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  • サイバーエージェント社員が聞く シリコンバレーで活躍する若き起業家、 AnyPerk CEO 福山さんが語るスタートアップの戦い方
  • Interview
  • 2017.1.27
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- サイバーエージェント社員が聞く -
シリコンバレーで活躍する若き起業家、
AnyPerk CEO 福山さんが語る
スタートアップの戦い方

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    福山 太郎
    1987年東京都生まれ。2010年に大学卒業後、シンガポールのソーシャルゲーム会社に就職。2011年にサンフランシスコでAnyPerkを創業し、現在全米で福利厚生の事業を手がける。社員数65名。シリコンバレーで最強のスタートアップ養成スクールと呼ばれる「Yコンビネーター」の卒業生。

シリコンバレーで活躍する若手起業家AnyPerk CEO福山太郎さんと、学生時代からの旧友であり、お互いを「戦友」と語る当社執行役員卜部との対談が実現―。
現在、米国トップシェアの福利厚生事業を展開するAnyPerkは、創業当時から数多くの投資機関から出資を受けていますが、サイバーエージェントもその一つ。
「Yコンビネーター唯一の日本人出身者」としても知られる福山さんに、2011年の創業から現在に至るまでの道のりや、今後どのような勝負をしかけていくのか、同世代の卜部が聞きました。

Yコンビネーターに入ったら「絶対成功する薬」をもらえると思っていた

卜部:大学からの付き合いだからなんか照れくさいね(笑)

福山:卜部との出会いは、お互い内定者の時だよね。俺がサイバーエージェントの内定者とたまたま仲が良くて、「同期でナンバーワンは誰?」って聞いたら卜部の名前があがったから、そこからベンチマーク(笑)今では俺が日本に帰ってくると毎回飲んでいるよね。

卜部:福山は今や「シリコンバレーで注目の日本人起業家」なんていわれているけど、創業から今までの凄まじい話を突っ込んで聞きたいと思うのでよろしくお願いします(笑)

福山:こちらこそよろしくお願いします。

卜部:まず改めてAnyPerkの事業内容を。シリコンバレーで福利厚生の事業を展開してるんだよね?

福山:そうだね、アメリカの企業向けに福利厚生を提供していて、導入している会社で働く従業員は、映画館やジム、携帯電話などを安く利用できるというサービス。福利厚生ってGoogleといった大企業は充実している一方、リソースが足りてない会社は手が回っていないことも多いんだよね。日本では似たような事業の上場企業があるのに、アメリカは労働人口が3倍あるにも関わらず成功している会社がなくて、これはチャンスだと思った。
 

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卜部:福山は「Yコンビネーター」に日本人で初めて入ったんだよね。今の事業はそこで生まれたの?
Yコンビネーター:シリコンバレーで最強と呼ばれるスタートアップ育成スクール

福山:Yコンビネーターに入って1か月後に今の福利厚生の事業アイデアが生まれた。実は、最初の1か月でサービスのアイデアが7個も変わったんだよね(笑)

卜部:7個も変えたんだ?

福山:その時が一番つらかったかもしれない(笑)。Yコンビネーターに入ったら「絶対成功する薬」をもらえると思っていた。次のDropboxやAirbnbになれると期待していたのに、全く上手くいかなくて。
Yコンビネーターは3か月のプログラムで、最終日に開かれる「デモデー」が最大の勝負。世界中から500人以上の投資家が集まって、プレゼンが上手くいけば資金調達が受けられる。でも、創業者のポール・グレアムからは「同期65社の中で最低のスタート。アイデアはないし、社長は英語を話せないし、資金調達できる可能性はほぼゼロに近い」と言われて(笑)

卜部:それは本当にしんどそうだね(笑)。そこからどうやって福利厚生の事業に行きついたの?

福山:Yコンビネーターでは2つのことしかやってはいけないと言われるんだよね。1つ目はお客さんと話すこと。BtoCだったらユーザー、BtoBだったら既存顧客と潜在顧客どちらも。2つ目はコードを書くこと。
うちのチームはそもそもアイデアがないから、「ユーザーと話そう」と思ってYコンビネーターの卒業生に「何か解決したい問題はないですか?」と質問しに行った。
そしたら、お金も時間もかけて採用した社員が転職してしまうのを何とかしてほしいという声が沢山あった。サンフランシスコでは2年に1回のペースで転職する人が多いんだよね。それを聞いて、福利厚生からアプローチするのが面白いんじゃないかと思って始めたのが今の事業。
結果的にデモデーでは140万ドルの資金調達に成功した。

卜部:追い詰められて、アイデア出し切るみたいな感じだったんだね。
 

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社長がキーボードを叩き続ける限り、会社はつぶれない

卜部:失礼かもしれないけど(笑)最初に会った大学生の時は、普通の人っていう印象だったんだよね。でもアメリカに行って2~3年ですごい変わったなと。

福山:2013年に今の事業を正式ローンチするまでは本当にがむしゃらで、日本の友達ともほぼ誰とも会ってないね。

卜部:アメリカに行って、全部遮断したことが大きいのかな。自分を追い込んで後がない状態にしたと。

福山:起業するために2011年に渡米した時は、お金がなくてファストフード「タコベル」の駐車場に車を停めて仕事していた(笑)タコベルのタコスが1個1ドルだから、1日10ドルくらいあれば生活できる。10年タコス食べ続けて挑戦したら1個くらいサービス当たりそうじゃない。ノーリスク超ハイリターンだなとその時思ったんだよね。でも、外から見ている人は「会社が潰れたらどうするんですか?」と言ってきたりする。俺からしたら、やらないで死ぬ方が怖いよね。

卜部:そこの原体験がなかなかすごいよね。その時代を生き抜いてきた。

福山:後悔したくないんだよね。小さくても「あと少し踏ん張る」ことが会社の成長に繋がるかもしれない。今も、メールの返信一通を明日に回すことで事業のスピードが落ちるかも、という恐怖心がある。サッカーの練習でも、最後1回蹴るかどうかで差がついたりするじゃない?

卜部:毎年会う度に思うけど、年々追い詰められているよね(笑)

福山:でも、そこもベンチャーの面白さ。結局どんな事業をやるにしても希望と不安の紙一重で、最終的にどちらを強く信じられるかだと思う。不安しか目がいかない人は安全圏にずっといるけど、希望の方が大きく見える人は、リスクを負ってリターンを取りにいくし諦めない。

卜部:どんな状況でも希望を見出すパワーを福山は持っているよね。

福山:スタートアップがつぶれるのって、競合が強いとか色んな理由があるけど、結局は社長が諦めた時だから。「社長がキーボードを叩き続ける限り、会社はつぶれない」とYコンビネーターでも教えられたんだよね。
 

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「うちの会社、どれだけイケてますか?」社員の声から文化を創る

卜部:会社を創業して今までの一番大きな失敗を聞かせてほしいな

福山:創業から3~4年目、50人規模になった時に社員の半分以上が辞めたのが今までで一番の失敗。その時に「こんな良い会社なのに、なんで辞めるんだろう」と思って、原因を探ろうと思って月1回匿名の調査を始めたんだよね。10段階で「うちの会社どれだけイケてますか?」、「その点をあげるにはどうしたらいいと思いますか?」という質問を全社員にした。

卜部:その結果はどうだった?

福山:「会社の数字をもっと知りたい」という声が出てきた。会社を立ち上げたばかりの時は、数字や会社の状況を全員が把握していたし、週末お互いが何をしているかも知っているくらい距離が近かった。それが50人規模になるとなかなか難しいし、数字が分からないことも「怒られるんじゃないか」と思って社長に言えなくなる。
今は毎週1回、全社員に向けて数字を開示して、銀行にいくらあるかも全部オープンにしている。この調査を始めてからは、退職率もかなり下がった。
良いプロダクトを作るにはユーザーの声を聞く必要があるのと同じで、良い文化を創るためにもユーザー(社員)の声に耳を傾けるのが大事だと気付くきっかけになったね。

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卜部:AnyPerkのマネジメントチームは今どういう構成になっているのかな

福山:アメリカでは、ある会社で良い成績を上げたら次の会社ではマネージャーとして転職、という感じで、ななめ上のポジションでキャリアステップする傾向があって、役員のポジションも外から採用することが多いんだよね。AnyPerkでは、マネジメントチームがいわゆる執行役員に近い組織で、営業やファイナンスのリーダーが所属しているんだけど7名のうち4名は今年採用した人たち。

卜部:そのチームに採用する時の基準は何かあるの?

福山:誰が面接しても同じ結果になるようにしている。採用をかける前に、何を求めているかとポジションのゴール、そのためにどんな能力・スキルが必要か、どんな質問をするかまで議論するんだよね。実際の面接では求められる能力別に点数をつけて採用可否の判断をしている。「この人熱いね」とかで採用することはまずないね。

卜部:そこまで科学的に採用しているんだね。

福山:役員の採用ミスが一番怖いからね。実は、政治的で二面性のある役員を採用してしまったことが過去にあって。上にはいい顔するけど、メンバーにはいじめみたいなことをしていて、ある時メンバーたちが泣いて話しに来たんだよね。これはまずいと思って翌週には退職してもらったけど、採用してからそういう人だと分かるまで10か月かかった。

卜部:それに気づいてから翌週には対応する修正力もすごいよね。

福山:でも、創業して4~5年のうちの10か月が失われたわけだから、会社としての損失はかなり大きい。それがきっかけで、面接は点数化して緻密に慎重に採用することにしたんだよね。
 

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社長の器が、組織の器になる

卜部:AnyPerkのサービスをCyberAgent Americaでも導入しようという話があったんだよね?
その時にCyberAgent Americaの担当者から怒られたって本当?契約を進めていたら、福利厚生の仕入れ提携先と本契約を結べていないことが判明したと(笑)

福山:それには誤解があるんだよ(笑)弁明をすると、俺は「まだリリースできていないけど、こんなプロダクトを作っていて、こういう企業と提携しようと思っています」、という話をしたつもりなんだけど、コミュニケーションミスで双方の認識がずれてしまって。「そういうのはないですよ」とご指導をいただいた。

卜部:その時は内心どうだったの?

福山:普通だったら「嘘ついちゃってやばい」と思うかもしれないけど、あれは正直、プロダクトの方向性が見えた革命的な瞬間だった。「このサービスを作ればサイバーエージェントに契約してもらえるんだ」と社内ではかなり盛り上がったんだよね(笑)見え方としては危なっかしいかもしれないけど、怒っていただいてありがとうという感じ。興味がなかったら怒ったりしないから。
 

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卜部:ポジティブだなあ(笑)そういうピンチをチャンスに変えるところと、実はすごく不安症なところ、福山は2つの顔を持っているよね。

福山:そこは毎分毎秒行ったり来たりするんだよね。会社の数字が悪いと眠れなくなるまで考えるし、同じミスを繰り返したくないから失敗から学ぼうと必死になる。ピンチが多ければ多いほど考えるきっかけになるしね。

卜部:チャレンジしているから、問題も増えるし失敗も多いんだよね。目線を常に高く保ち続けるためにしていることはある?

福山:自社よりも規模の大きい会社の経営者と接点を持つことかな。藤田さんにお会いして「まだ黒字じゃなくて辛い」と話しても、「『AbemaTV』は90億円の赤字なんだよね」と言われると何も言えなくなるというか(笑)
それに、日本では「アメリカでの拠点展開や事例を紹介します」と言うと興味を持ってもらえるし、アメリカでは日本の話ができるという強みがある。
忙しい経営者に会ってもらうための「自分のオリジナルな価値」というのは常に意識しているね。

卜部:ある種、戦略的に人に会っているよね。サイバーエージェントの社員にはなかなか外の人と会う機会を作らなかったり、どうしても内向きになってしまう人も多いなと感じていて。福山の「外に目を向ける力」はどこから湧いてくるんだろう。

福山:社長の器が会社の器になるから、俺が成長し続けない限り会社の成長は見込めない。例えば40~50代の社員からもついていきたいと思われる社長にならなきゃいけないし、その焦りはすごくある。同じように若くして起業した人がどう乗り越えたか知るためには、会いに行くのが一番早いなと。ダメでも失う物ないし。

卜部:確かに、失う物は何もないね。
 

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卜部:福山がサイバーエージェントの子会社社長だとしたら、どうやって会社を成長させるんだろう?

福山:会社の規模が相当大きいのにリスクを取ってでも新しい事業に投資するし、決断スピードも速いしすごく良い環境だよね。お金、ブランド、サポート、利用できるものは全部利用した方がいい。
「仮に100億円あったらどういう戦略を立てる?」、「200人採用できたらどんな事業をする?」という自問自答をよくするんだけど、その何倍ものリソースが現実にあるのがサイバーエージェントだからね。

「AbemaTV」みたいな事業は、ベンチャーでは絶対できない。投資の仕方もテレビ局との提携も、あの規模でできるのが大企業の強みだよね。
今回の「AbemaTV」は藤田さんのアイデアで始まったけど、俺ならそういう事業を生み出す側に回りたい。「これやってよ」と言われてやるんじゃなくて、「こんなのどうですか?」と提案してやる方が楽しいし、学べることが多いと思う。
あとはライバルを社内におかないというのも大事かもしれない。子会社の中でナンバーワンじゃなくて、マーケットでトップを取りに行く目線を持つことが必要だよね。
 

経営者が「憧れる職業」になれば、日本はもっと面白くなる

卜部:これから俺らも30代に突入していくね。

福山:恐怖だよね、「若いのに頑張っているね」なんて言われなくなるし(笑)

卜部:30代でもっと大きな勝負をしようと思ったら20代とはリスクの取り方が変わるんじゃないかと思っていて。福山太郎なりの、こうやってリスクを取って成長していこうという戦略はあるの?

福山:ビジョンや戦略も大事だと思うけど、日々の決断でリスクリターンをきちんと考えて、思い描く形に近い方を選び続けるというのは30代でも変わらないかな。
「Yコンビネーターに入ってアメリカで起業して、すごいですね」と言われるけど、ジャンプしているように見えても現実は一分一秒の小さいことの積み重ね。英語も一日一つ単語を覚えて地道な努力で話せるようになったしね。小さい階段を上って、振り返ると大きな階段に見えているだけ。その階段の第一歩を踏み出せない人が意外と多いけど、ミクロなレベルで毎日踏み出すようにしようと意識している。

卜部:福山って最初から成功したと思われがちだけど、地道に一歩一歩積み重ねてきたんだよね。

福山:本当にそうだね。卜部も、最年少でCA8(取締役)に選ばれたり、外から見たらすごい人みたいに言われると思うけど、何も分からないところから藤田社長にアイデアを当てまくって新規事業をやりたいと宣言してたから任せてもらえたし、他の人には見えてない景色が見えているよね。
 

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卜部:この世代が求められている業界での役割をどう感じている?

福山:俺の起業のきっかけは、当時イケイケのベンチャー起業家としてメディアに出ていた三木谷さんや堀江さん、藤田さんとかを見て、何もないところから努力して上り詰めて社会にインパクトを与えているのがかっこいいなと思ったんだよね。
でも、今の就きたい職業ランキング上位は公務員や安定した職がほとんどで、経営者やIT系は人気がない。テレビを見ていると、目にする経営者って謝っているか怒られているかで、ダサいと思われているんじゃないかな。経営者になりたい人が増えないと、日本の未来は面白くないんじゃないかなと個人的に思っている。
俺らがこれから成功して、経営者に憧れを持つきっかけが作れたら日本はもっと良くなるんじゃないかな。若い人にかっこいいところを見せていかないといけないよね。

卜部:そうだね。俺はまず「AbemaTV」を成功させることが今の役割かな。アプリボットの立ち上げ時は、資金も人も何もなくて追い込まれていたけど、今回は最初から投資額も関わる人数も桁が違うから、絶対に失敗できないなとヒリヒリする。両極端の環境を経験できているのは有難いと思う。

福山:そういう規模で戦えるのは単純にうらやましい。いきなり巨人軍入りましたみたいな感じでしょ?(笑)俺は草野球から挑戦しているところだから。

卜部:そういう意味で投資に対しての真剣さはまだまだ甘いと思う。最初から温室育ちになっているから、そこは組織で意識を高めて頑張っていかないと。
それに、俺もいつかはまた、自分でアイデアを出して事業をやる側に回りたいと思っているんだよね。「AbemaTV」で何を学び、次はどういう事業を立ち上げるか、どうキャリアを形成していくか。

福山:卜部も行きたい方向性がはっきりしているよね。

卜部:がむしゃらにやってたら何かしら見つかるしね。理想を高く持ち続けて、毎日ギャップに苦しみながら理想と現実の間にいることが大事だなと。

福山:お互いに負けてられないね(笑)

卜部:ほんと、これからも勝負の連続(笑)福山とは毎年飲んでるけど、新たな発見があって刺激受けたわ。今日はありがとう!
 

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