中で、着々とブランディング・プロジェクトは進行されていた。ファッション界で活躍しているデザイナーNIGO®氏が、企業のロゴを制作することは異例といえよう。藤田晋の統制の元で進行中のプロジェクトの真相を解き明かすべく、インタビューを慣行。創業から18年目を迎えてもなお、ベンチャー精神を失わない貪欲な成長へのこだわりを象徴する、新しいロゴマークの意味。そして、サイバーエージェントが焦点を定めて突き進む、新時代の未来像に迫る。

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クリエイティブで勝負する覚悟を、社内外に示したかった。

なぜ、ロゴを新しく作り替えたのでしょうか。

藤田 今、インターネットの歴史で初めて、競争の主戦場がクリエイティブになっています。以前までPCやガラケーでは、検索ポータルサイトのように、むしろシンプルなデザインがよしとされていて、クリエイティブは求められなかった。でも、スマートフォンが普及してからInstagramやLINEのスタンプ、ゲームのイラストひとつとっても、クオリティの高いクリエイティブが問われる時代になりました。そうした流れの中で、当社もクリエイティブを強化する必然性が出てきたのです。誕生から10年以上経っている「Ameba」のロゴも、10年前と同じままでは古いんじゃないかと。企業として、前進する姿勢を見せるためにも、企業ロゴごと変えてしまおうということで、今回のブランディング・プロジェクトを立ち上げました。

NIGO®氏を抜擢された理由は。

藤田 世界で活躍するようなクリエイターにお願いしたいと思っていました。当社のクリエイター陣が挙げた候補の中に、以前より友人としてお付き合いのあるNIGO®さんが入っていて「いいじゃん!」とすぐに依頼しました。私はヒップホップが好きなので、いかにNIGO®さんが世界水準であるかを知っています。当社もこれから世界で競争しなくてはいけないから、これはもうNIGO®さんしかいないと思ったのです。NIGO®さんに依頼したタイミングも絶妙でした。

クリエイティブで勝負する覚悟を、社内外に示したかった。

今回のプロジェクトを依頼されたときの気持ちは。

NIGO® 「ぜひぜひ!」という感じでした(笑)。服のデザインしかやっていないと思われがちですけど、「AmebaOwnd」を見ていただけると分かりやすいのですが、アパレル以外もいろいろとデザインしています。僕もちょうど、ひとつのブランドが終わって、外の仕事を取るようになったタイミングでもありました。Macを使い始めてもう20数年になるんですけど、Appleが出てきてから、人はデザインを意識するようになりましたよね。特にiPhoneはカッコイイと、みんなの間でも定着しました。でも、日本のデザインは、まだまだこれから。日々の生活の中で、いいデザインに囲まれて生活していれば、それが自然と身についてくると思います。だから、今回、次の世代や若い人たちに向けて発信できるという、すごくいいチャンスをいただいたなと思っています。

藤田 Appleは、今現在、世界最強のクリエイティブ企業ですよね。スティーブ・ジョブズのようにクリエイティブに理解が深い経営者がトップに立つことで、強い経営が成り立つと 、世界のAppleによって証明されています。私もそうした意識を上げていかなければと思っています。当社のクリエイティブレベルも以前より格段に上がってきていると自負していますが、それでもまだまだ足りない。もっと新しいこと、新鮮なことをやっていかなくてはいけないと思います。

世界へ自由に転がっていく、印象的なデザインになった。

新しいロゴは、どのように制作されたのでしょう。

NIGO® 僕も自分のキャリアとしても次のレベルを見せたかったし、見せないといけなかった。そうした「次へ」という想いが、藤田さんの想いと合致したというか。デザインしたロゴは、どうにでも転がるようにできていて、「Ameba」のいろいろなサービスでも対応します。今後、僕から「こういうことをやっても面白いんじゃないですか?」って、いろいろ提案できる面白さもある。そういう意味ではニュートラルなデザインなんですけど、印象に残るものになりました。

藤田 最初に見たときに「じわじわ来る」と感じました。元々、「Ameba」には“形を変えて柔軟に環境に適応しながら大きくなっていこう”という意味を込めています。それにピッタリですね。まだ社員にも役員にも見せていないのですが、みんな気に入ってくれると思います。

NIGO® 旧ロゴのデザインが、けっこう強かったので、イメージをあまりにも変えてしまうと、僕的にもちょっと怖いところもありました。色など、残すところは残しつつも、まったく違うものができたと思います。今って、SNSなどで、誰もが評価を言えるので、そういう緊張感の中で「よくなったね」と言われるものにしたいなという想いは強かったです。

藤田 …実は、無難な着地になると予想していました。ここまで積み上げてきたものも大きいので、そう変えられないですから。それで、最初に見せてもらったものは、言葉は悪いですが、やっぱり無難なものだったので「まあ、このへんですよね」と、一応OKを出したつもりでした。そしたらNIGO®さんは「いや、ちょっと考えさせて」と、持って帰ったんです。「社長にOKをもらえばいい」という姿勢ではないところに、本物のプロフェッショナルだと思いました。私のOKがとれるかではなく、このブランドが世界に広がっていくイメージを大切にされているんだなと。だから、フィックスするまでのやりとりの中で「NIGO®さん、僕の返事を聞いてないのかな?」って思うことも…。いつフィックスしたのかも、よくわからなかった(笑)。

NIGO® 極端な話、他の仕事をしているときでも頭の片隅ではロゴのことを考えたりしていて、ぎりぎりまで何がベストか考えて最後に一気に絞り出す。いつも、そんなやり方をしています。

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過去にすがることなく、目線を上げていきたい。

藤田 今回NIGO®さんにクリエイティブディレクターになってもらうことで、社内の視点を上げたいと思っています。アウトプットの判断基準で「これでは普通すぎる」とか、「このレベルでは出せない」というこだわりを強くしたい。「最後まで、めいっぱいこだわり続ける」という姿勢など、目線を上げる効果はすでに発生しています。

NIGO® できあがったときに「きたー!」っていう感じがありました。ロゴに込めた想いが“伝わるか伝わらないか”って、すごく大切なんです。僕がいいと思っているものを、いいと思ってもらえないケースもたくさんあるので。それが藤田さんに伝わったのでとても嬉しかったし、「さすが!藤田社長」と思いました。

藤田 構築したものを捨てる潔さ、気合いを感じました。そういう姿勢を経営者が見せることで、社員も覚悟が決まる。社内に対して「過去にすがらせない」という厳しさを示したつもりです。今回、NIGO®さんからもらった新しいロゴは、完全に期待を大きく上回るもので、私としては大満足です。他のデザイナーに依頼していたら、よくある企業ロゴっぽくなっていたと思います。このロゴにできる会社はなかなかないですよ。動物をロゴに使っている会社はありますけど、並べてみてもインパクトが違う。

ロゴマークに込められたメッセージはありますか。

NIGO® 特にないですね(笑)。そういう意味でもニュートラルです。できあがったものを投げて、それをほしいと思った人が受け取るっていう。受け手が望むデザインやクリエイティブは退屈だし簡単です。よい意味で裏切り続けていくことも大切だと思います。

絶妙なタイミングで、勝負に出た。

やはり勝負師としての勘で、タイミングを見極めたような感じがします。

藤田 はい、私が麻雀が強いことが判明して、勝負師と言われることが増えましたが(笑)。業績が好調なときこそ、過去にすがることなく次の手を打つべきです。どんどん環境が変化していく時代なので、平気で過去のものを捨てる気概を持っていないといけない。

NIGO® ちょうどひとりで活動を始めたタイミングでお声がけいただいて。自分のホームページを作ろうかと迷っていたんですけど、今回の立ち上げのタイミングで「AmebaOwnd」に参加できたので、今はとても楽しみながら、仕事をやらせていただいています。やっぱり作り手が楽しくないと、ぜんぜん伝わらないと思います。いかにいい意味で遊べちゃうか、みたいなところが、成功に繋がっていく気がするんです。仕事として関わるのは初めてのジャンルなので、今はちょっと精一杯というか、いっぱいいっぱいでやってますけど(笑)。大変ですがとても楽しいので、リラックスしてやれています。

新しいAmebaが、世界を彩っていく。

新しいロゴにも驚きましたが、今後も何か予定されていますか。

藤田 先ほど話に出た「AmebaOwnd」や「AWA(音楽ストリーミングサービス)」など、かなりクリエイティブにこだわったサービスを開発しています。その他にも映像・音楽の分野で多くの新しいサービスを仕込んでいるところです。映像も音楽もNIGO®さんの得意分野ですよね。

NIGO® ネットってグローバルなので、映像・音楽のサービスで、カルチャーを発信できるといいなと考えています。

藤田 あと、NIGO®さんと一緒にやるからには、やはりスニーカーなどのグッズもお願いしたいと思っています。希少性を持たせたいので、すっごい出し惜しみをして、本当に頑張った社員へのインセンティブにしようかな(笑)。
今回、クリエイティブに注力し、過去と決別するという意志表示をしました。「ロゴが変わっただけじゃん」と言われないように、たくさんの新しい挑戦をしなければいけない。新しい「Ameba」に期待してほしいです。

Text by Keiji Yahata / Photography by Erina Fujiwara

Concept Movie

NIGO®クリエイティブ・ディレクター

2011年に『A BATHING APE®』を売却。その後、クリエイションから離れ、現在はフリーランスとして多岐に渡るジャンルで活躍中。自身のブランド「HUMAN MADE」をはじめ、UNIQLOのTシャツブランド「UT」や「adidas Original by NIGO」「NIGOLD by UNITED ARROWS」など、多数のアパレルブランドのプロデュースをしている。さらに「CARRY UP®」「2-5CAFE®」など飲食店や、「TERIYAKI BOYZ®」「BILLIE IDLE®」といった音楽界など、ファッション以外のプロデュースも得意とする。また、ファレル・ウイリアムスをはじめ、海外アーティストとの親交も深く、その動向は常に世界中のミュージックシーンから注目されている。藤田晋とは旧知の間柄であり、今回のサイバーエージェントが取り組む「コーポレート ブランディング」を牽引するクリエイティブ・ディレクターに起用された。

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