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  • 横断組織の“足跡”を残す取り組み「White Paper Project」
  • Interview
  • 2017.7.20
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横断組織の“足跡”を残す取り組み
「White Paper Project」

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    馬場:アドテクスタジオ AI Lab 
    人とロボットの対話を研究するグループリーダー。複数人対話の研究に従事。2017年4月より大阪大学石黒研究室と共同研究を開始。招聘研究員として大学に常駐し研究を進めている。

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    今井:アドテクスタジオ AI Lab
    AI Predictorのプロジェクト責任者兼ロジック開発担当。DSPにおける予測モデルの研究に従事。2017年4月より千葉工業大学吉川友也氏と共同研究を開始。

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    川端:アドテクスタジオ AI Messenger
    ロジック開発・データ分析を主に担当。チャットでのカスタマーサポート領域No.1を目指してAIとビジネスのアーキテクトに従事。

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    高野:技術本部 秋葉原ラボ
    AWA・アメーバピグなどといったサービスのデータ分析と計算社会科学研究に従事。

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    菅原(インタビュワー): アドテクスタジオ RightSegment
    DMP事業担当。ブランドに特化したデータ分析に従事。

社内向け論文集である「WPP(White Paper Project)」
「自分たちの足跡を残したい」という研究者たちの声から2017年3月に創刊し、2017年6月に第二弾が刊行されました。

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WPPとは「White Paper Project」の略で、アドテクスタジオに所属するエンジニアや AI Lab のリサーチャーが有志で集まり、データ分析事例や研究成果を論文形式でまとめている冊子です。一番の目的が「社内に向けた発信」であるこの取り組みについて、アドテクスタジオのAI Lab の方々と、同じくデータ分析が業務である秋葉原ラボのデータサイエンティストの方を交えてお話をお伺いしました。

AI Labの考えるWPPの役割とは?

馬場:AI Lab は2016年1月に人工知能をアドテクノロジーに活用するためのAI研究組織として立ち上がり、約1年半の間、データ分析や研究開発を進めてきました。AI Lab のメンバーは基本的にはアドテクスタジオの各プロダクトと連携して仕事をするのですが、 各メンバーとプロダクトとの間で分析内容や研究成果を共有する機会はありませんでした。そういった状況だったため、「この半年何をやりましたか?」と第三者から問われたときに、説明するのがとても難しいことに気づいたのです。

どうしても研究開発という仕事の特性上、第三者に理解してもらうためには説明すべき事柄が多くなります。ですが、わかりやすく簡略して伝えると、実際に行ったことの割に、研究を通して実現できたこと・明らかになったことが少なく聞こえてしまいます。そうなると、組織としても評価をしづらいですし、周囲の反応を受けてメンバー個人も「半年間何もやってなかった(ことになる)のかな」と思ってしまいます。

そういった状況を打破したくて、WPPという論文集を出そうということをみんなに提案しました。メンバー側も自分がやったことを第三者にわかる形にアウトプットすることができるし、メンバー以外の人たちも知りえなかった研究の途中経過データを知る機会ができ、早期の意思決定に役立てることもできます。

今井:AI Labのような横断の研究開発は業務スパンが長いので、短期的な評価が難しいと感じています。プロダクトならば開発したもの=成果物ですが、我々は予測モデルなどを開発し、それが実配信に適用され、プロダクトのKPIが改善して初めて評価されるからです。この図式が生まれるのも、プロダクト目線で「AI Labが数式をこねくり回して何を作っているかわかりづらい」という部分が大きく影響していると思います。

このように、これまでは配信結果などの数字でしか注目されてこなかったAI Labの成果物でしたが、少しずつではあるもののWPPを通して中身を知ってもらうことで、こんなに面白そうな・難しそうなことをやっていたんだねと知ってもらえるようになりました。

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配布されたWPPを見て、今回の取り組みはどう感じましたか?また今後についてアドバイスがあれば教えてください。

高野:とてもよい取り組みだと思いました。プロダクトチームの方々にどんなことをやっているか・できるかを知ってもらわないと、事業貢献は難しいと思うからです。こういった技術開発の取り組みをタネにプロダクトチームの方と展望を話し合えると楽しいですよね。一方で論文形式なのでちょっと読むのが大変かなと思います。スライド1枚ぐらいのボリュームで、"できること""プロダクト適用の展望""仕組み概要" の3つがわかるものが論文の前にあるといいと思いました。知ってもらうという観点では、R&Dプロジェクト一覧なんかもあったらよさそうです。

川端:アウトプットを見える形にして、第三者にも共有するというのは非常によい取り組みだと思います!ただ、誰向けなのかというのが少し定まっていないのかなと感じています。おそらく普段、実務でデータ分析に関わらない人たちに向けてだとは思いますが、論文というフォーマットは少し抵抗感を与えるのではないでしょうか。もしそうだとしたら少しもったいないですね。学会に投稿する論文と、リサーチャー以外のメンバーへの理解を優先した噛み砕いた内容の文書は分かりやすく見た目から分かれていてもよいのではと思います。どちらにとっても中途半端になっていると論文ぽいものを書いたという自己満足で終わってしまう心配があります。個人的には研究は外部に発信し、それがどういう時に使えるかだったり、使った例を分かりやすく内部に発信するのが良いのかなと思います。

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AI Labのような研究組織は良い面も難しい面もあると思いますが、働いていて感じることはありますか?

今井:僕は今年の2月まではAI Labに所属しながらDynalystというプロダクトの中で分析業務をしていました。Dynalystに配属される前は、研究開発組織であるAI Labが、がっつりプロダクトの中に入って働く状況をあまり良く思っていませんでした。というのもプロダクトの中に入ってしまうと日々のKPIを改善することに注力をしてしまい、いわゆる特定の目的のための分析を元に、いかに短いPDCAサイクルの中でビジネス課題を解決するかが評価のメインになり、本来のミッションである研究開発としての取り組みが難しくなる懸念を感じていたからです。一方で、現在はプロダクトから離れAI Labの専任として「AI Predictor」というプロジェクトを進めていますが、プロダクトと距離を置いて開発していることで、導入のためのやりとりが増えたり、導入後に手厚いフォローができないなどの課題に直面しています。プロダクトとの絶妙な距離感を維持しつつ、独立した横断の研究開発組織としてプロダクトに貢献することの大変さを実感している今日このごろですね。

馬場:そうですね、今井がいうように「プロダクトとの絶妙な距離感」というのが非常に難しいところです。こちらに興味を持ってもらいつつも、長い目線での研究開発に理解をしてもらう必要があります。プロダクトとの関わりが少なくなるような横断組織だからこそ、社内に向けてこちらから粘り強く発信していくことが重要だと感じています。

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分析や研究をビジネスに活かす上で難しいと感じることはどのような時ですか?

高野:Amebaだと、サービス側に納得してもらうことと、その上で導入してもらうことですね。納得してもらってもサービス側の対応部分が他の施策などに比べて優先度が下がると、なかなか導入が進まないことがあります。そういう時にも積極的に取り組んでもらえるように、実績を積み重ねて行きたいですね。

川端:プロダクトのメンバーに分析や研究の価値を本当に感じてもらうことが必要です。AIブームなのでもちろん興味を持っていない人はいないですが、そこをプロダクトの優位性にしようという考えはまだプロダクト責任者全員が持っているわけではありません。僕は価値を感じてもらうために極力動くもの(デモ)や動かした結果(実データでの実験結果)をセットにして伝えます。それは僕自身、逆の立場の場合、そういうものをみないと信用しないからです。なので、相手に納得してもらうためのストーリー作りに苦労しているし、努力しています。

馬場:やはり、そこですよね。研究の価値を感じてもらいたいし、こちらも感じられるように説明したい。口頭での説明で感じてもらうのは非常に難しいので、できるだけ僕らの業務やイベントに巻き込んで、学会や成果発表の場に一緒に来てもらって肌で感じてもらう必要がありますね。

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今後発信に関してどんな取り組みをしていきたいですか?

今井:データ分析業務に携わるエンジニア・データサイエンティストで全社向けにポスター発表会をやってみたいなと前々から思っています。新卒でアドテクに配属されてから一貫して広告に関する予測モデルを作ってきましたが、これらの技術はメディアやゲーム事業でも使える場面が多いと思うので、技術的な需要と供給を満たせる議論の場になるのではないかと考えています。

高野:ざっくりと「こんなことが得意です」みたいなことを広く知ってもらえるような情報共有もしていきたいですね。それによって「ちょっと気になったからSlackで聞いてみよう」という気軽な関係性を作っていきたいです。また自分たちの研究だけでなく、学術的な知見とサービスを作ってる人たちをつなげたいと思います。サービスでやりたいと思っていること・困っていることに関する心理学や社会学の知見ってたくさんあって、それを共有すると興味を持ってもらえることが多いです。施策・企画を考える上で刺激になるようです。また、対外的な発表もどんどん増やしていきたいと思っています。例えばソーシャルメディアで未成年を誘い出そうとするようなユーザの対策などは、Webの世界全体の健全化に繋がるので、その知見は全世界で共有するべきだと思います。

川端:基本的には外部に向けての取組みを中心に据えたいと思っています。特に、これまでは個人での発信が多かったのですが、今後はプロダクト・サービスのマーケティング文脈での発信を増やしていきたいですね。今、僕が担当しているチャット接客プラットフォーム「AI Messnger」の事業領域は、市場を作っているフェーズなので、様々なステークホルダと一緒に自社セミナーや展示会、研究会などで市場を盛り上げるような発信をしていきたいと思っています。

馬場:皆さんに言っていただいたように、社内・社外ともに発信は(苦手ながらも)しっかり強めていきたいですね。そのために、「AI Lab といえば〇〇」のようなわかりやすい広告塔の存在が何気に大事かなあと思っています。そういった広告塔となりうる成果を、この1年で出していきたいですね。

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インタビューを終えて

菅原:どの部署・グループでも、「知ってもらう」ということは大事だという認識は、共通のもの。知ってもらうだけではなく、相手が理解しやすいように各自が工夫しています。

また、アドテクスタジオでは、AILabのメンバーが講師となり、エンジニア以外の社員向けにデータ研修を開催するなど、研究開発の現場とビジネスの現場が共に、お互いの業務を理解する場を設けています。

「White Paper Project」から一部抜粋し、公開しておりますので、ぜひご覧ください。

「Computer Vision meets Fashion」 著者 AI Lab山口
「なぜ人はカスタマーサポートで怒りが湧くのか」 著者 AI Lab馬場

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