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  • 2020年プログラミング必修化に向けて ― 渋谷区とCA Tech Kidsの挑戦
  • Interview
  • 2017.2.10
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2020年プログラミング必修化に向けて
- 渋谷区とCA Tech Kidsの挑戦 -

サイバーエージェントのグループ会社として、小学生を対象としたプログラミング教育事業を行っている株式会社CA Tech Kids。
2020年には、日本の小学校でもプログラミングが必修となることが決まり、「プログラミング教育」の分野はますます社会的な関心が高まっています。

プログラミング教育必修化に向けて、学校教育現場でも期待と不安が広がる中、CA Tech Kidsは渋谷区教育委員会との連携のもと、渋谷区立代々木山谷小学校の4年生を対象に、全12コマのプログラミング授業を行いました。
公立小学校での実践的なプログラミング授業を実施した例は、まだまだ多くありません。

今回はそのプログラミング授業の様子を、渋谷区教育委員会、渋谷区立代々木山谷小学校の先生方の声も交えてご紹介していきます。

授業開始の経緯

今回の取り組みを始めた経緯を、渋谷区教育委員会の加藤副参事にお話を伺いました。

なぜ今回、代々木山谷小学校でプログラミング授業を行うことになったのですか?

加藤氏:代々木山谷小学校は渋谷区のICT教育推進モデル校として指定されており、2020年に向けた研究授業としてプログラミングを実施することは決まっていました。そんな中で、一緒に取り組んでくれるパートナーを探していたところ、渋谷に本社を置いているプログラミング教育の会社として、CA Tech Kidsさんのことを知りました。

加藤さんご自身はいつからICT教育に携わっておられたのですか?

加藤氏:私がマレーシアの日本人学校に教員として赴任していたころですので、もう10年以上も前に遡ります。現地のパソコン機器の会社を相手にしながら、学校のPC環境の整備などをしていたのが始まりでした。マレーシアから帰国してからは、江東区の情報教育の研究主任として、情報リテラシー教育などにも携わっていました。しかし、プログラミング教育に関しては、私たちも実践したことがなく、ほとんど知見がありませんでした。ですから、今回CA Tech Kidsさんに地元企業として渋谷区のプログラミング教育に協力していただけて、とても幸運だったと思っています。

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渋谷区教育委員会 加藤副参事(特命担当課長)

代々木山谷小学校は渋谷区のICT教育推進校ということでしたが、今回のようにまとまった時間をとってプログラミング授業を行ったことにはどういった狙いがあるのでしょうか?

加藤氏:今回の授業をもとに、より体系的なプログラミング学習のカリキュラムを作り、全国に情報共有していきたいと考えています。中学校では既に2012年から教科「技術・家庭科」の技術分野においてプログラミングが必修となっており、企業さんとの連携で授業を行っている事例などもあるのですが、今回のように小学校でまとまった時間を確保してプログラミングに取り組むという事例は全国的に見てもほとんどありません。今回の取り組みをしっかり分析して、2019年までには「渋谷モデル」と呼べるようなプログラミング教育の体系を作り、2020年には次のステップに進んでいきたいですね。
 

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カリキュラムの様子

今回のプログラミング授業は、代々木山谷小学校の4年生を対象に、全7回合計12コマかけて実施されました。
授業が始まったのは2016年10月。4年生の児童たちの机の上には、1人1台のタブレットパソコンが置かれていました。講師を務めるのは、「ウエンツ校長」の名前で親しまれているCA Tech Kids 代表取締役社長の上野朝大。子どもたちの表情には、期待と不安が入り混じります。今回の授業のテーマは、「自分だけのオリジナルゲームを作ろう」。図らずも、渋谷区は多くのIT企業が本社を置く地域。プログラミングが私たちの身の回りでどのように役立っているのか、子どもたちにとって最も身近な「ゲーム」を通して学んでもらおうという狙いです。
前半3回の授業では、講師がプログラミングの基本的な考え方を説明します。子ども向けのプログラミング学習ソフト「Scratch」を用いて、キャラクターに命令を与える(=プログラムを組む)ことを経験します。繰り返し(loop)、条件分岐(if)、座標、乱数、変数など、本来小学校では習わらない内容ばかりですが、オリジナルゲームを作り上げるため、児童たちは真剣な表情で取り組んでいました。

後半3回の授業では、前半で身に着けた知識や技術を駆使して、自分だけのオリジナルゲームを作ります。アイデアを企画書に書き込み、どのような要素が必要か考えながら、完成品のイメージを膨らませていきます。迷路ゲーム、シューティングゲーム、連打ゲーム、おにごっこゲーム、ビンゴゲーム…。児童たちのアイデアは十人十色です。

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1人1台のパソコンでプログラミング授業に取り組む代々木山谷小学校4年生の児童たち。
同校は渋谷区のICT教育推進校として、タブレット型パソコンとLTE通信環境が整備されています。

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米国マサチューセッツ工科大学で開発されたプログラミング学習ソフト「Scratch」を用いて、プログラミングに取り組みます。
子どもにも分かりやすいインターフェースで、パソコン操作に慣れていない児童も抵抗感なく取り組むことができます。

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文部科学省のプログラミング教育有識者会議で委員を務めた
CA Tech Kids 代表取締役社長の上野が講師を務めました。

いよいよ迎えた最後の授業では、展覧会という形をとり、お互いのゲームで遊び、評価しあう時間が設けられました。友達が作ったゲームを遊ぶために教室中を歩き回る生徒たちの顔は終始笑顔。展覧会には、同じく渋谷にオフィスを構える株式会社ミクシィのXFLAGスタジオから、大人気スマートフォンゲーム「モンスターストライク」のエンジニアの方々も駆けつけてくれ、児童1人1人にゲームのアドバイスをしてくれました。児童からは、「完成した時の達成感がすごかった!」、「家に帰ってからも続きを作ってみたい」「友達に自分のゲームを楽しんでもらえて嬉しかった」などの声が上がり、大盛況のうちに幕を閉じました。

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友達のゲームをプレイして、お互いに感想を言い合ったり、助言しあったり。

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授業最終回には、株式会社ミクシィのXFLAGスタジオが提供する
スマートフォンゲーム「モンスターストライク」のエンジニアがゲストとして来校してくれました。

先生の声

小学校の先生方は今回の取り組みをどのように感じていたのでしょうか。代々木山谷小学校の執行(しぎょう)純子校長先生と、4年2組の担任である三宅茜教諭にお話を伺いました。

今回の取り組みを終えていかがでしたか?

執行氏:小学生にプログラミングを教えるという、これから普通になるであろう光景のイメージを掴めたことが一番の収穫だと思いました。私自身、大学時代は統計処理などを専門としていて、プログラミングは日常的に行っていましたので、その重要性については理解していました。でも、それを小学生に教えて理解してもらうイメージが全く湧かなかったんです。どうやって子ども達を、あの黒い画面にコードを打ち込むところまで持っていくのか。そのギャップを埋めてくれたのが今回の授業でした。

三宅氏:私は今までプログラミングとは無縁の生活を送ってきたので、自分のクラスでプログラミングの授業をやると聞いた時は、とても不安でしたし、正直なところ成功するイメージが湧きませんでした。これから小学校でプログラミングが必修になるということですが、ほとんどの先生は、同じ感想を抱くのではないかと思います。ですから、CA Tech Kidsさんにリードしていただいたのは大変助かりました。最初は、子ども達もプログラミングと聞くと眉間に皺を寄せるような表情をしていたのですが、だんだんと理解が追いついたのか、やる気に火がついのか、授業が進むにつれてとても楽しそうに取り組んでいました。何よりも驚いたのは、生徒たちの作るゲームが本当に十人十色で面白いものに仕上がっていたことです。言われたことをそのままやるのではなく、少しでも周りと似せないようにと自分の頭でアイデアを考えていて、自分で考えたアイデアだと自覚を持って取り組んでいるように思えました。自ら主体的に頑張っている様子が見られたので、とても良い流れができていたと思います。
 

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渋谷区立代々木山谷小学校 執行校長先生(写真左)、三宅教諭(写真右)

今回の試みを通して、何か見えて来た課題などはありますか?

執行氏:教員の育成だと思います。2020年に向けてどのような形で学校教育にプログラミングを取り入れるのか、まだまだ不透明ですので、教員の指導能力の在り方も、これからさらに検討する必要があると思います。そもそも、現状ではプログラミングを経験したことがあるという教員もほとんどいません。その点では、今回のCA Tech Kidsさんのように地域の民間企業と連携できるのはとても助かっています。

三宅氏:今回の授業を実施する前に、CA Tech Kidsさんに教員研修に来ていただいた時も、実際に触ってみてゲームを作ってみるという点では、楽しく取り組みながら、理解することができました。しかし、ではそれを実際に自分が子どもたちに教えるとなった時、授業の指導案を考えるとなった時に、まだ答えが出ないなと感じたのが正直なところです。子ども達の中で「プログラミング=ゲーム作り」になってしまわないように、今回の取り組みを単発的なもので終わらせないような仕組みを考えて、教育の中での位置付けが見つかれば良いなと思っています。そのためにも引き続き協力体制をとっていければと思っています。

執行氏:子どもが自分のアイデアを表現したり実現したりする手段の一つとして、プログラミングを選択肢に持ってもらえるようにできればと思います。渋谷区ICT教育推進モデル校として、今回の授業を第一歩として、今後は他の教科にも積極的に導入していきたいです。

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これから

約2か月に及んだ授業を終え、年が明けたある日、三宅先生がとてもうれしいことを教えてくれました。プログラミング学習を終えたあと、子どもたちから、「他の教科の学習に今回学んだプログラミングを活かしてはどうか」という声があがったというのです。上級生が下級生に地域の安全について教えるという活動の中で、これまで紙で作っていた下級生への説明資料を、プログラムで作ってみてはどうかという提案があったということでした。
プログラミングの技術自体は、ものごとを実現するためのツールに過ぎません。子どもたちが何かを表現したり、実現したりするための手段として、プログラミングを自分の意思で用られるようになることが、もっとも重要であり、目指すべきことです。そのような意味では、今回の取り組みは子どもたちが表現手段としてのプログラミングの有用性を知り、自分の日常生活や今後の学習にプログラミングを活用する意欲を持つための大きな一歩となったのではないでしょうか。
2020年プログラミング必修化に向けて。CA Tech Kidsはプログラミング教育のリーディングカンパニーとして、これからも公教育への貢献を加速させていきます。