プレスリリース

住民の行政サービスにおけるパーソナライズ化ニーズは7割超えと高く、また「マイナンバーカード」「コロナ対策」「防災・防犯」分野のオンラインサービス利用意向が高い

~デジタルガバメントへの住民ニーズの鍵を探る  サイバーエージェントと国際大学グローバル・コミュニケーション・センターの共同調査、第2弾~

広告

株式会社サイバーエージェント(本社:東京都渋谷区、代表取締役:藤田晋、東証一部上場:証券コード4751)は官公庁・自治体のDX推進支援を行うデジタルガバメント推進室において、国際大学グローバル・コミュニケーション・センター、レジリエントシティ研究ラボと共に、デジタルガバメントに関する住民ニーズについて、様々な統計分析および機械学習を用いた共同調査研究を実施いたしました。

本調査研究は全3回の発表を予定しており、第1弾の研究発表では、どのような人がデジタルガバメントへのニーズを抱えており、またどのようなことがニーズの高さに影響を与えるのかに関する全体の傾向についてレポートしました。このたび第2弾の研究発表では、住民が利用したいデジタルガバメントのサービスについてレポートします。


■本調査研究の目的と概要

本調査研究は、デジタル技術を用いた暮らしのサービスや、暮らしの理想像に関する住民のニーズの把握を目的として、インターネット調査による結果をもとに様々な統計分析および機械学習を用いて回答傾向の分析を行いました。(分析手法の詳細は後述の注釈※2※4にて説明いたします)
デジタルガバメント(以下、デジガバ)へのニーズは、12の質問(※1)に対する回答項目数の量によって計測し、「自治体との近さ(エンゲージメント)」と「住民が求める暮らしの豊かさ(ウェルビーング)」がデジガバへのニーズに影響を与えるという仮説のもと、今後の日本におけるデジガバが目指すべき姿を描き、サービス利用者である住民のニーズを明らかにします。

今回の調査結果から見えたトピックス

・住民が自治体に望む行政サービスのデジタル化は、オンライン申請や、個人の関心に沿った情報がプッシュ式に提供されることである。特に、必要なタイミングでリアルタイムに情報やサービスが提供されることへのニーズは高い。

・暮らしの状況に応じたサービス(パーソナライズサービス)へのニーズは高い。また、生活に対する満足感や近隣コミュニティとのつながりを感じる人は、行政サービスのパーソナライズ化を求める傾向がある。

・新型コロナウイルス感染症対策のオンラインサービスにおいては、地域の感染状況や診療所の案内、ワクチン接種に対するニーズが高い。

・防災・防犯分野においては、どのオンラインサービスに対するニーズも高い。特に災害時
における避難所の情報など、緊急時に必要な情報提供は強く求められている。

・マイナンバーカードの利用においては、行政手続きの利便性向上に対するニーズが高い。

・マイナンバーカードの利用意向に影響を与える項目と、新型コロナウイルス感染症対策/防災・防犯関連サービスの利用意向に影響を与える項目は、異なる。
 

本調査研究の主なFINDINGS

FINDINGS①:オンライン申請と、個人の関心に合わせたプッシュ型情報提供のニーズは高く、約半数が希望している。

自分が住んでいる自治体と、オンラインでどのようなやりとりをしたいか尋ねたところ、過半数の53.4%が「情報の受け取りだけではなく、オンラインで申請したい」と回答。次いで、「関心のある情報を自動的に受け取りたい」の回答が45.7%と多く、住民一人ひとりの関心にあった情報はプッシュ型で提供されることが求められている(図)。

FINDINGS②:欲しいタイミングでリアルタイムに情報やサービスが提供されることへのニーズが高く、6割以上が希望。

自治体からの情報提供について詳しく尋ねたところ、「リアルタイム情報提供」や「非常事態の情報提供」を求める声が6割以上と特に多く、行政サービスのオンライン申請よりも高いニーズがあることがわかる。
今後のデジガバ推進においては、住民に対する一律の情報発信ではなく、個々人の暮らしの状況や関心事項に応じて、リアルタイム性の高い情報を住民が必要とするタイミングで提供することが重要になる。

FINDINGS③:行政サービスのパーソナライズ化へのニーズは高い。また、生活に対する満足感や近隣コミュニティとのつながりを感じる人は、行政サービスのパーソナライズ化を求める傾向がある。

自分の暮らしの状況に応じたサービス(パーソナライズサービス)があると良いかを聞いたところ、75.4%が「とても良い(26.4%)」「良い(49.0%)」と回答。
また、「とても良い」「良い」の回答に影響を与える項目を、「お住まいの自治体が提供していると思うもの」という質問項目から分析した(※2)ところ、「近隣住民とのつながりやコミュニティづくり」、「いいまちに住んでいる満足感」、「利便性のある行政サービス」という回答が、パーソナライズサービスの利用意向にプラスに影響することが分かった(図)。人とのつながりに積極的な意向を示すオープンな住民が、パーソナライズサービスへのニーズを高く持っていると考えられる。

パーソナライズサービスは、デジガバ関連サービスの中でも今後更なる展開が期待される領域でもある。その推進においては、前回第1弾調査(※3)で判明した、デジガバのニーズを後押しするのは「自治体と住民との”心理的な近さ”である」という結果を踏まえ、自治体と住民との”心理的な近さ”を創りだしながら、生活に対する満足感や、近隣コミュニティとのつながり、助け合いの文化を醸成することが重要な鍵を握るだろう。
 

FINDINGS④:新型コロナウイルス感染症対策のオンラインサービスにおいて、診療所の案内、ワクチン接種、地域の感染情報に対するニーズが過半数と最も高い。

新型コロナウイルス感染症対策について、欲しいオンラインサービスを聞いたところ、「近隣で発熱外来を開設しているクリニックの案内(57.2%)」「ワクチン接種のオンライン予約やオンライン追跡調査(56.0%)」「地域の感染状況をSNSで通知(55.6%)」の回答が過半数で最も多い結果となった。この結果からもパーソナライズサービスへのニーズが高く、リアルタイム性や情報提供のタイミングが重要であることがわかる。

FINDINGS⑤:防災・防犯分野において、すべてのオンラインサービスに対するニーズが高く、特に災害時における避難所の情報など、緊急時に知っておくべき情報提供が強く求められている。

防災・防犯 について、欲しいオンラインサービスを聞いたところ、「災害時における最寄りの避難所の通知(55.7%)」「最寄りの避難所の混雑状況(51.8%)」「ハザードマップ情報のオンライン化(50.6%)」の回答が過半数と最も多い結果となった。
また、8つの回答項目すべてのサービスについて、欲しいと回答する人が多く見受けられたことから、防災・防犯分野におけるオンラインサービスに対する期待が高いことがわかった。

FINDINGS⑥:マイナンバーカードの利用においては、行政手続きの利便性向上に対するニーズが高い。

マイナンバーカードについて、どのような用途であれば利用したいかを聞いたところ、「コンビニでの住民票、印鑑登録証明書など公的証明書の取得(57.3%)」が過半数で、次いで「住民票の住所変更手続きのオンライン申請サービス(49.0%)」「運転免許証、健康保険証として利用(48.6%)」と回答する人が多かった。

FINDINGS⑦:災害系サービスの利用意向にプラスに働く要因は、マイナンバーカードの利用意向には必ずしもプラスに働かない。

「マイナンバーカード」、「コロナ対策」、「防災・防犯」関連のサービスの利用意向(ニーズ)について分析したところ、マイナンバーカードの利用意向に影響を与える「自治体との“近さ”」や「暮らしの理想」の項目は、「コロナ対策」や「防災・防犯」のサービス利用意向に影響する項目とは異なっていることが分かった(※4)。一方で、「防災・防犯」と「コロナ対策」関連サービスのニーズに影響を与える項目には同じ傾向が見られた(図)。
デジガバの推進において、マイナンバーカードの様々な行政サービスでの活用が議論されているが、その導入においては住民ニーズの詳細な把握と、マイナンバーカードの活用目的に対する丁寧な説明が必要だと言える。

図:「マイナンバーカード」「コロナ対策」「防災・防犯」関連のサービス利用意向に影響を与える、「自治体との“近さ”」や「暮らしの理想」に関する項目

※表中の + が利用意向にプラスの影響を与える項目
※ n.s* not.significantの略。有意な影響があるとはいえないことを示す。
※1 デジガバへのニーズを尋ねた12の質問
Q1:オンライン市議さんに相談サービスの利用意向について
Q2:自治体から受け取りたい情報の形態について
Q3:暮らしの状況に応じたサービスの利用意向について
Q4:自治体ホームページの分かりやすさについて
Q5:自治体ホームページの分かりやすい箇所について
Q6:自治体ホームページの分かりにくい箇所について
Q7:自治体ホームページや情報誌で見たことのある情報について
Q8:SNSで行いたい行政サービスの種類について
Q9:LINEを起点としたサービス提供について
Q10:防災防犯のオンラインサービスへのニーズについて
Q11:新型コロナ対策のオンラインサービスへのニーズについて
Q12:マイナンバーカードを使った行政サービスへのニーズについて

※2 パーソナライズサービスへのニーズと、自治体が提供している価値に関する質問(現在お住まいの自治体が提供していると思うもの)項目の因果関係を明らかにするため、線形回帰モデルを用いた統計的因果推論を実施。パーソナライズサービスへのニーズの把握には「あなたの暮らしの状況に応じたサービスがあると良いと思いますか」に対する質問項目の「とても良い」「良い」との回答を用いた。

※3 第1回目調査内容はこちら https://www.cyberagent.co.jp/news/detail/id=26039

※4 「マイナンバーカード」「コロナ対策」「防災・防犯」の関連サービスの各項目に対する利用意向(回答項目の数)と「自治体との近さ」「暮らしの理想」についての質問項目の因果関係を明らかにするため、線形回帰モデルを用いた統計的因果推論を実施。





<共同研究について>

◆共同研究主体
・国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM) レジリエントシティ研究ラボ
https://www.glocom.ac.jp/activities/project/6864
GLOCOMは国際大学付属の研究所として1991年に設立され、学際的日本研究や情報通信技術の発展・普及に根ざした情報社会の研究と実践を活動の中心におき、産官学民の結節の場として、常に新しい社会動向に関する先端研究所であることを目指す研究所です。当ラボは、持続可能な社会や街づくりを目指し、地域課題の解決策の実践や、レジリエントでスマートな街づくりのデザインについて、デジタル活用の観点から研究しています。
研究代表者:櫻井美穂子
国際大学グローバル・コミュニケーション・センター 准教授/レジリエントシティ研究ラボ代表
ノルウェーにあるUniversity of AgderのDepartment of Information Systems准教授を経て2018年より現職。専門は経営情報システム学。スマートシティ、DX、レジリエンス、サスティナビリティなどをキーワードに自治体や地域コミュニティにおけるデジタル活用について研究している。Hawaii International Conference on System Sciences (2016)およびITU Kaleidoscope academic conference (2013)にて最優秀論文賞受賞。実践研究活動として、ヨーロッパ7か国の大学や自治体が参加するEU Horizon2020「Smart Mature Resilience」プロジェクトに参画。日本では、自治体や企業との協働による「災害時コミュニケーションを促進するICT利活用に関する首長研究会」や「DX街づくり/ビジネスデザイン勉強会」を主宰。


・株式会社サイバーエージェント デジタルガバメント推進室 https://www.cyberagent.co.jp/news/detail/id=24592
官公庁・自治体向けに、行政の推進するデジタル化支援全般を行う専門組織です。


<調査概要>

◆ヒアリング調査
アンケート調査票の設計にあたり、有意抽出の20代~50代の男女8名を対象としたヒアリング調査を2020年12月~2021年1月に実施。
◆インターネットパネル調査
・調査主体:株式会社サイバーエージェント、国際大学グローバル・コミュニケーション・センター
・調査委託先:株式会社マクロミル
・調査時期:2021年2月22日~2月24日
・調査方法:インターネットリサーチ
・調査対象:全国15歳~89歳 4,129人(マクロミルのパネル29,027人を対象とした一次サンプリングで「自治体ホームページの閲覧経験がある」と答えた回答者から、全国15歳~89歳の4,129人を人口構成比に基づく割当法により抽出。)
※以下内訳
15-19才:230人 20代:474人 30代:596人 40代:703人 50代:590人 60代:692人 70代:535人 80代:309人

第1回目の調査について
住民と自治体との ”心理的近さ” が、行政サービスのデジタル化ニーズにプラスの影響
~デジタルガバメントへの住民ニーズの鍵を探る
サイバーエージェントと国際大学グローバル・コミュニケーション・センターの 共同調査、第1弾~
調査リリースはこちら https://www.cyberagent.co.jp/news/detail/id=26039

   

本リリースに関するお問い合わせ
株式会社サイバーエージェント インターネット広告事業本部 広報
E-mail:honbu_pub@cyberagent.co.jp