プレスリリース

AI Lab、コンピュータグラフィックス分野のトップカンファレンス「SIGGRAPH Asia 2025」にて論文採択 ーGaussian Splattingを用いた3Dメッシュモデル復元手法を提案ー

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株式会社サイバーエージェント(本社:東京都渋谷区、代表取締役:藤田晋、東証プライム市場:証券コード4751)は、AI技術の研究開発組織「AI Lab」において、リサーチインターンシップに参加した周舒意(東京大学博士課程)およびAI Lab研究員の鐘聖沢、高山健志、武富貴史、大石岳史(東京大学准教授)らによる共著論文がコンピュータグラフィックスとインタラクティブ技術に関する国際会議「SIGGRAPH Asia 2025」のTechnical Paper部門にConference Paperとして採択されたことをお知らせいたします。
この度採択された論文は、2025年12月に香港で開催される「SIGGRAPH Asia 2025」で発表予定です。

また、本研究に加えて、SIGGRAPH AsiaのEmergent Technologies部門において、AI Labよりシェルフサイネージの活用方法を広げる仕組みに関する論文「ShelfScape: Interactive Shelf Signage with Tangible Magnetic Attachments」※1、Poster部門において「Generative POPs: Automating Character-Based Promotions on Digital Signage in Retail Stores」※2が採択されており発表を行います。
※1著者 Takuya Iwamoto, Ono Gen, Junichi Akita, Soh Masuko
※2著者  Ono Gen, Takuya Iwamoto,Kojiro Tanaka, Soh Masuko



■背景

「AI Lab」ではマーケティング全般に関わる幅広いAI技術を研究・開発しており、大学・学術機関との産学連携を強化しながら様々な技術課題に取り組んでいます。なかでもコンピュータグラフィックス(CG)技術は様々なクリエイティブ表現が可能であることから、AI LabにおけるCGチームでは、CG技術を活用したクリエイティブ支援技術の研究開発を行っています。特に、実在する物体の3次元モデリングに関する技術は、広告クリエイティブの制作のみでなく、XR向けコンテンツ制作やゲーム制作などへの応用が可能な技術となっています。

論文の概要

「DeMapGS: Simultaneous Mesh Deformation and Surface Attribute Mapping via Gaussian Splatting」
著者:周 舒意(東京大学)・鐘 聖沢・高山 健志・武富貴史(サイバーエージェント AI Lab)・大石岳史(東京大学)



本研究では複数の視点で撮影した画像群から実物体の3Dモデルを復元するために、任意視点の高品質な画像を生成することが可能なGaussian Splatting技術を活用した3D形状復元手法を提案しました。
一般的に、Gaussian Splatingの結果で得られる形状情報は3D点群(点と点との間の接続関係は定義されていないもの)のため、3Dモデリングツールで広く利用されている3Dメッシュモデル(形状を表すメッシュと表面の色などを表すテクスチャで構成)に比べ編集作業が困難であるという問題がありました。また、Gaussian Splatingの結果から3Dメッシュを抽出することも可能な一方、抽出されるメッシュの頂点数などは3D点群の状態によって異なるため、復元された物体間で形状や見た目の補間を行うなどの操作が難しいという問題がありました。

これらの課題に対して、本論文ではベースとなる3Dメッシュ(テンプレートメッシュ)上にGaussian SplattingのGaussianを配置し、撮影された画像に合致するように3Dメッシュの形状とGaussianのパラメータ(色などの見た目に関わるパラメータ)を同時に最適化するアプローチを提案しました。
これにより、復元結果は形状を表す3Dメッシュと表面の色などを表すテクスチャの情報で表現され、既存の3Dモデリングツールによる編集が可能となります。また、共通するテンプレートメッシュを用いることで、3D復元結果同士の形状や見た目を容易に補間できます。
 
■今後
本研究の成果は、実在する物体を自動で3Dモデル化するための基礎技術として多岐にわたる応用が期待されます。具体的には、3DCGを用いたクリエイティブ制作やゲームなどのアセット制作などへの活用により3DCG制作の効率化に貢献します。AI Labは今後も、これらのAI技術を取り入れ、より高品質な広告制作の実現を目指し、研究・開発に努めてまいります。