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トップメッセージ

人と組織の関係

1999年12月30日

先日出演させて頂いた、NHK教育テレビの対談は意外と反響が大きくて、特に私が「組織と人の関係はドライであるべき」とコメントしていたことに対して賛否の意見を頂きました。 やはり番組の中で放映していた時間では不十分で誤解もあるかと思いますので、この機会に、この日記に私の組織と人についての考え方を少し書くことにしました。 以前読んだ何かのビジネス誌で、ある大企業の社長が、 「家族やその人の人生に深刻な影響を及ぼすのに、リストラなんてとんでもない。長年の間、右肩上がりの賃金に甘えてきた経営者はその責任を取って、雇用を守ることを最優先に考えるべき。今ごろになって急に実力主義を突きつけるのはあまりにも無責任だ。」 とコメントしていました。 私もそのコメントを読んで考えました。 確かにこの大企業の社長が言っていることはまさにその通りだと思います。 長年日本特有の雇用システムに乗っかって、組織と人のもたれ合いの構造の中で働いてきた人が、年をとってリストラされたら本当にかわいそうです。甘えともたれ合いの環境に長年いた人で、簡単に転職できるような市場価値をもつキャリアを身につけているケースのほうが稀だと思います。 若い頃、働きに見合わない安い給料で我慢していたのは年をとるに従って、給料が上がっていく右肩上がりの賃金が保証されていたからであり、自分の市場価値とかキャリアとかを考えず働けたのは、終身雇用が前提だったからです。 言うまでもなく、終身雇用と年功序列は誰の目にも明らかに制度疲労を起こし、崩壊しています。そのような状況下で、新しい組織である私たちは、市場価値を持たない人材を再生産している訳にはいきません。市場価値を持つ自律したプロフェッショナルな人材を組織から輩出し、そしてその人材が活きるためには、組織と人の関係はどうあるべきでしょうか。 私はこの年末に 「自分の働いている会社(サイバーエージェント)を自分のクライアントだと考えよう。」 という話を社員みんなにしました。 つまり自分のいる会社の戦略や方向性や現状をよく理解するよう努め、それをソリューションし、結果(営業数字や業務改善、社内への好影響など)を出すことに対して、会社はその人にその対価を払うということです。 会社組織は従業員への対価を、人と人との感情的なもので誤魔化さずに潔く充分な対価が払えるよう、努力するべきだと思います。 また、人は組織から得られる対価に対して自分のパフォーマンスが低ければ、危機感を持たなくてはならないと思います。それは私たちが広告主に対して、パフォーマンスが悪ければ取引を打ち切られるのと同じです。 対価とは、単純に給与や株といった金銭的なものだけではなく、得られるキャリアとか遣り甲斐だとか、働く環境だとか、経営者のビジョンに対する共感や、サイバーエージェントが単純に好きだということも、"自分のパフォーマンスの対価として得られるもの"と捉えるべきだと思います。 対価というとついイコール"金"と安直に考えがちですが、サイバーエージェントのような会社に入社してくる人は、本来的に「働くのは金のため」と考えている人はほとんどいないと思います。 かっこ良く働きたいとか、夢中になれる仕事がしたいとか、将来の夢を実現したいとか、自分の会社を成功させたいといった"遣り甲斐"が本当は一生懸命働く一番重要な要素だと思いますが、そういったものも、自分の仕事に対する対価として得られるものと考えるべきだと思います。 高いパフォーマンスをあげている人は、仕事の遣り甲斐も得ているし、かっこいいし、活き活きしていますが、逆に最初は高い志を持って入社してきた人でも、組織で上手く結果が出せない人や組織の成長についていけない人はだんだん弱音を吐いたり不平不満が多くなったりしてしまいます。 それは、"遣り甲斐"という往来の就社意識の中では会社に委ねることができた一番個人にとって重要な部分が、実力主義の時代では自分の対価として、会社に依存する訳ではなく、自分で獲得しなければならないということです。シビアな世界ですが、シビアな分、当然どこでも通用する市場価値のあるキャリアと実力を身に付けることができます。 自分の会社=自分のクライアントというのは、もちろん私も同じです。 インテリジェンスで働いていた頃も私は自分の会社(インテリジェンス)は自分のクライアントだと思っていました。前にも書きましたが、私が昼も夜も土日もなく働いていたとき、「よく会社のためにそんなに頑張るね。」と言われてがっくりしたことがあります。 会社をクライアントとして捉えていた私にとっては、雇用と賃金を保証してくれる"会社のためにではなく、自分のクライアント(自分の会社)のために、頑張っていたつもりで、我ながらプロ意識を持って仕事に取り組んでいたつもりです。その対価として実力は充分ついたと思います。 今、サイバーエージェント社の経営者というポジションで、全く同様にクライアントであるサイバーエージェント対して最大のパフォーマンスを出せるよう働いています。 サイバーエージェントはクライアントであって、もちろん藤田晋=サイバーエージェントではありません。 実力主義の時代で、市場価値のある人材を輩出し、競争力のある組織を作るには、ドライに個人と組織を完全に切り離して考えることが重要だと思います。 それは経営者であっても、社員であっても同じです。市場価値を持つ人材とは、視点を組織の中ではなく、自分の仕事に対して置いていることが重要なのだと思います。 ドライという言葉を使うと、どうしても会社が従業員に対して厳しいだけのイメージがありますが、現にサイバーエージェントの社員は、自分の仕事やサイバーエージェントに対して熱い人が多いし、活き活きと働いています。 如何にプロ意識を持って働いていてもどうにもならない古い体質の会社組織とは違って、私たちは全員若く、新しい会社です。 冷静に考えればごく当たり前のことのようにも思えますが、長い年月に渡って固定概念化された仕事に対する意識はそう簡単にはすべては変えられないし、100%理想どおりというのはまだまだ難しいですが、それでも時代が変わりつつある今、私たちは先頭に立って変えていかなくてはならないと思います。